ボルン–オッペンハイマー近似
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ボルン–オッペンハイマー近似(ボルン–オッペンハイマーきんじ、英: Born–Oppenheimer approximation)とは、電子と原子核の運動を分離して、それぞれの運動を表す近似法である。この近似は、原子核の質量が電子の質量よりも遥かに大きいために可能となる[1][2][3][4]。
まず、電子状態については、原子核が固定されているものとして、電子波動関数とエネルギー固有値を求めることができる。これにより、ポテンシャルエネルギー曲線(曲面)を核の座標の関数として定義することができる。そして、核の波動関数は、核の運動がこのポテンシャルエネルギー曲面上に乗っているものとして求めることができる[1][4]。
この近似により、分子の電子波動関数と振動・回転の波動関数を分離して求めることが可能になる。また、分子の励起に伴う振動状態の分布に関する、フランク=コンドンの原理も説明することができる[2]。
脚注
編集出典
編集- ^ a b ザボ & オストランド 1991, pp. 45–47.
- ^ a b 小谷, 幸田 & 梁田 1997, pp. 179–180.
- ^ 高塚和夫『化学結合論入門 量子論の基礎から学ぶ』東京大学出版会、2007年9月。ISBN 978-4-13-062506-7。
- ^ a b Jensen 2006, pp. 10–11.
参考文献
編集- A.ザボ、N.S.オストランド『新しい量子化学 上 電子構造の理論入門』大野公男 阪井健男 望月祐志 訳、東京大学出版会、1991年7月。ISBN 978-4-13-062111-3。
- 小谷正博、幸田清一郎、染田清彦 著、近藤保 編『大学院講義物理化学』東京化学同人、1997年3月27日。ISBN 4-8079-0462-0。
- Jensen, Frank (2006-11-29) (英語), Introduction to Computational Chemistry (2nd ed.), Jonh Wiley & Sons Ltd(JW), ISBN 978-0-470-01187-4