ラブコメディ
ラブコメディは、ロマンティック・コメディ(英: romantic comedy)を意味する和製英語[1]。略称はラブコメ。
語源・用語編集
「ラブコメディ(love comedy)」は愛や恋愛ものを現すラブと喜劇を現すコメディから成り立つが、英語では恋愛はロマンス(romance)で、欧米など英語圏の「romantic comdy」に該当するものであり、romantic comedyが多義的に用いられるのと同様に日本でlove comedyと呼称される作品にも多様な類型・形態がある。なお中国語ではロマンティック・コメディ(やラブコメ)は「愛情喜劇」と呼称される。
概要編集
作品のジャンルの1つであり、恋愛を主題にしたコメディ(喜劇)要素を持つ明るい作風のストーリー作品の日本での総称。漫画、アニメ、小説、演劇、映画、ドラマなど多岐にわたる分野でラブコメディものがあり、ラブコメと略されて呼称されることが多い。10代の青春ものが多く、これに高等学校での学校生活の様子(授業中や放課後の帰宅中。漫画・アニメでは中学校や大学ものは高校より少ない傾向)が織り交ぜられると「学園ラブコメ」となる。
世界的にもロマンティック・コメディの歴史は長くシェークスピア(1564年 - 1616年)の時代から存在しており、現代でも様々な創作物で物語がさかんに作られている定番ジャンルである。日本では主に漫画やアニメといった媒体で恋愛を主題にした作品が安定的に人気を得ており、1970年代から「ラブコメディ」「ラブコメ」という言葉が用いられるようになった。
日本でいうラブコメディはシチュエーション・コメディの要素を積極的に取り込み、現実にありそうな日常の設定の一部分を極端に逸脱した状況を仮想設定したうえで主人公の恋愛関係に焦点をあて、毎回異なった状況下で周囲を巻き込んだ事件や混乱が繰り返されるドタバタ喜劇(スラップスティック・コメディ)的要素の強い作品が主流を占める。「コメディ」(喜劇)とあるように本来ラブコメディと称される作品はギャグ的要素の強いスラップスティックコメディやシチュエーションコメディをベースとする作品を指していたが、実際には様々な他のジャンルとかけ合わせられたり(#分類の曖昧性)、ギャグ・コメディ要素は薄くても明るくストーリー性ある青春活劇をベースとする作品まで、幅広く「ラブコメディ」と呼称される。
恋愛や明るさ・ハッピーエンドという要素を含んでいるという点では共通しており、少しでもこれらの要素が含まれていればラブコメディの範疇に含める場合もある。コメディ要素の強めなラブコメディには、パロディとの親和性も高いものもある。
歴史編集
日本の少女漫画の世界では、1969年-1970年に原作が連載された『おくさまは18歳』が、ドタバタ喜劇的要素を伴った恋愛漫画として早い時期のもので、典型的なスタイルを生み出した作品とされる[要出典]。
ただし「ラブコメディ」という和製英語が広まったのはもう少し後の話であり、1970年代の終わりから1980年代の前半に「週刊少年サンデー」の『うる星やつら』(1978 - 87年連載)、「少年ビッグコミック」の『みゆき』(1980年 - 1984年連載)といった高橋留美子、あだち充の作品群や、「週刊少年マガジン」の『翔んだカップル』(柳沢きみお、1978 - 81年連載)などの作品のヒットによって少年漫画の世界にも近似の手法が確立した時代に、「ラブコメ」という略称とともに広く一般に定着した。サンデー(小学館系列漫画雑誌)などは後述の『タッチ』等ラブコメディ作品が多めで、「ラブコメ路線」とも呼ばれ、前述の『みゆき』は当時「衝撃度ナンバー1 ラブコメ」などと銘打たれるなど[2]、実際に「ラブコメ」という言葉が誌面で使用されるようになった。
分類の曖昧性編集
作品によっては、格闘・スポーツなどの他の要素が融合している場合もある(『うる星やつら』(SFとラブコメの融合)や、『タッチ』『YAWARA!』(野球、柔道とラブコメの融合)や、『らんま1/2』(格闘とラブコメの融合)など。いずれも小学館系列連載)。また、他のテーマを主題とする作品や他ジャンル作品において、作品に明るい雰囲気を付けるためにラブコメ的要素を持ち込む場合もある。
笑えるコメディ要素は少なくても、明るく軽めなノリで、それほどシリアスではない作風の青春恋愛ものやお色気もの作品もラブコメディのジャンルに該当されることもある(「週刊少年ジャンプ」の『きまぐれオレンジ☆ロード』など[3])。一方、恋愛を主題としていても、コメディ要素が若干含まれている程度だったりそれがあまりに薄く、シリアスで重いストーリーだったりすると、基本的には恋愛漫画に分類され、ラブコメには分類されないこともあり、作品のジャンル分け自体が曖昧でもある。
作品例編集
一部のみを例示(網羅的にはしない。五十音順)。
日本の漫画・テレビアニメ編集
- ああっ女神さまっ
- I"s
- 明日のよいち!
- あせとせっけん
- 天野めぐみはスキだらけ!
- イジらないで、長瀞さん
- イタズラなKiss
- いちご100%
- うる星やつら
- 宇崎ちゃんは遊びたい!
- OPEN SESAME
- 桜蘭高校ホスト部
- おくさまが生徒会長
- おくさまは18歳(テレビドラマ化・映画化もされている)
- 俺物語
- 会長はメイド様
- かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜
- カッコウの許嫁
- カノジョも彼女
- 彼女、お借りします
- 神のみぞ知るセカイ
- からかい上手の高木さん
- 可愛いだけじゃない式守さん
- 寄宿学校のジュリエット
- キックオフ
- きまぐれオレンジ☆ロード
- 君のいる町
- GE〜グッドエンディング〜
- 今日小柴葵に会えた
- 久保さんは僕を許さない
- クロスアカウント
- 恋染紅葉
- 恋と嘘
- 極上!!めちゃモテ委員長
- 五等分の花嫁
- こどものおもちゃ
- この会社に好きな人がいます
- 古見さんは、コミュ症です。
- The・かぼちゃワイン
- 四月は君の嘘
- 思春期ちゃんのしつけかた
- ジャジャ
- 涼風
- スクールランブル
- 瀬戸の花嫁
- 川柳少女
- それでも歩は寄せてくる
- タッチ
- 男子高校生を養いたいお姉さんの話
- 徒然チルドレン
- トニカクカワイイ
- ドメスティックな彼女
- To LOVEる -とらぶる-
- 翔んだカップル
- ナイン
- ニセコイ
- ぱすてる
- 初恋限定。
- 初恋ゾンビ
- ハヤテのごとく!
- ピーチガール
- 陽あたり良好!
- ぴちぴちピッチ
- ひめドル‼︎
- 風夏
- ふしぎ遊戯
- フルーツバスケット
- ぼくたちは勉強ができない
- 僕の心のヤバイやつ
- 星野、目をつぶって。
- ママレード・ボーイ
- 魔法先生ネギま!
- 未確認で進行形
- 耳をすませば
- みゆき
- めぞん一刻
- 山田くんと7人の魔女
- YAWARA!
- ヤンキー君とメガネちゃん
- ゆらぎ荘の幽奈さん
- ゆるゆり
- ラフ ROUGH
- ラブ★コン
- ラブひな
- ラブラッシュ!
- ラブロマ
- らんま1/2
- 我妻さんは俺のヨメ
- 私がモテてどうすんだ
- ヲタクに恋は難しい
日本の小説・ライトノベル編集
- エロマンガ先生
- おいしいコーヒーのいれ方
- 幼なじみが絶対に負けないラブコメ
- お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件
- 俺の妹がこんなに可愛いわけがない
- 俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる
- 俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している
- 俺を好きなのはお前だけかよ
- 彼女がフラグをおられたら
- 可愛ければ変態でも好きになってくれますか?
- 君に恋をするなんてありえないはずだった
- 結婚が前提のラブコメ
- 現実でラブコメできないとだれが決めた?
- 冴えない彼女の育てかた
- さくら荘のペットな彼女
- 青春ブタ野郎シリーズ
- 同級生 (ゲーム)
- 隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた
- とらドラ!
- どきどきフェノメノン
- 乃木坂春香の秘密
- バカとテストと召喚獣
- 迷い猫オーバーラン!
- やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
- ラブコメ (小説)
- わたしたちの田村くん
日本のテレビドラマ編集
日本映画編集
日本のゲーム編集
関連項目編集
脚注編集
- ^ [1]
- ^ 「少年ビッグコミック」1980年11月14日号など複数号 小学館
- ^ [https://realsound.jp/book/2020/10/post-636823.html 「まつもと泉は「ラブコメ漫画の開拓者」だったーー永遠の名作『きまぐれオレンジ☆ロード』の功績」Real Sound 2020年10月15日