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画像提供依頼:ホンダXLRシリーズの画像提供をお願いします。2017年7月

XLR(エックスエルアール)は、本田技研工業がかつて製造販売したオートバイのシリーズ商標である。

概要編集

デュアルパーパスモデルXLシリーズのモデルチェンジ車に使用された商標で、初出は1985年4月22日発表、同月30日発売で主力となっていた排気量250㏄クラスでXLX250RからモデルチェンジされたXLR250Rの単独車名として使用された[1]

後に80㏄・125㏄・200㏄の排気量別バリエーションが追加されたが、2000年までに後継モデルへモデルチェンジもしくは廃モデルとなった。

排気量別モデル解説編集

全モデルの共通事項として空冷4ストロークSOHC単気筒エンジンを搭載しており、250㏄モデルは4バルブを放射状に配置するRFVC[注 1]ヘッドとされた。またマニュアルトランスミッションは80R/125R/200Rが5速で250㏄モデルは6速である。

フレームは80Rのみがダイヤモンド型、他のモデルがセミダブルクレードル型。サスペンション前輪がテレスコピックで250㏄モデルのみ円筒空気バネ併用、後輪がプロリンク式スイングアームである。

250㏄モデル編集

XLR250Rならびに派生モデルXLR BAJAが製造販売されたが、時期により型式が異なっており、本項では型式別に解説を行う。

MD16型編集

1985年4月22日発表、同月30日発売[1]。MD08型XLX250Rからのフルモデルチェンジ車である。

最大の変更点は搭載されるMD16E型エンジンで引き続きRFVCヘッドとされたが、XLX250R用のMD08E型では燃料供給をPH40型デュアルインテークキャブレターで行っていたものの調整難易度が高いことから加速ポンプ付のPD79型シングルとし、内径x行程も72.0x61.3→75.0x56.5(mm)へショートストローク化させ[注 2][注 3]圧縮比も9.8→9.3とした結果、スペックも最高出力26ps/8,500rpm・最大トルク2.2kg-m/ 7,500rpm[4]→28ps/8,500rpm・2.5kg-m/ 7,500rpmへアップした[1]

車体面では、上述したエンジンのシングルキャブレター化のほか、スイングアームをアルミニウム合金製へ変更したことなどにより、車重はXLX250R比5kg軽量化の123kgとなった[1]。またフロントフォークボトムケース・スイングアーム・ホイールリムをゴールド、エンジン・クランクケース・フレームをレッドに塗装した。

なお本型式はわずか1年半ほどで後述するMD20型へフルモデルチェンジされたためモデルイヤーコードのXLR250RFで呼称されるケースも多い[5]

MD20型編集

XLR250Rの車名で1986年12月1日発表、同月2日発売[6]。MD16型からは以下の変更を実施。

  • 搭載するRFVCヘッドエンジンを低中速トルク重視の観点からFTR250用に開発された内径x行程:73.0x59.5(mm)のMD17E型へ変更
  • 最高出力28ps/8,500rpm・最大トルク2.5kg-m/ 7,500rpmのスペックは変更なし
  • 燃料タンク形状変更のより容量を10→9Lへダウン
  • 後輪サイズを17→18インチへアップ
  • 車重はMD16型比2kg軽量化の121kgへダウン

本型式は1988年まで製造された。

MD22型編集

XLR BAJAの車名で1987年11月20日発表、同年12月1日発売[7]

車名のBAJAバハ)は、メキシコ[注 4]バハ・カリフォルニア半島Península de Baja California)で開催されるエンデューロレースBAJA 1000に由来しており、基本設計・コンポーネンツを共有するMD20型XLR250Rに比較してよりエンデューロ=オフロードでの使用を意識したモデルとして型式も含めて以下の変更を施した[7]

  • オイルクーラーを標準装備化
  • 後輪ブレーキをシングルディスク化
  • ヘッドライトを35/35Wの大型デュアルタイプへ変更
  • ヘッドライトの大容量化に伴いジェネレーター(発電機)を高発電能力がある三相交流式に変更
  • ヘッドライト光の照り返しを防ぐ目的からフロントフェンダーにツヤ消し塗装を採用
  • ウレタン製ハンドルプロテクターを標準装備
  • テールバッグを大型大容量化
  • 車重はMD20型比3kg増の124kg

ジェネレーターの容量アップと三相交流化に伴いレギュレーターも三相対応の大型なものが装備されたが、変換容量が不足していたためヘッドライトオフで走る機会が多い場合はレギュレーターが頻繁に故障した。昼間点灯が広まった後はあまり表面化することは無かったが、最終型まで改善されることは無かった。また全体的にライトバルブの要求電力ぎりぎりの回路設計のため、高光量を得ようとして65Wなどのバルブを付けるとヘッドライト用のプラス配線が焼損する。 MD22に限らず昼間点灯義務化前の時代にはレギュレーター故障や配線の焼損はヤマハ車でも見られたが、MD22は非常に顕著であった(ヤマハ車の場合は設置場所の問題で電装設計通りに放熱できなくて故障する事例が多かった)。 なお直流制御のMD20型と発電形式が全く異なるため相互の電装にほとんど互換性はない。

またベースとなったMD20型XLR250Rも1989年1月18日発表、同年2月1日発売のマイナーチェンジで後輪ブレーキをドラムブレーキからシングルディスク化し[8]、本型式へ統合された。

さらに1990年12月14日発表、同月15日発売のマイナーチェンジで[9]、フロントフォークのカートリッジ化・タンデムステップ取付位置をスイングアームからフレームへ移設などの変更を実施したほか、小規模な変更は以下のスケジュールで実施された。

  • 1989年12月22日発表 1990年1月20日発売[10] - カラーリング変更
  • 1992年1月22日発表 同月23日発売[11] - 250Rのみカラーリング変更
  • 1992年6月16日発表 同月19日発売[12] - BAJAのみカラーリング変更
  • 1993年3月発表 同年4月6日発売[13] - 250Rのみカラーリング変更
  • 1993年11月22日発表 同年12月3日発売[14] - カラーリング変更
  • 1993年12月20日発表[15] - 第30回東京モーターショーに参考出品された特別仕様車XLR250R SPECIAL1994年1月7日から2,000台限定で発売

1995年にMD30型XR250R・XR BAJAへフルモデルチェンジされ生産終了。

諸元編集

車名 XLR250R XLR BAJA XLR250R
型式 MD16 MD20 MD22
モデルイヤー 1985[1] 1987[6] 1988[7] 1989[8]
全長(m) 2.125 2.165
全幅(m) 0.860
全高(m) 1.210 1.190 1.210
最低地上高(m) 0.300 0.285
ホイールベース(m) 1.385 1.430
シート高(m) 0.850 0.860
車両重量(kg) 123 121 124 125
最低回転半径(m) 2.1
50㎞/h定地走行燃費 50.3km/L
原動機型式名 MD16E MD17E
エンジン型式 空冷4ストロークRFVC4バルブSOHC単気筒
総排気量 249㏄
内径x行程(mm) 75.0x56.5 73.0x59.5
圧縮比 9.3
燃料供給 PD79型キャブレター
最高出力 28ps/8,500rpm
最大トルク 2.5kg-m/7,500rpm
始動方式 プライマリーキック
点火装置 無接点式CDI
潤滑方式 圧送飛沫併用ウエットサンプ
潤滑油容量 1.6L
燃料タンク容量 10L 9L
クラッチ 湿式多板
変速方式 左足動式リターン
変速機 常時噛合6段
1速 2.769
2速 1.941
3速 1.450
4速 1.130
5速 0.923
6速 0.785
1次減速比 3.100
2次減速比 3.076 3.125
フレーム形式 セミダブルグレードル
フロントサスペンション 正立テレスコピック(円筒型空気バネ併用)
リヤサスペンション プロリンク式スイングアーム
キャスター 29°30′ 26°50′
トレール(mm) 120.0 105.0
タイヤ(前) 3.00-21-4PR
タイヤ(後) 4.60-17-4PR 4.60-18-4PR
前輪ブレーキ 油圧式シングルディスク
後輪ブレーキ 機械式ドラム 油圧式シングルディスク
標準価格 358,000円[注 5] 358,000円[注 6] 439,000円[注 5] 419,000円[注 7]

XLR125R・XLR200R編集

1993年5月25日発表、同年7月2日発売[16]。同一フレームに排気量の異なるエンジンを搭載し、排気量124㏄の原付二種(小型自動二輪車)とした型式名JD16がXLR125R、同じく196㏄の軽二輪(普通自動二輪車)とした型式名MD29がXLR200Rである[注 8]

本モデルの開発コンセプトは、「より楽しく軽快に」「より幅広いライダーに」「長時間のライディングにもストレスなく」走行できる高い基本性能と一般ライダーにも「親しみやすく」「扱いやすく」としたためエンジン始動方式を他モデルのプライマリーキックからセルフスターターへ変更した[16]

XLR125Rは、JD09型NX125からのフルモデルチェンジで搭載されるJD09E型エンジンも同モデルからのキャリーオーバーである[注 9]

一方でXLR200Rは1987年に生産終了となったMD14型XL200R以来の200㏄クラスモデルで新設計のMD29E型エンジンを搭載する[注 11]

ブレーキは両モデルとも共通で前輪は2ポットキャリパーと焼結パッドを組み合わせたローター径240mmの油圧式シングルディスク、後輪はバネ下重量を軽減する110mm径の片ハブ式ドラムブレーキである[16]

1997年にXLR200RはSL230へモデルチェンジされ生産終了。XLR125Rはマイナーチェンジを実施し、2000年まで生産された。

諸元編集

車名 XLR125R[16] XLR200R[16]
型式名 JD16 MD29
全長(m) 2.190 2.140
全幅(m) 0.840
全高(m) 1.175
ホイールベース(m) 1.375
最低地上高(m) 0.295
シート高(m) 0.860
車両重量(kg) 122 123
最低回転半径(m) 2.0
50㎞/h定地走行燃費 35.5km/L
原動機型式名 JD09E MD29E
エンジン型式 空冷4ストローク2バルブSOHC単気筒
総排気量(cc) 124 196
内径x行程(mm) 56.5x49.5 63.5x62.2
圧縮比 9.2 9.0
最高出力 12ps/9,000rpm 18ps/8,000rpm
最大トルク 1.0kg-m/7,000rpm 1.7kg-m/6,500rpm
キャブレター PD52 PD3C
点火装置 CDI式バッテリー
始動方式 セルフ
潤滑方式 圧送飛沫併用ウエットサンプ
潤滑油容量 1.2L
燃料タンク容量 9L
クラッチ 湿式多板コイルスプリング
変速方式 左足動式リターン
変速機 常時噛合5段
1速 2.769
2速 1.722
3速 1.263
4速 1.000
5速 0.838
1次減速比 4.055 3.090
2次減速比 3.000 3.230
フレーム形式 セミダブルグレードル
フロントサスペンション テレスコッピック
リヤサスペンション プロリンク式スイングアーム
キャスター 25°40′
トレール 95.0mm
タイヤ(前) 2.75-21-45P
タイヤ(後) 4.10-18-59P
ブレーキ(前) 油圧式シングルディスク
ブレーキ(後) 機械式ドラム
標準価格 349.000円[注 12] 369,000円[注 12]

XLR80R編集

1987年7月31日発表、同年8月1日発売[17]。型式名HD10。同社の排気量100㏄以下原付2種クラスデュアルパーパスモデルは1985年のXL80S生産終了によって2ストロークエンジン搭載のMTX80Rのみとなったが、初心者でも楽しく乗りこなせるコンパクトかつ扱いやすい4ストロークエンジンを搭載するランドスポーツバイクの要求から開発された。原付2種であるが、乗車定員は1名でタンデムステップもない。

前後ドラムブレーキやダイモンドフレームなどの基本設計はXL80SならびにミニモトクロスレーサーのXR80Rから継承されており[18]、搭載されるHD10E型前傾12°空冷SOHCエンジンはXL80S用HD04E型と同じ内径x行程47.5×45.0(mm)・排気量79㏄ながら最高出力6.8ps/8,000rpm・最大トルク0.63kg-m/7,500rpmへスペックアップされたほか[19]、プロリンク式スイングアーム後輪サスペンションや外装デザインはXLR250Rと共通である。

1988年に後継モデルとなる2ストロークエンジン搭載のCRM80が製造販売開始されたため1987年モデルのみで生産終了。

諸元編集

車名 XLR80R[17][18][19]
型式名 HD10
全長(m) 1.820
全幅(m) 0.720
全高(m) 0.955
ホイールベース(m) 1.205
最低地上高(m) 0.205
シート高(m) 0.715
車両重量(kg) 76
最低回転半径(m) 1.9
50㎞/h定地走行燃費 65.7km/L
原動機型式名 HD10E
エンジン型式 空冷4ストローク2バルブSOHC単気筒
総排気量(cc) 79
内径x行程(mm) 47.5×45.0
圧縮比 9.8
最高出力 6.8ps/8,000rpm
最大トルク 0.63kg-m/7,500rpm
キャブレター PC20
始動方式 プライマリーキック
点火装置 CDIマグネト
潤滑方式 圧送飛沫併用ウエットサンプ
潤滑油容量 0.9L
燃料タンク容量 6L
クラッチ 湿式多板コイルスプリング
変速方式 左足動式リターン
変速機 常時噛合5段
1速 3.083
2速 1.882
3速 1.400
4速 1.130
5速 0.960
1次減速比 4.437
2次減速比 3.266
フレーム形式 ダイヤモンド
フロントサスペンション テレスコッピック
リヤサスペンション プロリンク式スイングアーム
キャスター 26°15′
トレール 95.0mm
タイヤ(前) 2.50-16-4PR
タイヤ(後) 3.00-14-4PR
ブレーキ(前) 機械式ドラム
ブレーキ(後) 機械式ドラム
標準価格 209.000円[注 5]

官公庁納入仕様編集

 
XLR250R 陸上自衛隊向け仕様

陸上自衛隊向け偵察車両としてXLR250Rの納入実績がある。

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ Radial Four Valve Combustion Chamber=放射状4バルブ方式燃焼室の略。機構の特徴詳細はホンダ・XLX250R#車両解説を参照のこと。
  2. ^ MD08E型は海外向け輸出エンデューロレーサーNE01型XR350Rに搭載されていた内径x行程:84.0x61.3(mm)/排気量339ccのエンジンをベースに内径を縮小した。ちなみにXL250R用MD03E型は内径x行程:74.0x57.8(mm)から排気量248㏄である[2]
  3. ^ 同様にデュアルインテークキャブレターを搭載するGB250クラブマンも1987年2月に負圧式シングルキャブレターへ変更するマイナーチェンジを実施したが[3]、エンジン型式はMC10E型のままで内径x行程の変更は未実施。
  4. ^ プレスリリースには米国と誤って記載[7]
  5. ^ a b c 北海道沖縄県・一部離島は除く。
  6. ^ 北海道・沖縄県は8,000円高。一部離島は除く。
  7. ^ 北海道・沖縄県は9,000円高。一部離島は除く。
  8. ^ 同様な例に前身となったXL125R/200Rや現行モデルではPCX/PCX150があるほか、他社ではスズキが製造販売したジェベル125/200・DF125/200がある。
  9. ^ 基本設計は1975年に発売されたCB125JXへ搭載。後にトライアルモデルのTL125・イーハトーブやXLシリーズにも搭載されたものと共通である。
  10. ^ 基本設計は1974年から製造された海外向け輸出仕様のXL175用排気量173㏄エンジンであり、後にXL185S→XL200Rへの搭載で排気量拡大を実施した。
  11. ^ MD14E型は、XL200RやXR200Rへ搭載されていたMD06E型エンジン[注 10]をベースに低中速トルクの確保から、内径x行程:65.5x57.8(mm)/排気量194cc[1]を内径x行程:63.5×62.2/排気量196cc[16]へ変更した。なおスペック的には共通の最高出力18ps/8,000rpm・最大トルク1.7kg-m/ 6,500rpmである。
  12. ^ a b 北海道は12,000円高。沖縄県は8,000円高。一部離島は除く。

出典編集

外部リンク編集

関連項目編集