ブラジルから来た少年
『ブラジルから来た少年』(ブラジルからきたしょうねん、The Boys from Brazil)は、アメリカの作家アイラ・レヴィンが1976年に発表した小説。映画化、ラジオドラマ化されている(下参照)。
ブラジルでヒトラーのクローンを再生させようとする科学者ヨーゼフ・メンゲレと、それを阻止しようとするナチ・ハンターのユダヤ人・リーベルマンとの葛藤を描く。
同じくメンゲレについて取り上げたスレイヤーの「エンジェル・オブ・デス」にフレーズが引用された。
あらすじ編集
映画編集
詳細は「ブラジルから来た少年 (映画)」を参照
映画化は、英国貴族で映画製作者のルー・グレード卿により製作された。監督はフランクリン・J・シャフナーである。1978年10月5日に公開された。日本では劇場未公開となり、1984年3月3日にフジテレビ系列の「ゴールデン洋画劇場」でテレビ初放送された。本作品に対しては公開後、有識者より過度の遺伝子決定論的内容に対し批判が向けられた。そのためか、ヒトラーの遺伝子をもつ子供一人が、自ら撮影したメンゲレの死体の写真を現像し、見て悦んでいるラストシーンがビデオソフトでは削除されている(DVDには存在する)。
第51回アカデミー賞で作曲賞の候補となっている。テーマ曲はウィンナ・ワルツ風であり、これは主人公がウイーンに在住している場面から始まるためである。この注文を監督から受けた作曲家は、あまり賛成ではなかったが、注文どおりに作曲した。また、メンゲレらナチの残党が潜む南米の場面ではギターを使用してラテン情緒を醸し出し、ナチ残党の陰謀を表現する際はオーケストラがワーグナー風の和音を響かせる。
ラジオドラマ編集
この作品はNHK-FM『青春アドベンチャー』でラジオドラマ化され、1996年5月20日から5月31日にかけて全10回放送された。
スタッフ編集
- 脚色:高橋いさを
- 選曲:伊藤守恵
- エンディング:『リリー・マルレーン』(歌:マレーネ・ディートリヒ)
- 技術:大塚豊
- 効果:若林宏
- 演出:川口泰典
キャスト編集
- リーベルマン:吉田鋼太郎
- メンゲレ:海津義孝
- 武岡淳一(ヘッセン,クラウス)
- 舵一星(女子学生)
- 北沢洋(ムント,デーリング)
- こだま愛(女子学生)
- 岩尾万太郎(バリー・ケラー,ハルンバッハ)
- 石橋祐(シドニー・ベイノン,クライスト)
ほか
関連項目編集
- サイモン・ヴィーゼンタール - エズラ・リーベルマンのモデル。ナチスの戦犯たちを追い続けた実在のユダヤ人。アンネ・フランクを強制収容所に送り込んだゲシュタポのカール・ヨーゼフ・ジルバーバウアーや、ソビボル強制収容所の看守グスタフ・ワーグナー、そしてイスラエルの諜報部(モサド)に逮捕されハンナ・アーレントが裁判状況を詳述したアドルフ・アイヒマン等々、ほぼ個人的執念だけで大きな成果を上げた傑物。
- モロー博士の島 - H.G.ウェルズのSF小説。マッド・サイエンチストが動物版フランケンシュタインのような合成を実験する。何度も映画化された。
- リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン - モロー博士が、アルフォンス・モローという名で登場する。
- D.N.A./ドクター・モローの島 - 『モロー博士の島』のリメイク映画。
- ドウエル教授の首 - 首だけ男のロシア映画。
- 731部隊 - 第二次世界大戦時の日本(満州)での人体実験。