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メガネザル(眼鏡猿、英語名:Tarsier)は、哺乳綱霊長目メガネザル科(メガネザルか、Tarsiidae)に分類される霊長類の総称。現生ではメガネザル科のみでメガネザル型下目[4](Tarsiiformes、メガネザル下目[2][3]とも)を構成する。

メガネザル
生息年代: 45–0 Ma
Tarsier.jpg
フィリピンメガネザル Tarsius syrichta
地質時代
約4,500万年前 - 現世
新生代古第三紀始新世前期後半ルテシアン - 第四紀完新世サブアトランティックja
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 霊長目 Primates
亜目 : 直鼻亜目 Haplorrhini
下目 : メガネザル型下目 Tarsiiformes
Gregory, 1915[1][2]
: メガネザル科 Tarsiidae
学名
Tarsiidae Gray, 1825[1][2]
和名
メガネザル科[2][3][4][5][6]
下位分類群(
本文を参照 *

インドネシアボルネオ島フィリピン諸島など、東南アジア島嶼部に生息する。メガネザルという名称の由来となった大きなに大きなが特徴である。

形態編集

体重100グラム程度の小型の霊長類である。体の割に大きな眼を持つ。眼球1つの重さは3グラムと、の重さとほぼ同じである。この眼は夜行性に適したもので、暗い所でもよく見ることができるが、逆に昼間はまぶしくて、あまり見えないらしい。この眼球は眼窩の中でほとんど動かすことができないが、代わりに(くび)を自在に動かすことができ、頸を180回転させて真後ろを見ることもできる。これほどまでに大きな眼を持つのは、たいていの夜行性の哺乳類に存在するタペータム網膜裏側の反射膜)を持たないからである。これは、かつて一時期昼行性となったために不要となったタペータムを失い、その後再び夜行性へと戻った際にそれを再生できなかったためと思われる。そのため、眼を大きくすることで夜間の乏しい光を捉え、夜の闇に適応したと考えられている。

後肢が長く、跳躍が得意で、枝から枝に跳び移ることができる。跳躍の距離は体長の25倍である。手足の指は長く、それぞれの指先には鋭い爪と、肉趾(にくし)と呼ばれる円盤状のふくらみがあり、枝からぶら下がることに役立っている。尾は体より長く、ほとんど毛がない。

染色体数はダイアンメガネザルでは2n=46、ニシメガネザルとフィリピンメガネザルでは2n=80[7]

生態編集

メガネザルに属する全種とも夜行性で、樹上で生活している。主に昆虫や小型の脊椎動物捕食する。

スラウェシメガネザルなどはペアもしくは家族群で生活する[6]。ニシメガネザルはペア[6]もしくは単独[8]で生活する。 フィリピンメガネザルは群れを作らない[7][9]

一年中繁殖可能であり、妊娠期間は約180日、1子を出産する。子供は体毛が生えそろった状態で生まれ、すぐに自力で枝にしがみつくことができる。

分類編集

分類学上の問題編集

メガネザルが霊長類の中で、どの系統に属するのか論争がなされてきた。原始的なサルの特徴を残しているため原猿亜目キツネザルロリスが属する)に分類する考えと、頭蓋骨(とうがいこつ)などの特徴から真猿亜目オマキザルニホンザル類人猿が属する)に分類する考えの双方があったのである。

伝統的な分類では原猿亜目に含められており[10]、一方で原猿亜目に含めずに独立したメガネザル亜目Tarsioideaという分類が提案されることもあった[2]

近年の分子生物学的な系統解析では真猿類の姉妹群であることを支持する結果が得られており、真猿類とともに直鼻亜目に分類されるようになってきた。

下位分類編集

現生のメガネザル科をメガネザル属のみに分類する説もある[1][2][6][11]。一方でニシメガネザルとフィリピンメガネザルをそれぞれ独立属として区別する分類が2010年に提唱されている[7]

以下の分類はGroves & Shekelle (2010)[7]・Shekelle et al. (2017)[12]に、和名・英名は主に日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2018)[3]に従う。

出典編集

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  1. ^ a b c d e Colin P. Groves (2005). “Order Primates”. In Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.). Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. pp. 111-184. http://www.departments.bucknell.edu/biology/resources/msw3/browse.asp?id=12100164. 
  2. ^ a b c d e f 岩本光雄 「サルの分類名(その7:総説とメガネザル)」『霊長類研究』第5巻 1号、日本霊長類学会、1989年、75-80頁。
  3. ^ a b c 日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2018年12月16日). “日本モンキーセンター 霊長類和名リスト 2018年11月版 (PDF)”. 2019年7月31日閲覧。
  4. ^ a b 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  5. ^ 小寺重孝 「メガネザル科の分類」『世界の動物 分類と飼育1 (霊長目)』 今泉吉典監修、東京動物園協会、1987年、24-25頁。
  6. ^ a b c d Carsten Niemitz 「メガネザル」上原重男訳『動物大百科 3 霊長類』 伊谷純一郎監修、D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、38-39頁。
  7. ^ a b c d Colin Groves & Myron Shekelle (2010). “The Genera and Species of Tarsiidae”.  International Journal of Primatology 31 (6): 1071-1082.
  8. ^ 杉山幸丸、相見満、斉藤千映美、室山泰之、松村秀一、浜井美弥 「ニシメガネザル」『サルの百科』 杉山幸丸編、嶋田雅一イラスト、データハウス、1996年、52-53頁。
  9. ^ 濱田穰 「ニシメガネザル」「フィリピンメガネザル」「スラウェシメガネザル」『世界で一番美しいサルの図鑑』 京都大学霊長類研究所編、湯本貴和全体監修・濱田穰「アジア」監修、エクスナレッジ、2017年、68-71頁。
  10. ^ 高野智 「霊長類を構成するグループの特徴」『霊長類図鑑 サルを知ることはヒトを知ること』 日本モンキーセンター編、京都通信社、2018年、24-26頁。
  11. ^ 高野智 「メガネザルのなかま」『霊長類図鑑 サルを知ることはヒトを知ること』 日本モンキーセンター編、京都通信社、2018年、38頁。
  12. ^ a b c Myron Shekelle, Colin P. Groves, Ibnu Maryanto, and Russell A. Mittermeier (2017). “Two New Tarsier Species (Tarsiidae, Primates) and the Biogeography of Sulawesi, Indonesia”. Primate Conservation 31: 61-69.

外部リンク編集