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ビショップ (Bishop、♗♝)は、チェスの駒の一種。僧正(もしくは)を表す。

チェス
Chess kdt45.svg キング Chess klt45.svg
Chess qdt45.svg クイーン Chess qlt45.svg
Chess rdt45.svg ルーク Chess rlt45.svg
Chess bdt45.svg ビショップ Chess blt45.svg
Chess ndt45.svg ナイト Chess nlt45.svg
Chess pdt45.svg ポーン Chess plt45.svg
Chess piece - White bishop.JPG
Chess piece - Black bishop.JPG

目次

名称・歴史編集

英語のビショップはキリスト教聖職者である「僧正」を意味する[1]。駒の形が司教冠に似ているためであろうという[2]

この駒は、サンスクリットでハスティン[3][4]ペルシア語でピールと呼ばれ[5]、いずれもゾウを意味した。アラビア語はペルシア語を借用してフィールと呼んだ。現在のスペイン語の名称 alfil はアラビア語の借用である。また、ロシア語слон スローン もゾウを意味する。シャンチーでも「象」と呼ばれる。ただし、現在のヒンディー語हाथी ハーティー(ゾウ)と呼ばれるのはルークであり、ビショップは ऊँट ウントラクダ)と呼ぶ[3]

他の西洋の言語ではさまざまな名称で呼ばれる。ドイツ語 Läufer(走者)・イタリア語 alfiere(副官)・フランス語 fou(道化)など。

インドでのこの駒の動きには、以下のいくつかの変種があったが、いずれも現在のビショップとは異なっていた[3]

  • 斜めに2歩ずつ動く(シャンチーの「象」に類似)
  • 縦横に2歩ずつ動く
  • 斜めまたは前に1歩ずつ動く(将棋銀将の動き)

このうち第一のものがアラビアや西洋に伝えられた。現在のビショップの動きは15世紀末の文献に見られる[6]。ビショップはクイーンと並んで、西洋で大きく動きの変更された駒になった。

初期配置編集

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ビショップの初期配置

白ビショップはc1とf1、黒ビショップはc8とf8に配置する。

  • 棋譜上ではBで表される。
  • 白側にも黒側にも、白マスのビショップと黒マスのビショップがある[7]

駒の動き編集

動きの基本
ビショップは斜め方向に何マスでも移動できる。
白マスのビショップと黒マスのビショップの動き方は、全く同じである。
しかし(その性質上)この2つが同じ色のマスに移動する事は絶対にない。
ビショップの動き方1
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白マスのビショップの動き
ビショップの動き方2
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黒マスのビショップの動き
図1 : 移動できるマスに敵の駒がある場合、その駒を取る事ができる。取った後は、その駒があったマスに移動する。
図2 : 味方の駒がいるマスには移動できない。
図3 : (敵味方に関係なく)他の駒を飛び越える事はできない。
図1
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敵の駒を取って、そのマスに移動できる。
図2
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味方のいるマスには移動できない。
図3
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他の駒を飛び越える事はできない。

ビショップの価値編集

  キング クイーン ルーク ビショップ ナイト ポーン
駒の価値 ∞(無限大) 9 5 3 3 1
  • この評価は一般的なものであり、絶対的なものではない。チェスの局面によって駒の価値は変動する。
  • ビショップが2個ともある場合の価値は、3+3=6より大きい。
  • ビショップは「小駒」と呼ばれている[8]

ビショップの特色編集

  • ビショップは他の駒とは異なり、(何手かけても)チェスボードの半分しか移動する事ができない。白マスのビショップは白マスだけに、黒マスのビショップは黒マスだけに移動する。ポーンのアンダープロモーションによって新たにビショップが発生しない限り、同じ色のマスにビショップが2個(以上)存在することは決してない。その意味で、初期配置では「ビショップという同じ駒が2個ある」というよりも「(動きは同一ながら)白マスのビショップと黒マスのビショップという別々の駒が1個ずつある」と考えたほうがよい[要出典]
  • ビショップ特有の用語としては、「グッド・ビショップ」と「バッド・ビショップ」がある[9]
    • グッド・ビショップ: 自分と同じマスの色の味方のポーンに邪魔されず、行動範囲が広いビショップ。
    • バッド・ビショップ: 自分と同じマスの色の味方のポーンに邪魔されて、身動きが取りにくいビショップ。
グッド・ビショップの例
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d5の白ビショップが、良く働いている。次にRe7とすれば、ほぼ白勝ち。
バッド・ビショップの例
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白は圧倒的に駒得しているが、これでは勝つ事ができない。

注釈編集

  1. ^ カトリック教会では司教正教会聖公会では主教と訳す。
  2. ^ Fergus Duniho; Hans Bodlaender (2001年12月15日). “Piececlopedia: Bishop”. chessvariants.org. 2015年8月9日閲覧。
  3. ^ a b c Indian Chess Sets”. History of Chess (2012年10月1日). 2015年8月9日閲覧。
  4. ^ hasty と書かれているのは母音に続くときの形
  5. ^ Jean-Louis Cazaux (2009年12月28日). “Chatrang or Chaturanga, the oldest Chess”. History of Chess. 2015年8月9日閲覧。
  6. ^ 増川宏一『チェス』法政大学出版社〈ものと人間の文化史 110〉、2003年、104ff。
  7. ^ 厳密に表現すれば、明色マスのビショップ(light square bishop)と暗色マスのビショップ(dark square bishop)になる。
  8. ^ 英語ではマイナー・ピース(minor piece)、またはライト・ピース(light piece)となる。
  9. ^ それぞれの用語を、「優良ビショップ」「不良ビショップ」と訳している文献もある。
    『チェス戦略大全 Ⅰ』 ルディック・パッハマン 小笠誠一 訳 評言社 ISBN 978-4-8282-0534-2

関連項目編集