フラームス・ベランフ

フラームス・ベランフオランダ語:Vlaams Belang、略称:VB)は、ベルギー政党。党名はフラームスの利益を意味する。オランダ語系のフラマン語圏であるフランデレン地域を基盤とする右派ポピュリズム、または極右政党とみなされている。

ベルギーの旗 ベルギー政党
フラームス・ベランフ
Vlaams Belang
党首 トム・ファン・グリーケン
成立年月日 1978年(フラームス・ブロック)
2004年11月14日(現党名)
本部所在地 ベルギーの旗 ベルギー ブリュッセル
代議院議席数
3 / 150   (2%)
(2014年6月)
元老院議席数
2 / 60   (3%)
2014年
政治的思想・立場 右翼[1]-極右[2]
分離主義[3][4]
欧州懐疑主義[5]
国民保守主義[6]
右派ポピュリズム[4][7]
社会保守主義[8]
フランダースのナショナリズム[3][4]
公式サイト www.vlaamsbelang.org
国際組織 アイデンティティ・民主
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1978年に設立された フラームス・ブロック(オランダ語:Vlaams Blok)が、2004年に法廷闘争の末に党名を変更したもの。フランドル(フランデレン地域とほぼ同義)の分離独立を主張し、移民多文化主義ワロン地域への予算配分に強く反対する。過激な主張のため与党入りしたことはないが、フランデレン地域では支持にかなりの広がりがある。いっぽう同じ極右でもベルギーの一体性と連邦制の廃止を唱えていたワロン地域の国民戦線(2012年に解党)とは基本的に一致しない。

歴史編集

フラームス・ブロック (1978-2004)編集

フラームス・ベラングの前身であるフラームス・ブロックは、フランデレン地域主義政党の人民同盟から分裂したグループによって1979年に設立された。 当初、党勢は伸び悩んだ。そこで、移民問題を強調し、排外的な主張を掲げる戦略をとった。この新しい路線は成功し、1988年のアントウェルペンでの市議会議員選挙以降、党は勢力を拡大していった。1991年の国政選挙では、代議院(下院)の議席を2議席から12議席へ、元老院(上院)の議席を1議席から5議席へと、ともに大きく増やし、この極右政党の勝利に終わった選挙は「黒い日曜日」選挙と呼ばれた。過激な主張を掲げるフラームス・ブロックの台頭を警戒した他の政党は、1989年から「防疫線」協定を結んで同党との協力を拒否したため、その後も着実に議席を増やしたにもかかわらず中央・地方のどちらでも政権入りはできなかった。 2004年には、党の関連団体が人種差別的であるとの判断が裁判所によって下され、政党補助金を受けられなくなった。フラームス・ブロックはこれに反発し、新たな政党であるフラームス・ベランフへの移行(事実上、党名の変更)を決定した。

フラームス・ベランフ (2004-)編集

フラームス・ベランフは、党名は変更されたものの、事実上以前のフラームス・ブロックをそのまま引き継ぐ形でスタートした。代表には、それまでフラームス・ブロックの代表であったフランク・ファンヘッケFrank Vanheckeが就任した。 2006年の地方選挙では再び大きく得票を伸ばし、あわせて800人以上を当選させた。これは選挙前の約2倍である。しかし、翌年の国政選挙ではほぼ現状維持の結果となり、以降は議席数の減少が続いた。2014年の国政選挙では代議院の議席を9減らし、3議席に後退した。この背景には、同じくフランデレン地域で地域主義的な主張を展開している新フラームス同盟の成功があると考えられている。

党勢編集

2014年の選挙では、下院である代議院では150議席のうち3議席を獲得した。選挙前の12議席からは大きく議席を減らした。上院である元老院では60議席(王族は含まない)のうち2議席を有する。

また、2014年欧州議会議員選挙では1議席を獲得している。欧州議会の政治会派には属していない。

代議院議席数 元老院議席数
 1981 
1 / 212
 1985 
1 / 212
0 / 184
 1987 
2 / 212
1 / 184
 1991
12 / 212
5 / 184
 1995
11 / 150
5 / 71
 1999
15 / 150
6 / 71
 2003
18 / 150
9 / 71
 2007
17 / 150
8 / 71
 2010
12 / 150
5 / 71
 2014
3 / 150
2 / 60
※2003年選挙まではフラームス・ブロックとして参加

参考文献編集

  • 津田由美子「フラームス・ブロックとベルギー政党政治 : 一九九〇年代を中心に」『姫路法学』29・30、姫路獨協大学、2004年。
  • 網谷龍介; 伊藤武; 成廣孝 『ヨーロッパのデモクラシー』 ナカニシヤ出版、2009年。 

脚注編集

  1. ^ Political Geography
    p.145
    Google Books.
    Authors - Joe Painter and Alex Jeffery.
    Published by Sage in Los Angeles, United States.
    First published in 2009.
  2. ^
    • Art, David (2011). Inside the Radical Right: The Development of Anti-Immigrant Parties in Western Europe. Cambridge University Press. pp. 106–107 
    • Coffé, Hilde; Dewulf, Jeroen (2014). Wavering between Radical and Moderate: The Discourse of the Vlaams Belang in Flanders (Belgium). ibidem. pp. 162–163 
    • Downs, William M. (2012). Political Extremism in Democracies: Combating Intolerance. Palgrave Macmillan. pp. 6, 85 
    • Erk, Jan (2005). “From Vlaams Blok to Vlaams Belang: The Belgian Far-Right Renames Itself”. West European Politics 28 (3): 493–502. doi:10.1080/01402380500085681. 
    • Hainsworth, Paul (2008). The Extreme Right in Western Europe. Routledge. p. 6 
    • Jamin, Jérôme (2012). Extreme-Right Discourse in Belgium: A Comparative Regional Approach. Routledge. p. 68 
    • Laible, Janet (2010). 'Back to the Future' with Vlaams Belang? Flemish Nationalism as a Modernizing Project in a Post-Modern European Union. Lexington Books. pp. 136, 142 
    • Leman, Johan (2012). 'Flemish Interest' (VB) and Islamophobia: Political, legal and judicial dealings. Campus Verlag. pp. 69–90 
    • Vogt, Roland (2014). Belgium: A Nation-State without a National Identity?. Transaction. p. 14 
  3. ^ a b Wingfield, George (2008). Belgium. Infobase Publishing. p. 104. ISBN 978-0-7910-9670-3. https://books.google.com/books?id=AR1TpY1wcCMC&dq 
  4. ^ a b c Nordsieck, Wolfram (2019年). “Flanders/Belgium”. Parties and Elections in Europe. 2019年5月30日閲覧。
  5. ^ Belgians' pride in EU role quells euroscepticism. EUobserver. Published 6 May 2014. Retrieved 22 May 2017.
  6. ^ Thompson, Wayne C. (2008). Western Europe 2008. Stryker Post Pubns. p. 201. ISBN 978-1-887985-98-7. https://archive.org/details/westerneurope20000wayn 
  7. ^ Hans-Jürgen Bieling (2015). “Uneven development and 'European crisis constitutionalism', or the reasons for and conditions of a 'passive revolution in trouble'”. Asymmetric Crisis in Europe and Possible Futures: Critical Political Economy and Post-Keynesian Perspectives. Routledge. p. 110. ISBN 978-1-317-65298-4. https://books.google.com/books?id=JJsGCAAAQBAJ&pg=PA110 
  8. ^ Bèland, Daniel (2008). Nationalism and Social Policy. Oxford University Press. p. 196 

外部リンク編集