サザエさん症候群

休日の夕方に、翌日からの通勤・通学に対して感じる、憂鬱な気分

サザエさん症候群(サザエさんしょうこうぐん)とは、日曜の夕方から深夜、「翌日(月曜)からまた通学仕事をしなければならない」という現実に直面して憂鬱になること[1]の、日本における俗称である(後述するように、テレビアニメ『サザエさん』は日本国内の多くの地域で日曜日夕方に放映される)。

実際に月曜(マンデー)に仕事や学業が始まってからの憂鬱さを含めた、同じような症例[2]ブルーマンデー症候群 (Blue Monday)、(Sunday Scaries) [3]についても取り扱う。

概説

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主に学生社会人など、月曜から学校勤務が始まる人に起こりうる症状とされる[4]。ごく軽度のうつ病または適応障害の一種とする説もある[5]。ただし、夏休み中や冬休み中などの長期休暇の場合や、土曜日曜が学校や勤務で平日休日の場合は翌日の月曜休みのため、なる人があまりいないこともある。

ブルーマンデー

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世界的にはBlue Monday(ブルーマンデー、「憂鬱な月曜日」)と言われ、休日明けの物憂い月曜日として広く認識されている[4]

日本菓子メーカー江崎グリコによるアンケート調査(2018年2月に働く男女と専業主婦の各400人に実施)では、「憂鬱に感じる曜日」は月曜が各層とも最多だった。また労働者健康安全機構の旭労災病院(愛知県尾張旭市)の研究によると、心臓への負荷(収縮期血圧×脈拍数)は月曜午前が他の曜日・時間帯より高い。早稲田大学准教授の上田路子らによる人口動態調査票の分析では、男性の自殺が最多なのは月曜午前であった。

予防や軽減には「人と会う」[6]「平日を気持ちよく過ごす」[7]「金曜日までに仕事を片付けたうえで翌週の予定を立てておく」「週末は趣味などに没頭する」ことなどが有効とされる。月曜の始業を午後にすることを認めたり、休日を日曜・月曜にしたりするなどの対策を行う企業も一部にある[3]

名前の由来

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この名前の由来は、アニメサザエさん』が日曜の終わりの代名詞となっていることである[8]

休日の終わりを自覚する最も多いパターンが、日本で毎週日曜夕方18:30 - 19:00(日本時間)にフジテレビ系列で放送されているアニメ『サザエさん』の放送時間帯であることから、この名称がつけられたとされる。『サザエさん』は50年を超える長寿番組であり、世代にかかわらず認知度が高く、放送開始時刻・終了時刻が固定されており、スポーツ中継などで放送休止になる例が非常に少ないことから、日曜夕方の代名詞となったといわれる。嘉門達夫は自身のシングル『NIPPONのサザエさん』(1993年)でサザエさん症候群を表現している[注 1][注 2]

この症例は休日の終わり、学校、仕事の始まりを実感し憂鬱になるものであり、それらを概して呼ぶために比較的認知されやすい語を用いて説明しているに過ぎないため、警察消防自衛隊・大規模工場など交替勤務を要するものや、平日定休日を設ける事業所など、必ずしも日曜が休日とならない職種の人、『サザエさん』を他の曜日および日曜日の早朝に遅れネットで放送している地域(フジテレビ系列の置局がない青森県山梨県山口県徳島県では系列外局で放送)[注 3][注 4]の人が覚える休日の終わりによる憂鬱感でも、こう呼称して問題は無い。

人によっては『笑点』のテーマ曲(日曜17:30 - 18:00)、『らじらー!Sunday』のオープニングとエンディング、ラジオ深夜便の日曜放送のエンディング、かつては「すばらしい世界旅行」や「投稿!特ホウ王国」など(日曜19:00 - 20:00枠)のエンディングで放送された『日立の樹[注 5]、『スーパーJOCKEY』のエンディング前のゲスト歌手の歌、「日曜洋画劇場」のエンディングテーマ『ソー・イン・ラブ』で休日終了の寂寞感を感じることもある[9]

参考書籍

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脚注

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注釈

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  1. ^ なお歌詞カードには、サザエさん日曜日夕方象徴として引用しており、サザエさん自体にそのような気分を呼び起こさせる効果があるとしているわけではないという但し書きが記載されている。
  2. ^ 2010年代では『クロスファイト ビーダマン』や『ビーストサーガ』、2020年代では『トミカ絆合体 アースグランナー』や『マジカパーティ』といった朝のアニメがそれほどでも少なくなっている。
  3. ^ この4県でもケーブルテレビや高感度アンテナなどで隣県の放送局を受信できる環境が揃えば、キー局と同時刻に視聴できる。
  4. ^ 放送開始当初はクロスネットなどの都合で、2020年現在よりも遅れネットの地域が多かった。
  5. ^ 1997年10月からは土曜21:00 - 21:54枠の『世界・ふしぎ発見!』での放送に移動し、その後2024年3月に放送を終了したため、当て嵌まらなくなった。

出典

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  1. ^ 福西勇夫 2010, p. 27.
  2. ^ 高橋恭介 2013, p. 102.
  3. ^ a b 【生活調べ隊】「ブルーマンデー」乗り切る 午後から勤務/日・月曜休み/新人同士交流および関連記事「週末は仕事忘れ趣味を」『読売新聞』朝刊2018年12月11日(くらし面)。
  4. ^ a b 土岐優美 2007, p. 118.
  5. ^ 大野裕 2014, p. 28.
  6. ^ 五百田達成 2012, p. 103.
  7. ^ 山下良道 2015, p. 170.
  8. ^ 佐々木圭吾 & 高橋克徳 2016, p. 3.
  9. ^ 栗田正行 2012, p. 6.