ラジオマイク用特定小電力無線局

ラジオマイク用特定小電力無線局(ラジオマイクようとくていしょうでんりょくむせんきょく)は、特定小電力無線局の一種であるラジオマイクのことである。

定義編集

総務省令電波法施行規則第6条第4項第2号(6)に、

ラジオマイク((7)に規定する補聴援助用ラジオマイクを除く。)用で使用するものであつて、次に掲げる周波数電波を使用するもの
(一) 73.6MHzを超え74.8MHz以下の周波数
(二) 322MHzを超え323MHz以下の周波数
(三) 806MHzを超え810MHz以下の周波数

と定義[1]している。 「補聴援助用ラジオマイク」とは、同条同項同号(7)に「聴覚障害者の補聴を援助するための音声その他の音響の伝送を行うラジオマイク」と定義している。

促音の表記は原文ママ

概要編集

特定小電力無線局として共通の特徴は、特定小電力無線局#概要を参照。

電波産業会(略称ARIB)(旧称、電波システム開発センター(略称RCR))が、無線設備規則第49条の14第1号及び関連告示の技術基準を含めて標準規格「RCR STD-15 特定小電力無線局 ラジオマイク用無線設備」[2]を策定している。

電波法令には規定されていないが、RCR STD-15のチャネル呼称の中で周波数帯毎に高いものから、B型C型D型と分類している。ちなみに特定ラジオマイクA型と通称される。

  • B型は、音質を重視する歌唱、演奏に用いる。
  • C型は、学校や駅などの音質を重視しないアナウンスに用いる。
  • D型は、劇場や展示会などの案内、構内放送に用いる。

技術的条件編集

電波型式 周波数 空中線電力 備考
B型 F1D、F2D、F3E、F7D、F7E、F7W(注)、F8W(注)、F9W(注)、
D1D、D1E、D7D、D7E、D7W(注)、
G1D、G1E、G7D、G7E、G7W(注)、
N0N
806.125-809.750MHz
(125kHz間隔30波)
0.01W以下 単向通信方式
同報通信方式
C型 F1D、F2D、F3E、F8W(注)、F9W(注) 322.025-322.150MHz
(25kHz間隔6波)
322.250-322.400MHz
(25kHz間隔7波)
0.001W以下 単向通信方式
同報通信方式
D型 F3E、F8W(注) 74.58MHz-74.76MHz
(60kHz間隔4波)
0.01W以下 同報通信方式
注 伝送情報の型式に電話(音響の放送を含む。)(E)を含むものであること。

空中線(アンテナ)が無線機本体に装着されていなければならない。

  • アンテナを外したり、給電線を使用することはできない。
  • 絶対利得が2.14dB以下でなければならない。

混信防止機能として次のいずれか

  • 同一構内で用いるものは識別信号の送受信ができること
  • 周波数の切替え又は電波の発射停止が容易にできること

基本的な使用法として

  • 単向通信方式は、拡声機能を使用することを想定し、単数または少数の受信機を受信相手とする
  • 同報通信方式は、個人が直接聴取することを想定し、多数の受信機を受信相手とする

としている。

グループ、チャネル編集

同一場所で複数の送信機を用いる場合、同一周波数ではもちろん使用できないが、近接した周波数を使用すると受信機側で三次相互変調歪が生じて受信波と同一になり混信してしまうことがある。 そこであらかじめグループ分けをし、他のグループを使用しないように注意せねばならない。 RCR-STD-15が推奨するグループとチャネル色表示について掲げる。

グループ分割・色表示編集

アナログ編集

B型
No. 周波数
(MHz)
グループ
1 2 3 4 5 6
1 806.125 B11
2 806.250 B21
3 806.375 B12
4 806.500 B22
5 806.625 B31
6 806.750 B41
7 806.875 B32
8 807.000 B23
9 807.125 B13
10 807.250 B61
11 807.375 B33
12 807.500 B42
13 807.625 B51
14 807.750 B14
15 807.875 B24
16 808.000 B43
17 808.125 B52
18 808.250 B34
19 808.375 B53
20 808.500 B25
21 808.625 B35
22 808.750 B54
23 808.875 B26
24 809.000 B15
25 809.125 B44
26 809.250 B36
27 809.375 B45
28 809.500 B16
29 809.625 B55
30 809.750 B46
C型
No. 周波数
(MHz)
グループ
1 2 3 4
1 322.025 C31
2 322.050 C11
3 322.075 C21
4 322.100 C12
5 322.125 C22
6 322.150 C32
7 322.250 C13
8 322.275 C23
9 322.300 C41
10 322.325 C33
11 322.350 C14
12 322.375 C24
13 322.400 C34
D型
No. 周波数
(MHz)
グループ
1 2
1 74.58 D11
2 74.64 D21
3 74.70 D12
4 74.76 D22

B型はデジタルとの併用を含む[注 1]

デジタル編集

B型
No. 周波数
(MHz)
グループ
A B C D E F
1 806.125 BF1
2 806.250 BD1
3 806.375 BB1
4 806.500 BE1
5 806.625 BC1
6 806.750 BA1
7 806.875 BF2
8 807.000 BD2
9 807.125 BB2
10 807.250 BE2
11 807.375 BC2
12 807.500 BA2
13 807.625 BF3
14 807.750 BD3
15 807.875 BB3
16 808.000 BE3
17 808.125 BC3
18 808.250 BA3
19 808.375 BF4
20 808.500 BD4
21 808.625 BB4
22 808.750 BE4
23 808.875 BC4
24 809.000 BA4
25 809.125 BF5
26 809.250 BD5
27 809.375 BB5
28 809.500 BE5
29 809.625 BC5
30 809.750 BA5

チャネル編集

チャネル表示は次のとおり。


┃┃┗チャネル番号(グループ内の周波数順)
┃┗━グループ番号 
┗━━周波数帯

沿革編集

1989年(平成元年)- 特定小電力無線局の一種として制度化された。 [3][4]

  • 当初はB型、C型の二種類であった。
  • 呼出名称記憶装置の搭載が義務付けられていたが、メーカー記号と製造番号を送信するもので具体的な使用者を特定できるものではなかった。

1992年(平成4年)- D型が追加された。 [5][6]

1998年(平成10年)- 呼出名称記憶装置の搭載が廃止され、混信防止機能の搭載が義務付けられた。[7]

2005年(平成17年)

  • 電波の利用状況調査の中で、770MHzを超え3.4GHz以上の免許不要局の出荷台数が公表された。[8]
    • 以降、三年周期で公表される。
  • 「平成17年11月30日」までの技術基準に基づき認証された適合表示無線設備は、「平成34年12月1日」以降は使用できないとされた。[9]

2006年(平成18年)- 電波の利用状況調査結果の中で、770MHz以下の免許不要局の出荷台数が公表された。 [10]

  • 以降、三年周期で公表される。

2007年(平成19年)- B型の電波型式にデジタルが追加された。 [11]

2012年(平成24年)- 電波の利用状況調査の周波数の境界が770MHzから714MHzに改められた。 [12]

出荷台数編集

平成13年度 平成14年度 平成15年度 出典
B型
105,940 111,972 116,517 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[13]
平成16年度 平成17年度 平成18年度 出典
92,369 104,501 101,654 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[14]
平成19年度 平成20年度 平成21年度 出典
119,681 111,684 100,666 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[15]
平成22年度 平成23年度 平成24年度 出典
63,681 51,892 37,408 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[16]
平成25年度 平成26年度 平成27年度 出典
66,642 66,646 67,943 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[17]


C型、D型
平成14年度 平成15年度 平成16年度 出典
C型 14,292 14,330 13,818 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[18]
D型 19 148 43
平成17年度 平成18年度 平成19年度 出典
C型 24,348 20,786 18,953 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[19]
D型 79 67 288
平成20年度 平成21年度 平成22年度 出典
C型 8,234 10,161 10,389 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[20]
D型 262 115 10
平成23年度 平成24年度 平成25年度 出典
C型 9,648 14,669 15,265 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[21]
D型 276 37 57
平成26年度 平成27年度 平成28年度 出典
C型 14,218 15,639 12,365 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[22]
D型 61 64 84

旧技術基準による機器の使用期限編集

無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正 [9] により、「平成17年11月30日」までの技術基準に基づき認証された適合表示無線設備の表示は「平成34年12月1日」以降は表示されていないものとみなされる。 [23]

すなわち、旧技術基準で認証された機器は、技適マークがあっても2022年12月1日以降は使用できない

脚注編集

注釈編集

  1. ^ B型でデジタルとの併用時の場合、B11・B12・B21・B22・B31・B32・B44・B45・B52・B53の設定は2チャネル同時使用はアナログのみ使用可(デジタル15チャネル対応でチャネル数選択の設定が「15チャネル」の場合を除く)。

出典編集

  1. ^ 平成24年総務省令第99号による電波法施行規則改正
  2. ^ 標準規格概要(STD-15) ARIB - 標準規格等一覧
  3. ^ 平成元年郵政省令第3号による電波法施行規則改正
  4. ^ 平成元年郵政省告示第42号制定
  5. ^ 平成4年郵政省令第21号による電波法施行規則改正
  6. ^ 平成4年郵政省告示第319号による平成元年郵政省告示第42号改正
  7. ^ 平成10年郵政省令第86号による電波法施行規則改正
  8. ^ 「平成16年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)」の公表及び「平成16年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成17年3月7日))(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  9. ^ a b 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
  10. ^ 「平成17年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)」の公表及び「平成17年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成18年6月8日)(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  11. ^ 平成19年総務郵政省告示第444号による平成元年郵政省告示第42号改正
  12. ^ 平成24年総務省令第100号による電波の利用状況の調査等に関する省令改正
  13. ^ 平成16年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)平成17年3月 p.342 (「平成16年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)」の公表及び「平成16年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成17年3月7日))(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  14. ^ 平成19年度電波の利用状況調査の調査結果 平成20年5月 p.342(「平成19年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成19年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成20年5月2日))(2009年1月13日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  15. ^ 平成22年度電波の利用状況調査の調査結果(710MHzを超え3.4GHz以下の周波数帯)平成23年6月 p.401(「平成22年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成22年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成23年6月7日))(2011年6月7日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  16. ^ 平成25年度電波の利用状況調査の調査結果(714MHzを超え3.4GHz以下の周波数帯)平成26年3月 p.443(「平成25年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成25年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成26年3月20日))(2014年4月2日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  17. ^ 平成28年度電波の利用状況調査の調査結果(714MHzを超え3.4GHz以下の周波数帯)平成29年5月 p.537(「平成28年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成28年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成29年5月12日))(2017年6月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  18. ^ 平成17年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)平成18年6月 p.1811(平成17年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)及び評価結果の概要(案)」の公表及び「平成17年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成18年6月8日))(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  19. ^ 平成20年度電波の利用状況調査の調査結果(770MHz以下の周波数帯)平成21年5月 p.1101(「平成20年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成20年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成21年5月14日))(2009年7月22日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  20. ^ 平成23年度電波の利用状況調査の調査結果(770MHz以下の周波数帯)平成24年5月 p.969(「平成23年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成23年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成24年5月18日))(2012年6月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  21. ^ 平成26年度電波の利用状況調査の調査結果(714MHz以下の周波数帯)平成27年4月 p.1059(「平成26年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成26年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成27年4月9日))(2015年5月2日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  22. ^ 平成29年度電波の利用状況調査の調査結果(714MHz以下の周波数帯)平成30年5月 p.1203(「平成29年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成29年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成30年5月25日))(2018年6月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  23. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第1項

関連項目編集

外部リンク編集