ピーパ中国語: 琵琶)は、中国琵琶。広義には阮咸(げんかん)や月琴などのリュート属弦楽器もこれにに含めることがある。

歴史 編集

「琵琶」という言葉は後漢応劭風俗通』声音篇に見え、また『釈名』釈楽器によれば胡の楽器で、馬上で演奏するものであるとする。琵琶がいつ中国に伝わったかは明らかでないが、西晋傅玄「琵琶賦」(『初学記』および『通典』が引く)の伝える伝説によると、のときに万里の長城を築く労働者が演奏したとも、前漢烏孫公主が馬上で演奏できるように作ったともいう。しかし、その記述からすると当時「琵琶」と呼んだものは今の琵琶と異なり、阮咸にあたる楽器だったらしい[1]北魏時代の敦煌莫高窟壁画に5弦の琵琶が描かれており、現在につながる琵琶はこのころ中国に伝わったもののようである。

時代の琵琶は現在の日本の楽琵琶とほぼ同じ形をしており、音楽理論が整備される中で、調弦法も多数定められ、様々な合奏にも用いられ、記譜法も確立し、宮廷音楽から民間音楽まで、合奏、独奏、歌唱の伴奏と広く愛好された。白居易の詩「琵琶行」は有名であり、楊貴妃もよく琵琶を演奏したと言われる。代に使用された琵琶は唐代までのものとは異なり、日本の盲僧琵琶にやや近い形をしており、弦数は変わらないがフレットはずっと増えて14個を備えていた。撥ではなく、へら状の義甲(ピック)で弾奏する。江戸時代文政頃、月琴や胡琴等と共に日本に伝来、明治初年頃まで明清楽として流行した。現在も長崎に伝承され、「唐琵琶」と呼ばれている。以後も中国ではこの形のものを使用しており、民間歌謡の伴奏を主にしていたが、20世紀に入り、劉天華(二胡、琵琶演奏家、作曲家・1895年1932年)らにより独奏曲が作られ始めた。更に1950年代にこの琵琶を改良して現在の琵琶が作られた。現代の琵琶は4本の金属弦を持ち、31個のフレットで半音階を演奏できる。ギターの奏法が取り入れられ、弾奏には右手の全部の指を使用し、爪か義爪によって音を出す。

古い時代の琵琶の楽譜としては敦煌文書 P.3808 の裏面に記された10世紀以前の楽譜(25曲)と、日本に残された楽譜がある[2]。その琵琶譜の譜字は現在のところUnicodeには未収録だが、追加多言語面への追加が提案されている[3]

脚注 編集

  1. ^ 杨荫浏『中国古代音乐史稿』 上册、人民音乐出版社、1980年、129-131頁。 
  2. ^ 林謙三琵琶譜新考 特にその記譜法・奏法の変遷について」『奈良学芸大学紀要 人文・社会科学』第12巻、1964年、70–85。 
  3. ^ Proposal to encode old Chinese lute notation” (PDF). unicode.org (2017年9月7日). 2019年5月17日閲覧。

関連項目 編集