リリアール (Lilial) またはリリーアルデヒド (Lily aldehyde) は、芳香族アルデヒドの一種で合成香料の一つ。IUPAC名では3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナールと呼ばれる。リリアールはGivaudan社の商標名であるが、一般的にはこの名称で知られている。

リリアール
識別情報
CAS登録番号 80-54-6
PubChem 1549660 (2R)1715213 (2S)228987
ChemSpider 1266494 (2R)?
1363748 (2S)?
199342?
日化辞番号 J11.845A
EC番号 201-289-8
国連/北米番号 3082
RTECS番号 MW4895000
特性
化学式 C14H20O
モル質量 204.31 g mol−1
関連する物質
関連するアルデヒド ボージュナール
イソブチルアルデヒド
ヘキシルシンナムアルデヒド
2-メチルウンデカナール
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

概要

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ほとんど無色透明の液体でスズラン様の香気があり、p-tert-ブチルベンズアルデヒドから合成される[1]。スキンケアローションなどの化粧品などへの香料として使用される。他のアルデヒド類と同様、長期保管や空気との接触により酸化される。

安全性

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日本の消防法では危険物第4類第3石油類に分類される。

しばしばアレルゲンとして作用し、感受性の高い場合は接触皮膚炎の原因となる[2] 。EU化粧品規則1223/2009 附属書IIIにリストアップされている。化粧品等の一般消費者製品に一定量以上含まれる場合は外装への成分表示が義務付けられている[3]。また、EU消費者安全科学委員会はリリアールに対して「酸化防止剤としてα-トコフェロールを添加した場合、現在の濃度制限では安全とみなすことができるが、異なる製品を併用した場合の総暴露を考慮すると安全とみなすことはできない」との勧告を行っている[4]

国際香粧品香料協会により、IFRAスタンダードの使用制限成分に指定されており、一般消費者製品別に定められた濃度までであるなら安全性に問題はないとされる。

脚注

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  1. ^ 『合成香料 科学と商品知識』化学工業日報社、2005年。 
  2. ^ Schnuch A, Uter W, Geier J, Lessmann H, Frosch PJ (July 2007). “Sensitization to 26 fragrances to be labelled according to current European regulation. Results of the IVDK and review of the literature”. Contact Dermatitis 57 (1): 1–10. doi:10.1111/j.1600-0536.2007.01088.x. PMID 17577350. 
  3. ^ EUR-Lex - 32009R1223 - EN - EUR-Lex” (英語). eur-lex.europa.eu. 2021年1月2日閲覧。
  4. ^ OPINION ON the safety of Butylphenyl methylpropional (p-BMHCA) in cosmetic products”. 2021年1月3日閲覧。