ペトロシア・フィシフォルミス

ペトロシア・フィシフォルミス(Petrosia ficiformis)は、フツウカイメン綱イソカイメン目のカイメン(海綿)の一種[1]。学名はギリシャ語のπέτρα(pétra、岩)、φύση(physis、自然)、φόρμα(fórma、形作る)から来ており、「自然に形成された岩」を意味する。

Petrosia ficiformis
Petrosia ficiformis.jpg
Petrosia ficiformisは、地中海および北大西洋の紫褐色のカイメンである。
分類
: 動物界 Animalia
: 海綿動物門 Porifera
: フツウカイメン綱 Demospongiae
: イワカイメン目 Petrosida
: イワカイメン科 Petrosiidae
: イワカイメン属 Petrosia
亜属 : Petrosia
: P. ficiformis
学名
Petrosia ficiformis Poiret (1979)

1980年までは、ザラカイメン目 Haplosclerida に分類されていた。このカイメンの分類に関する混乱は今日も続いており、異なる著者が異なる分類をしている[2]。本項では、NCBI分類を用いる。

分布編集

P. ficiformisは、水深5から70メートルの間の突き出した場所や洞窟内の岩の底面で見られる。本種は以下の場所で記述されている: アドリア海エーゲ海アゾレス諸島カナリア諸島マデイラ諸島カーボベルデイオニア海レバント海地中海北大西洋シドラ湾、西アフリカ、地中海西部。

特徴編集

P. ficiformisは、光合成シアノバクテリア(藍藻)との共生のため大抵紫褐色をしているが、光が当たらないと白色にもなる。小型で、硬い感触をしており、表面上に不規則に拡がった球状の小孔を有する。

化合物編集

 
ペトロシノールの構造

P. ficiformisは、アセチレン類を生産するカイメンの一つである。この例の一つはペトロシノール[3](petrosynol)である。ペトロシノールは炭素数30のポリアセチレンアルコールであり、イワカイメン属から1987年に単離された[4]。ペトロシノールはその抗菌活性により、カイメンの防御に役立っていると考えられる[5]

P. ficiformisは、ヒドロキシル化されたポリアセチレンであるPetroformyne類を合成することが知られている[6]。Petroformyne類は細胞毒性および抗腫瘍活性を示す。

捕食者編集

P. ficiformisは、このカイメン上で一般的に見られるツヅレウミウシ属英語版ウミウシ Discodoris astromaculataの主な食料源である。これらのウミウシは消化管にこのカイメンに含まれる化合物を蓄積し、自身の防御戦略の一つとして利用している[7]

脚注編集

  1. ^ Petrosia (Petrosia) ficiformis (Poiret, 1789)”. EOL. 2012年5月15日閲覧。
  2. ^ Férnandez-Trillo, Francisco (2004年). Síntesis de Poliacetilenosde Origen Marino:Síntesis de Callyberinas A-C y (−)-Siphonodiol (PhD thesis). Universidad de Santiago de Compostela.. http://es.scribd.com/doc/76368244/PhD-Dissertation-2004-Fernandez-Trillo 
  3. ^ Krebs, H. C. (1986). Herz, W.,Grisebach, H., Kirby, G. W., Tamm, C. Ed.. ed. Progress in the Chemistry of Organic Natural Products. 49. Wien-New York: Springer-Verlag. pp. 151-319. ISBN 978-3211819104. 
  4. ^ N. Fusetani, T. Shiragaki, S. Matsunaga, K. Hashimoto (1987). “Bioactive marine metabolites XX. Petrosynol and petrosynone, antimicrobial C30 polyacetylenes from the marine sponge Petrosia sp.: Determination of the absolute configuration”. Tetrahedron Lett. 28 (37): 4313–4314. doi:10.1016/S0040-4039(00)96494-3. 
  5. ^ Meglitsch, P.A.; Schram, F.R. (1991). Invertebrate Zoology (3rd ed.). New York: Oxford University Press. pp. 623. ISBN 978-0195049008. 
  6. ^ Valerie J. Paul, William Fenical (1980). “Toxic acetylene-containing lipids from the red marine alga Liagora farinosa lamouroux”. Tetrahedron Lett. 21 (35): 3327-3330. doi:10.1016/S0040-4039(00)78680-1. 
  7. ^ Discodoris astromaculata (Bergh, 1880)”. asturnatura.com. http://www.asturnatura.com/especie/discodoris-atromaculata.html 2012年5月15日閲覧。. 

外部リンク編集

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