パラカス国立自然保護区

パラカス国立自然保護区La Reserva Nacional de Paracas)とは、1975年にペルー政府が制定した国立自然保護区[1]。1992年には、同国で初めて渡り鳥および湿地に関する国際条約「ラムサール条約」として登録された[2][3]。また、2003年には国際海事機関(IMO)が海洋エリアを特別敏感海域に指定した。イカ県に位置し、国内有数のリゾート地としても知られている。

保護区の地図
保護区内のスパイビーチ

特徴 編集

パラカス内に二ヶ所存在する国立自然保護区のうちの一つ。リマから250キロ南下した場所に位置しており、約33万5000ヘクタールの海洋域と沿岸砂漠で出来ている[4]。保護区エリアの35%が本土と島(サンガヤン島スペイン語版インデペンデンシア島スペイン語版など)、65%が海で構成されている。プランクトンが豊富で、野生動物が多く生息していることから、「リトル・ガラパゴス」とも言われている。パラカス内に存在するもう一方の保護区、バジェスタス島までのボートサファリも人気。島内はペルーペリカン英語版オタリア絶滅危惧種フンボルトペンギンインカアジサシフラミンゴなどが生息している。パラカス国立自然保護区(Reserva Nacional de Paracas)と同様の管理下にあると思われることが多いが、厳密に言うとバジェスタス島は、ペルー国内の島々を統括するReserva Nacional Sistema de Islas, Islotes y Puntas Guanerasの管理下にある。

一帯にはザトウクジラマッコウクジラなどの20種の鯨類、168種の魚類、タイマイオサガメなどの10種の爬虫類、ミナミウミカワウソなどの36種の哺乳類およびアメリカズグロカモメクロハサミアジサシなどの216種の鳥類が生息している[3]

観光 編集

 
文化遺産でもあるパラカスの地上絵「カンデラブロ」

保護区内を回るツアーや、バジェスタス島のボートサファリとのセットツアーが人気。自転車やバギーをレンタルするアクティビティも多い。敷地内には複数のビーチがあり、夏場は多くの観光客が押し寄せる。敷地内にある3ヶ所のビーチ(ユマンケビーチ、ラグニーヤビーチ、セントロ・デ・インテルプレタシオン)では、有料でキャンプを行う事も可能。2018年には427,013人の観光客が訪れ、PROMPERÚ(Comisión de Promoción del Perú para la Exportación y el Turismo)が発表した「2018年にペルーで最も観光客が訪れた国立自然保護区ランキング」では、バジェスタス島に次ぎ全国2位[5]となった。砂丘の斜面には、未だに謎に包まれた「カンデラブロ(燭台)」と呼ばれる地上絵があり、2016年に国の文化遺産として登録された[6]

気候 編集

沖合に寒流ペルー海流が流れるため、沿岸は砂漠地帯であり、一年を通して日光が強く、乾燥している。夏場は18度~30度前後。冬場は12度~20度程度となるが、頻繁に強風が吹くことから体感温度は低く感じることが多い。

保護活動 編集

ペルー環境庁の管轄となる国家自然保護区管理事務局(SERNANP)の職員およびボランティアが常駐しており、保護区内の安全パトロールや管理、自然保護の啓発活動などを行っている。保護区内には、主要となる事務所の他に、守衛所が4ヶ所設置されている。保護区内の観光活動で得た収入のうち、30%は環境庁が保有し、70%が保護区内の管理、警備、保護活動、環境教育活動などに用いられる。近年、増加する観光客の数に従って、ゴミの投棄や違反行為の増加が相次いでおり、取締りを強化している。

禁止行為 編集

保護区内はリユース不可のプラスチック製品、ペット、アルコール飲料、スピーカー、バーベキュー用品、鍋類などの持ち込みは認められていない他、指定場所以外でのキャンプや火気使用も禁止されている。ただし、ユマンケビーチおよびラグニーヤビーチのみ、バーベキュー用品、キャンプ、火気使用が許可されている[7]。パラカスの地上絵「カンデラブロ」は、文化遺産として登録されているため、一般の立ち入りが禁止されている。無断で立ち入った場合には、逮捕や罰金の対象となる。

脚注 編集

  1. ^ Reserva Nacional Paracas (PDF)
  2. ^ Ramsar List”. The Secretariat of the Convention on Wetlands (Ramsar, Iran, 1971). 2020年2月27日閲覧。
  3. ^ a b Reserva Nacional de Paracas | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2021年11月11日). 2023年4月2日閲覧。
  4. ^ De Paracas - Servicio Nacional de Áreas Naturales Protegidas por el Estado”. www.sernanp.gob.pe. 2020年2月7日閲覧。
  5. ^ Las áreas naturales protegidas del Perú más visitadas -Ranking SERNANP 2018”. PROMPERÚ. 2020年2月27日閲覧。
  6. ^ Candelabro Paracas es declarado Patrimonio Cultural de la Nación”. La República. 2020年2月27日閲覧。
  7. ^ Reserva Nacional de Paracas - Sernanp”. Reserva Nacional de Paracas - Sernanp. 2020年1月31日閲覧。

座標: 南緯14度06分 西経76度12分 / 南緯14.1度 西経76.2度 / -14.1; -76.2