バージニア・テレビクルー射殺事件

バージニア・テレビクルー射殺事件(バージニア・テレビクルーしゃさつじけん)とは、2015年8月26日バージニア州でテレビの生放送中にリポーターカメラマンが射殺された事件[1]

バージニア・テレビクルー殺害事件
場所 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国バージニア州
日付 2015年8月26日 (2015-08-26)
攻撃手段 銃撃
死亡者 3名(容疑者を含む)
負傷者 1名
犯人 ヴェスター・リー・フラナガン(別名:ブライス・ウィリアムズ)
対処 犯人の自殺
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概要 編集

東部夏時間の2015年8月26日早朝、バージニア州の民間テレビ局WDBJCBS系列)のニュース番組で、地元商業施設の屋外にてインタビューを生中継していた。放送中の午前6時46分頃に以前同局で勤務していた元記者の男であるヴェスター・リー・フラナガンが、同僚であった女性リポーターのアリソン・パーカーと、男性カメラマンのアダム・ワードを至近距離から射殺し、インタビューを受けていた地元商工会の女性にも重傷を負わせて逃走した[2]

銃撃の瞬間はそのまま生放送されており、初めにアリソンが上半身を撃たれ連続した数発の発砲音と悲鳴が聞こえ、直後にカメラが横倒しになり数秒後にスタジオの映像に切り替わった(その際、銃を手にしたフラナガンの姿が一瞬写っていた)[2]。また、射殺事件の数時間後には、フラナガンによって、発砲者側から撮影した銃撃の動画が自身のFacebookTwitterに投稿された[3]

フラナガンは銃殺事件の2時間後にテレビ局ABCニュースファクシミリで23枚からなる犯行声明を送り付け、バージニア工科大学銃乱射事件の犯人(チョ・スンヒ)とコロンバイン高校銃乱射事件の犯人(エリック・ハリスとディラン・クレボルド)への称賛や、チョから影響を受けたことを述べる[1][4]とともに、犯行の2か月前にサウスカロライナ州で発生したチャールストン教会銃撃事件が転換点になったと犯行動機を語った[1][4][5]

レンタカーで逃走したフラナガンは警察に包囲されると自らを撃ち自殺を図った[6]。直ちに病院に搬送されたが死亡した[6]

フラナガンは以前にWDBJに勤務していたが、怒りの感情を表に出す事が多く望ましくない人物として、2013年に解雇されていた[6][7]ABCテレビによれば、フラナガンは職場で人種差別を受けていたと語っていたという[5]

保守系メディアからは事件は人種差別主義者によるヘイトクライムであると報じられている[8][9][10]パット・ブキャナンは、被害者が白人でなかったならば現在も生きていたであろうと述べている[8][10]

犯行動画の抜粋画像の掲載に対する反響 編集

画像外部リンク
  Reporter and cameraman shot dead on TV - ウェイバックマシン(2021年5月1日アーカイブ分) - ザ・サンによる記事。2021年5月1日閲覧。画像の左前方にて、銃を持った犯人の手が映っている。

タブロイド紙であるデイリーニューズザ・サンをはじめとする複数の新聞社が、犯行動画から抜粋した画像を掲載したところ、一部の読者やメディア倫理の専門家から一線を越えた行為だと非難が寄せられた[11]

出典 編集

  1. ^ a b c Erin McClam (2015年8月26日). “Vester Lee Flanagan II, aka Bryce Williams, Named as Suspect in Live TV Shooting in Virginia”. NBC. http://www.nbcnews.com/news/us-news/vester-lee-flanagan-ii-named-suspect-live-tv-shootings-virginia-n416331 
  2. ^ a b 生中継に米テレビ記者2人射殺の容疑者自殺”. BBCニュース (2015年8月27日). 2021年5月1日閲覧。
  3. ^ “Gunman in deadly on-air attack dies after manhunt” (英語). CBSニュース. (2015年8月26日). http://www.cbsnews.com/news/virginia-police-shooting-live-television-news-report/ 
  4. ^ a b “After Shooting, Alleged Gunman Details Grievances in ‘Suicide Notes’”. ABCニュース. (2015年8月26日). http://abcnews.go.com/beta/US/shooting-alleged-gunman-details-grievances-suicide-notes/story?id=33336339 
  5. ^ a b “生中継中に米記者2人射殺、元同僚の容疑者自殺 人種差別に怒りか” (日本語). ロイター. トムソン・ロイター. (2015年8月27日). http://jp.reuters.com/article/2015/08/27/usa-shooting-virginia-idJPKCN0QV2JH20150827 2015年9月27日閲覧。 
  6. ^ a b c John Bacon (2015年8月26日). “Suspect in on-air murder of journalists kills himself” (英語). USAトゥデイ. http://www.usatoday.com/story/news/nation/2015/08/26/reports-two-dead-virginia-shooting-live-tv/32391633/ 
  7. ^ MEGHAN KENEALLY (2015年8月26日). “Suspect in On-Air Shooting Dies From Self-Inflicted Wound” (英語). ABCニュース. http://abcnews.go.com/US/tv-reporter-cameraman-killed-gunman-opens-fire-virginia/story?id=33327920 
  8. ^ a b Pat Buchanan (2015年8月28日). “Dis-Integrating America” (英語). Townhall.com. http://townhall.com/columnists/patbuchanan/2015/08/28/disintegrating-america-n2044674 
  9. ^ John Nolte (2015年8月28日). “TWO DAYS AFTER REPORTER'S 'RACE WAR' MURDERS, CNN RETURNS TO PHONY RACE-BAITING” (英語). BREITBART. http://www.breitbart.com/big-journalism/2015/08/28/two-days-after-reporters-race-war-murders-cnn-returns-to-phony-race-baiting/ 
  10. ^ a b David Weigel (2015年8月28日). “In coverage of Roanoke killings, the right sees a racial media bias” (英語). ワシントン・ポスト. http://www.washingtonpost.com/news/post-politics/wp/2015/08/28/in-coverage-of-roanoke-killings-the-right-sees-a-racial-media-bias/ 
  11. ^ 犯人撮影の米記者銃殺映像、紙面掲載で報道倫理めぐる議論沸騰”. www.afpbb.com (2015年8月28日). 2021年5月1日閲覧。