ブッカブー (Bucca-boo) は、イギリスコーンウォール地方に伝えられている妖精の一種である。 ゴブリンの仲間であるともいわれる[1]

ブッカ((Bucca)に関する英語の記事)とも。ウェールズではブカブキオドとも言う。キャロル・ローズによればウェールズ語の「Bwcïod」は、精霊全般を指す語[2]である。アンナ・フランクリンは、ウェールズ語で悪魔を指す「Bwcibo」が語源である可能性を示唆している[3]

キャサリン・ブリッグズ(英語版の記事)によれば、ブッカ・ドゥー(「黒いブッカ」の意)という比較的悪い者、とブッカ・グイデン(「白いブッカ」の意)という、比較的良い者がいるという[4]

その姿は目で見えないがその活動は観察できる。

K・M=ブリッグズによれば、元々はデイヴィー・ジョーンズのような海神[5]で、海の実りを司る神といわれ、現地の漁師達はブッカブーに魚などを供えて豊漁を祈願したという。 また収穫期にパンビールを供える農夫によってなだめられた[1]が、その際、左肩からパンのかけらを投げるという儀礼が伝えられている[5]

とある港ではブッカがを起こすと考えられており海岸線難破船が数多く出ることを予言できると考えられていたため魚を供え天気と豊漁を祈願したという[6]

またドイツコボルト同様鉱山の精霊としても現れその際はノッカーと呼ばれた。キャロル・ローズは、ブッカが信仰される儀礼、風習が、19世紀末ごろには廃れてしまったとし、それ以降「子供部屋のボギー」と呼ばれるしつけのための妖精になったとしている[6]。親が子供へ、悪い事をしているとブッカブーに食べられる[1]、連れていかれる[4]などと言って叱ったという。

脚注 編集

参考文献 編集

  • 草野巧『幻想動物事典』新紀元社〈ファンタジー事典シリーズ〉、1997年5月。ISBN 978-4-88317-283-2 
  • ローズ, キャロル『世界の妖精・妖怪事典』松村一男監訳、原書房〈シリーズ・ファンタジー百科〉、2003年12月。ISBN 978-4-562-03712-4 
  • キャサリン・M・ブリッグズ『妖精事典』冨山房、1992年9月。ISBN 978-4572000934 
  • ブリッグズ, キャサリン・M『イギリスの妖精―フォークロアと文学』石井美樹子 山内玲子筑摩書房、1991年3月。ISBN 978-4480831101 
  • フランクリン, アンナ『図説妖精百科事典』東洋書林、2004年2月。ISBN 978-4887216365 

関連項目 編集