生放送(なまほうそう)は、放送業界の業界用語のひとつで、ナレーション演技演奏スポーツ中継といった放送コンテンツを、一旦録音・録画することなく電波通信回線などの媒体でリアルタイムに視聴者・聴取者に伝えるような放送手段を指す。

一般的にはテレビラジオなどの電波媒体に対して使われることが比較的多く、インターネットラジオなどインターネット上での放送は「ライブストリーミング」などと呼ばれる。

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概要編集

ニュース天気予報は情報の速報性・正確性が求められるため、ほとんどが生放送で放映・放送されている。スポーツ番組などでは「生中継」(なまちゅうけい)と呼ばれる場合もあるが、放送時間の都合で事前に収録したものをある程度編集する「撮って出し」(とってだし)と呼ばれる方式をとっているものもある。番組内で生放送である旨の告知がない限り、一般の視聴者・聴取者が生放送と録画放送とを見分けることは極めて困難であるが、ニュース速報気象情報などのテロップアナウンス挿入や、災害等の突発的なアクシデント[1] などによってそれと分かる場合がある。民放のクロスネット局などでは、編成の都合上生放送番組を収録した映像で時差放送する場合もある。局によってはCM無しの完全版で送る局もある。また、出演者はいないが、一部UHF局で放映されている、コンピュータへのデータ入力に基づいて各種画像・音声データが自動的に放送される天気予報も生放送の範疇である。技術的にパケット通信など蓄積交換される場合やメモリに蓄えられ遅延がある場合などでも生放送と呼ばれる。

放送の創成期には、VTR機材/録画用メディアが非常に高価で収録用機材の運用コストも高かったため、音楽番組はもとよりドラマや演劇などでさえ生放送がごく当然であり、出演者は突発的な事象に対応できるよう、絶えず緊張を強いられていた。[2]だが、録音・録画技術が進歩し編集が可能となると、送り手にとってリスクの高い生放送は、生放送でなければ得られない効果(いわゆるライブ感)を求めたり生放送特有の緊張感が敢えて必要な場合に限定されるようになった。実際、英語ではLIVEと言う。

生放送は1980年代以降、減少傾向にある。背景には録音・録画に必要な機材や技術の進歩、テープの低価格化の他に、1回で2-3本を収録した方が効率が良いというのが有力である。放送局にとって、出演者をキャスティングする場合にはスケジュール調整がしやすいことや、出演者が急に出演できなくなるなどの突然のトラブルに対応しやすい、などの事情がある。一方、キャスティングされる芸能事務所側にとっても、生放送より収録を多くした方がより多くの仕事を得られ、利益を上げやすい上、スケジュール面での余裕にも繋がる。そのため、放送局、芸能事務所双方にとってプラスになるというのが大きい。また収録に参加する番組スタッフにとっても、突発的なアクシデントが画面を通じて世間に流れる事態を想定して常に緊張を強いられる生放送は精神的な負担が大きく、編集が可能な収録番組の方がリスクが少ないということがある。

また、生放送を主体としながらも、生放送開始前もしくは生放送終了後に次回放送分を収録する(これも事実上の2本撮りとなる)ケースもある(『スーパーJOCKEY』など)。これについては、出演者やスタッフのスケジュールの都合や、制作費の節約(2本撮りすることで生放送1回分の経費を軽減できる)という観点から行われるケースがほとんどである。

1990年代以降、各種編集機器の電子制御の高機能化が進むに連れて、毎週生放送という触れ込みでスタートした筈の番組がわずか数回で収録放送に変更されてしまうケースが増えた。例としては、日本テレビ系列『ミンナのテレビ』、フジテレビ系列『とくダネ!発 GO-ガイ!』などがある。低視聴率や多忙な出演者のスケジュールの調整がままならない番組で多く見られる。

その他にも生放送には少なからぬデメリットが付きまとう。代表的なこととしては、その特性上、不測の事態によるアクシデントやトラブルが起きるリスクが常時つきまとう一面がまず挙げられる。また、想定されない突発的な事態や機器の操作ミスから放送してはならないような映像・音声が流れてしまったり、あるいは出演者・スタッフの言動がそのまま流れることから、本来は放送で流すことは相応しくない不用意・不謹慎・不穏当・破廉恥な内容が膨大な数の視聴者・聴取者に伝わることで、時に番組や出演者のイメージに瑕疵がついてしまう危険もある。2004年には、NFLの決勝戦スーパーボウルハーフタイムショーにおいて、ジャネット・ジャクソンが共演者に胸を露出させられるアクシデントが起こされた[3]

芸能界においても、所属タレントの不用意・軽はずみな発言・行動によるタレントイメージの瑕疵の発生も、生放送ならば止め様がないが、対して収録番組には放送前に事前にチェックし編集で防止できるというリスクマネジメント上のメリットがあり、現在では生放送番組へのタレント出演に消極的な芸能事務所は多い。また、タレントの性格や言動、販売戦略などの要素も絡んで生放送NGというスタンスを取る、あるいは特定のタレントとの共演は事前収録の番組のみOKという条件を付ける芸能事務所やタレントも見られる。

生放送には不特定多数に向けて事実上編集されることなく即時発信されている性質がある。そのため、何らかの政治的目的を持つ者環境保護文化財保護・歴史的建造物保存運動などの各種活動家が、自己宣伝や自身・所属組織の主張を無理矢理に世間に向けて発信しようとしたり、あるいは自分たちに都合の悪い内容の放送を妨害する意図を持ち、故意に生放送の現場への乱入を試みることがあり、放送が妨害されたりさらには生中継が中断に追い込まれるなどといった業務妨害行為も、洋の東西を問わず引き起こされている。

同様に部外者である野次馬も生中継にとっては時に脅威となる。特にテレビの場合、社会的な注目度の高い事件や事故の現場、所轄警察署などの付近からの生中継では、そこに集まった多数の野次馬が面白半分に中継映像への「映り込み」を狙った行動を繰り広げたり、さらにはそもそも「映り込み」による自己顕示を目的に遠方から事件現場や中継現場に赴く者までもが現れ、それらの人数自体が迷惑となる形で中継現場が混乱状態となり、生中継が不可能という事態に陥ったケースは少なくない。かつて、報道番組ワイドショーなどの中継で一般市民への街頭インタビューが生放送で数多く行われていた時代には、地元住民や通りすがりを装って街頭インタビューを受けてテレビ画面に映されることを目的とした者や、街頭インタビューに応じた謝礼としてスタッフから貰えることがある放送局のノベルティグッズの収集を目的としてマスコミを追い掛ける者が現れ、事件の現場周辺や、いわゆる“定点ポイント”の中継地点[4] などに赴いては、マスコミ取材陣の周りをうろつき回るなどということも起きていた。

一方、ラジオ(特に中波ラジオ)では、帯番組として放送される情報・報道番組やスポーツ中継などが多いことから、必然的に生放送が多くなる。NHKラジオ第1放送では、92%が生放送と発表している[5]トーク番組や音楽番組等の生放送が必須でない内容でも生放送で制作されることが多く、その様な番組でもEメールなどを介した視聴者とのリアルタイムなやり取りが積極的に行われることがラジオ番組の特徴とも言える。

番組放送のライブ感を保ちつつも中継の映像・音声の送出を数秒から5分程度遅らせる「遅延送出システム」という技術が実用化されている。これは本来は生放送の番組制作用における効果用機器としての使用が意図されたものであるが、その機能上、生放送での突発的事態への発生を前提とした対策の1つとしても有効であり、米国・英国・日本などの放送技術先進国はもとより宗教戒律上の都合や政治的事情を抱える国の放送業界などでも幅広く導入されている[6]

生放送番組によっては、生放送と並行して収録を行うこともある。これは編成の都合で遅れネットとなる地域が発生する場合、アンコール・ダイジェスト放送を想定している場合、深夜に放送が行われる場合(海外からの中継など)に行われ、これらは「録画放送」・「録画中継」とも呼ばれる。

NHKでは、祝日は定時ニュース等を除き極力生番組を減らすことが多い(重大ニュース発生時はこの限りではない)。

同じくNHKでは、CMが存在しない性質上、番組切り替えの際に後座番組が生放送の場合、その冒頭で出演者が前座番組に対する表情を浮かべたり、感想を述べるなどの演出を行うケースがある。民放でもステブレ(CMなし)で番組切り替えを行う場合、同様の演出を行うことがある。また、生放送番組が連続する場合、両番組の出演者同士でクロストークを行うなどの演出をするケースも見られる。

日本における主な生放送の番組編集

報道番組(ニュース・天気予報)編集

NHK編集

NHK BS1編集

日本テレビ系列編集

BS日テレほか編集

テレビ朝日系列編集

BS朝日編集
  • News Access(お昼のNews Access、News Access 730・一部時間帯は「テレ朝チャンネル」とのサイマル放送。)

TBS系列編集

BS-TBSほか編集

テレビ東京系列編集

フジテレビ系列編集

BSフジ編集

ワイドショー・情報番組編集

NHK編集

・シブ5時

日本テレビ系列編集

読売テレビ編集
中京テレビ編集

テレビ朝日系列編集

朝日放送編集
メ〜テレ編集
BS朝日編集

TBS系列編集

毎日放送編集
CBCテレビ編集

テレビ東京系列編集

BSジャパン編集

フジテレビ系列編集

関西テレビ編集
東海テレビ編集

独立UHF局編集

スポーツ番組編集

NHK編集

日本テレビ系列編集

テレビ朝日系列編集

TBS系列編集

テレビ東京系列編集

フジテレビ系列編集

BS・CSほか編集

  • プロ野球ニュース(フジテレビONE・試合開催日の23時放送分とオフシーズンの月曜23時放送分のみ放送)
  • THEわれめDEポン(フジテレビONE・毎年8月の24時間SPも含む初回放送のみ)

スポーツ中継編集

芸能・娯楽番組編集

バラエティ・音楽番組編集

半期に一度放送される特別番組編集

年に一度放送される特別番組編集

その他編集

通常収録番組の特別生放送されたものも含む。

  • NHK杯テレビ囲碁トーナメント(NHK教育)
  • とくダネ!発 GO-ガイ!(フジテレビ系列)
  • ムハハnoたかじん(関西テレビ) - 2005年1月より一時期のみ生放送されていた(現在は録画放送)。
  • 世界の絶景100選(フジテレビ系列)
    • 第6弾 生でNO.1絶景を大決定!豪華芸能人大集合SP(2006年3月30日)
    • 第12弾 ついに決定!死ぬまでに見たい100の絶景と地球一絶景大発表SP(2009年2月20日)
  • 太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。(日本テレビ系列) - 番組終盤で、マニフェストの視聴者投票結果とFAXの紹介のコーナー。
  • 田舎に泊まろう!(テレビ東京系、2009年1月4日3時間スペシャルほか)
  • ためしてガッテン(NHK総合、2009年2月4日)- インフルエンザ特集。
  • 学べる!!ニュースショー!(テレビ朝日系、2009年2月17日) - 劇団ひとり入籍による緊急生放送。
  • しゃべくり007(日本テレビ、2009年1月26日) - 生放送スペシャル。また、2009年から「24時間テレビ」で深夜に放送されるスペシャル版も生放送。
  • ひみつのアラシちゃん(TBS系列、2009年3月17日)予定を変更して、緊急WBCSPを放送。
  • ダウンタウンDX(読売テレビ制作・日本テレビ系列) - 2009年から毎年沖縄国際映画祭開催時期に沖縄のスタジオから生放送する。
    • 2009年3月18日 超DXスター根こそぎ大暴露衝撃の沖縄生放送SP
    • 2010年3月25日 超DXスター(秘)私生活&恥部根こそぎ大放出!!沖縄生放送めんそ〜れSP
    • 2011年3月24日 超DX沖縄から笑いと元気を贈る2時間生放送SP
    • 2012年3月29日 超DX in OKINAWA 今年もナマ放送で本音丸出しSP
  • ぐるぐるナインティナイン(日本テレビ、2009年3月19日)オープニングと1分間の告知キンレースのコーナーを沖縄から生中継。
  • 真夏のJNN祭り 「壁を壊そう!炎の240時間マラソン」(TBS系列、2009年8月22日)山本高広のマラソンゴールの様子を完全生中継。
  • クイズ!ドリーム学園(日本テレビ、2009年9月2日)宝くじの日に、宝くじに関するクイズを出題する番組。
  • ふれあい夢列島☆宝くじ☆シアワセ発見ジャーニー(日本テレビ、2010年9月2日)宝くじの日の特別番組。
  • 魔女たちの22時(日本テレビ)
    • 後半部分で、緊急生放送はるな愛世界一に密着を放送(2009年11月3日)
    • 後半部分で、緊急生放送!24時間テレビマラソンランナーを発表(2010年6月8日)
  • うたばん(とくばん)(TBS系)
    • 2009年10月20日 大日本名曲歌謡史昭和と平成のベスト50 大発表とくばんSP!
    • 2010年3月23日 無期限活動休止3時間SP
  • お茶の水ハカセ(TBS系、2010年6月29日)予定を変更して、ワールドカップパラグアイ戦直前緊急生放送を実施。
  • 真相報道 バンキシャ!(日本テレビ系、2010年10月3日)羽田空港国際化スペシャル(羽田空港新国際ターミナルから中継、一部施設は事前録画の映像を放送)
  • 行列のできる法律相談所(日本テレビ系)
  • 爆生レッドカーペット(フジテレビ系、2012年2月18日・4月14日・5月26日・7月28日・10月13日)
  • 駅前物語(青森放送、1992年5月8日、「金曜ワイドあおもり」内。通常は事前収録だが、この日で「駅前物語」が100回を迎えた為、これを記念してこの日のみコーナー全編生中継を行った。)
  • ゲームセンターCX 生挑戦スペシャル(フジテレビONE、2007年12月24日〜12月25日・2009年4月12日・8月29日〜8月30日・2012年2月24日〜2月25日・2013年7月18日・7月19日・2015年12月12日)

その他の分野編集

テレビショッピング編集

番組によっては一部、生放送のものもある。

ドラマ編集

1950年代 - 1960年代初頭までは、大抵のテレビドラマは生放送によるものが多かった。その後、VTRが導入されてからはロケーションなど、収録での制作が大半である。しかし、ドラマ中にあえて生放送を行ったケースがいくつかある。なお、生放送のドラマでも地上波・BS・CSでの再放送が行えるように、VTRテープによる同時録画も行われる。

生放送中に発生した事件編集

脚注編集

  1. ^ 例えば、視聴者の自宅が地震で揺れているのに、地元局のスタジオで行われている番組のテレビ画面では地震が起きていない、など。
  2. ^ [*それは「イ」の字から始まった ~テレビのはじまり~ - マンガで読むNHKヒストリー]
  3. ^ ただし、後にジャネットが意図的な演出だったことを告白したことから、つまりこれは事前から仕組まれていた故意による「やらせ」のアクシデントであったことが発覚し、放送局のCBSに対して罰金が課せられた。Super Bowl XXXVIII halftime show controversyを参照。
  4. ^ たとえば東京では、年末繁忙期の上野アメ横築地場外市場など。
  5. ^ http://www.nhk.or.jp/r1/about/index.html
  6. ^ 前述のジャネット・ジャクソンのアクシデントが起こされた放送でも、遅延送出システムが採用されていた。
  7. ^ 但し、前身番組の『ミセス&ミセス』と『ルックルックこんにちは』は、遅れ時差ネットを行っていた放送局があった。
  8. ^ ただし、延岡西日本マラソン(UMK製作のFNS九州ネット)は、BSフジでは開催日深夜のダイジェスト放送。
  9. ^ 但し、箱根駅伝(日本テレビ系列)は、日テレ系衛星放送(BS日テレ・日テレジータス)では、同日及び後日のダイジェスト放送。
  10. ^ 但し、2014年度の放送は、後半部に『深夜しゃべくりの裏側SP』放送の為、前半部のマラソンを取り上げた部分のみ生放送だった。
  11. ^ ただし、2015年は日曜日と重なったことから、長崎放送については、日曜朝の情報番組を拡大する形で放送し、TBS系CS放送「TBSニュースバード」でのサイマル放送は行わなかった。
  12. ^ なお、式典中継が延びた場合は、総合テレビでは、途中で飛び降りる
  13. ^ 番組ホームページ
  14. ^ “After Shooting, Alleged Gunman Details Grievances in ‘Suicide Notes’”. ABCニュース. (2015年8月26日). http://abcnews.go.com/beta/US/shooting-alleged-gunman-details-grievances-suicide-notes/story?id=33336339