リプレイ』(Replay)は、ケン・グリムウッドにより1987年アメリカで出版されたSF小説。記憶を持ったまま人生をやり直す男の話。1988年度の世界幻想文学大賞を受賞した。

リプレイ
Replay
著者 ケン・グリムウッド
訳者 杉山高之(岡部宏之
発行日 1990年7月27日
発行元 新潮社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 474
コード ISBN 4102325018
ISBN 978-4102325018(文庫本)
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いわゆる「ループもの」である。

あらすじ 編集

経済的に成功していないラジオ局ディレクターのジェフ・ウィンストンは、43歳(1988年)で心臓発作による突然死を迎える。しかし、次に目を覚ますと18歳(1963年)の時点に遡っており、新しく人生をやり直すことになる。

ジェフは「未来の記憶」を存分に利用し、やり直しの人生(リプレイ)を謳歌するが、結局は同じ年の同じ時刻に死を迎え、人生のやり直しを強制再開させられる。この繰り返すリプレイの中で自暴自棄と諦観に囚われるが、同じ立場の女性と巡り合い、ジェフは改めて人生に向かい合うようになる。しかし、やがてリプレイ期間が次第に短くなり、主人公らは究極の絶対死(リプレイの終了)が訪れることを知る。

登場人物 編集

オリジナルの人生(リプレイ前) 編集

ジェフ・ウィンストン(主人公)
ニューヨークにあるラジオ局のニュース部門担当ディレクター。1988年10月18日の午前1時06分に心臓発作で突然死する。
リンダ・ウィンストン
ジェフの妻。ジェフと恋愛結婚するが、子宮外妊娠をした後、子供を作れない身体になり、1988年時点ではジェフと疎遠になっている。
ジュディ・ゴードン
ジェフの学生時代の恋人。疎遠になり、その後は音信不通。
マーティン・ベイリー
ジェフの学生時代のルームメイトで親友。多額の慰謝料を伴う離婚の後に自殺。
パメラ・フィリップス
ジェフとは知り合っていない。二児の母。夫とは険悪ではないが、惰性で結婚生活が続いている。1988年10月18日の午前1時15分、ジェフの死亡から9分後に心臓発作で死亡。

リプレイ・1回目 編集

ジェフ・ウィンストン
巨大コングロマリット「未来社」の創業社長で経営者。
ジュディ・ゴードン
ジェフのリプレイ開始時点の恋人。リプレイ開始後、疎遠になりその後は消息不明。
フランク・マードック
ジェフの大学の上級生。やがて「未来社」創業時のパートナーとなる。
リンダ
ジェフのオリジナル人生の妻。今回のリプレイではジェフは接触に失敗し、そもそも付き合えず。他の男の妻となる。
シャーラ・ベイカー
ジェフの愛人。いわゆるベガス・ガールで、奔放な性格。
ダイアン・ウィンストン
上流階級出身のジェフの妻。上流階級の思考に染まらないジェフとの関係は良好ではない。
グレッチェン・ウィンストン
ジェフとダイアンの娘。ピアノ演奏に天賦の才を持っている。
ネルソン・ベネット
大統領暗殺犯。オリジナルの世界におけるオズワルドの役回り。

リプレイ・2回目 編集

ジェフ・ウィンストン
中堅の資産運用会社の経営者。堅実で健康的な生活を送る典型的な良きアメリカ人。
ジュディ・ウィンストン
ジェフの学生時代からの恋人で、そのまま結婚。性格は純真かつ温厚。ジェフの理想的な妻として堅実な人生を送る。子供が出来なかったため、ジェフに養子を取ることを提案する。
エイプリル&ドゥエイン
ジェフとジュディの養子。

リプレイ・3回目 編集

ジェフ・ウィンストン
賭けで財産を確保した後はドラッグに溺れ、パリを中心に放蕩生活。ある事件を契機に隠遁生活に入る。
シャーラ・ベイカー
ジェフの愛人で同棲相手。
パメラ・フィリップス
スーパーヒットした映画のプロデューサー。ジェフと知り合い、当初は意見の相違があったが、後に恋人となる。
ジュディ
ジェフの学生時代の恋人。ジェフと再会時に息子シーンを紹介する。
シーン
ジュディの息子。パメラの映画に影響を受け、海洋生物学者を志す。

リプレイ・4回目 編集

ジェフ・ウィンストン
堅実な投資を行なう事業者。
パメラ・ウィンストン(パメラ・フィリップス)
高校を首席で卒業した後、ジェフと結婚。
スチュアート・マカウワン
殺人鬼であり、精神を病んでいる。

リプレイ・5回目 編集

ジェフ・ウィンストン
裕福な市民。新聞広告で「予言」をし、自らの特殊性を証明した後、自身の謎について学術的解明を要求する。
パメラ(パメラ・フィリップス)
ジェフのパートナー。
ラッセル・ヘッジズ
国務省の役人。ジェフ達を軟禁し、情報の提供を強要。

リプレイ・6回目 編集

ジェフ・ウィンストン
ルポルタージュのベストセラー作家。ピュリッツァー賞を受賞している。
リンダ・ウィンストン
ジェフの良き妻であり、ジェフを心より愛している。
パメラ・ロビンソン(パメラ・フィリップス)
芸術家。本姓がロビンソン、ペンネームには旧姓のフィリップスを利用。
スティーブ・ロビンソン
パメラの夫。医師。
クリストファー&キンバリー
パメラとスティーブとの間に生まれた息子と娘。

リプレイ・7回目 編集

ジェフ・ウィンストン
隠遁生活を送る資産家。グライダーの卓越した操縦技術を持つ。
リンダ・ウィンストン
ジェフの元妻。子宮外妊娠後(リプレイ前)にジェフと不仲になっていた。リプレイ開始直後に離婚。
パメラ・フィリップス
元主婦。夫のロビンソンと離婚。前夫との二人の子供と共に、ジェフと同棲生活中。
クリストファー&キンバリー
パメラとスティーブとの間に生まれた息子と娘。

リプレイ・8回目 編集

ジェフ・ウィンストン
妻との離婚後、ひっそり暮らしている投資家。既婚女性と不倫関係にあり、パトロン的立場。
パメラ・ロビンソン
主婦。ジェフと知り合った後、不倫関係。ジェフの援助で美術学校に通う。
パメラ(・フィリップス)
ジェフをよく知る女性。

リプレイ・9回目以降 編集

ジェフ・ウィンストン
ニューヨークにあるラジオ局のニュース部門担当ディレクター。1988年10月18日の午前1時06分に心臓発作で突然死する。

受賞歴 編集

1988年度 世界幻想文学大賞(World Fantasy Award)

SF作品としての評価 編集

本作品は幾つかの推奨読書リストに入ったことがある。

  • 「現代ファンタジー:小説ベスト100(Modern Fantasy: The Hundred Best Novels)」 (1988年)
  • "Locus"(1988年)、(読者投票によるSF小説部門ベスト作品)
  • オーレル・ギルメットの ("Aurel Guillemette's") 「ベストSF作品 (The Best in Science Fiction), 1993年」
  • デビット・プリングルの(David Pringle's)「SF作品への究極ガイド(Ultimate Guide to Science Fiction)」(1995年)
  • 本の雑誌が選ぶ30年間のベスト30」第5位(2005年)

関連項目 編集