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フランツ・ボルケナウ(Franz Borkenau、1900年12月15日 - 1957年5月22日)は、オーストリア出身の社会学者、ジャーナリスト。フランクフルト学派の1人で、全体主義理論の先駆者の一人。

経歴編集

オーストリアのウィーン生まれ。父は公務員だった。ライプツィヒ大学の学生として、マルクス主義と精神分析に大きな関心を寄せた。

1921年にドイツ共産党に加わり、コミンテルンのエージェントとして活動。1924年に大学卒業後はベルリンに移った。1929年、スターリニズムに反発し、コミンテルンを辞めた。

フランクフルト大学の社会問題研究所の研究員となり、カール・グリュンベルク (Carl Grünberg) に師事した。主な関心は、資本主義とイデオロギーの関係だった。

1933年に、ナチスによるユダヤ人への圧迫によりドイツから亡命し、ウィーン、パリパナマに移った。

1936年、スペイン内戦に参加し、1937年、『スペインの戦場』を発表。著書『全体主義という敵』で、ファシズムと共産主義の実質的な同一性を記し、ロシアは「赤いファシズム」、ナチス・ドイツは「褐色のボルシェヴィズム」と呼んだ[1]

第二次世界大戦後はドイツに戻り、マールブルク大学で歴史学の教授を1年間務めたのち、ドイツのほかパリ・ローマチューリッヒでフリージャーナリストとして活動した。チューリッヒで没した。

著書編集

  • Der Übergang vom feudalen zum bürgerlichen Weltbild.(1934年)邦訳:水田洋ほか訳『封建的世界像から市民的世界像へ』みすず書房、1965年
  • Pareto.(1936年)
  • The Spanish Cockpit. An Eye-Witness Account of the Political and Social Conflicts of the Spanish Civil War.(1937年)邦訳:鈴木隆訳『スペインの戦場』三一書房、1966年
  • The Communist International.(1937年)邦訳:佐野健治・鈴木隆訳『世界共産党史』合同出版、1968年
  • The Totalitarian Enemy.(1940年)
  • Drei Abhandlungen zur deutschen Geschichte.(1947年)

封建的世界像から市民的世界像へ編集

ボルケナウの主著で、ナチス台頭期の1931年に執筆された。1934年にパリで刊行。

封建社会の支配的イデオロギーとして中世哲学(トマス・アクィナスに大成されたスコラ哲学)を挙げ、ルネサンス宗教改革を経て、市民社会のイデオロギーが生まれるまでを論じている。17世紀初めに機械論が勝利を収めるとして、ルネ・デカルトピエール・ガッサンディトマス・ホッブズブレーズ・パスカルまでを取り上げている。

日本では1935年に前半部分の翻訳書(『近代世界観成立史 : 封建的世界観から市民的世界観へ マニュフアクチア時代の哲学史のための研究』横川次郎・新島繁訳)が出版され、1938年3月、ホッブズの章の部分訳が『唯物論研究』に掲載された。

丸山真男(『日本政治思想史研究』)や奈良本辰也(『近世封建社会史論』所収「近世における近代的思惟の発展」)らに多大な影響を与えた。

注釈編集

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  1. ^ 「全体主義」エンツォ・トラヴェルソ(平凡社新書、2010年)63p

関連項目編集