リンショーピング大聖堂

リンショーピング大聖堂(リンショーピングだいせいどう、スウェーデン語: Linköpings domkyrka)は、スウェーデンエステルイェートランド地方リンショーピングに所在するルーテル教会大聖堂で、スウェーデン国教会リンショーピング司教管区スウェーデン語版を監督する。ヨーロッパで最大級のゴシック建築の大聖堂のひとつであり、この場所は11世紀以降教会として使われており、向かいにはリンショーピング城スウェーデン語版がある。

リンショーピング大聖堂
北東から見た大聖堂
地図
座標: 北緯58度24分40秒 東経15度37分02秒 / 北緯58.41111度 東経15.61722度 / 58.41111; 15.61722
所在地 リンショーピング
 スウェーデン
教派 スウェーデン国教会
過去の教派 カトリック教会
ウェブサイト 公式ウェブサイト
歴史
創設日 13世紀
守護聖人 ペトロ
建築物
現況 大聖堂
教区教会
用途 使用中
建築様式 ゴシック建築
建築物概要
全長 110メートル (360 ft)
尖塔数 1
尖塔の高さ 107メートル (351 ft)
聖職者
主教
(司教)
Martin Modéus
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歴史 編集

現在の建物は、およそ800年の歴史を持つ。記録されているその歴史は、11世紀に木造の教会が建設されたことから始まる。その後、1120年頃に石造りの教会が建てられ、現在の建物の半分ほどの大きさのバシリカとなった。しかし1230年頃には、コミュニティの需要に対しその広さが不足しており、より大きな教会を建てる必要性が生じていた。教会は東側に拡張され、新しいクワイヤ袖廊が設置された。これら13世紀の建築は、現在も大聖堂の一部として残されており、祭壇画もその当時のものとされる。

1251年、ヴァルデマール1世の戴冠式に伴って次の増築が行われた。そして本館が建設され、教会は現在の110メートルの長さ、塔の高さは107メートルとなった。15世紀初頭、1408年から1420年にかけて、大きな窓と星形のヴォールトを持つゴシック様式の礼拝堂が建てられた。後に礼拝堂はアンデレニルス・ヘルマンソンスウェーデン語版トマス・ベケットに因んで名づけられた。この時代の礼拝堂は、14世紀初頭からイギリスドイツからもたらされた職人の技術の恩恵を受けており、彼らは「15世紀後半のゴシック彫刻における、唯一の重要な中心地」とされる西方の特徴である豪華な彫刻装飾を請け負った[1]。礼拝堂の屋根は1546年と1567年に火災によって被害を受けた。塔は1747年から1758年にかけて再建され、1877年から1886年にかけてはヘルゴ・ゼッターヴァルスウェーデン語版によって再び立て直されている。1967年には、17世紀当時の屋根の形状が復元された。屋根は銅板で覆われており、その錆びによって特徴的な緑色を生み出している。

装飾品 編集

初期 編集

1320年、内装の計画が執り行われ、身廊のアーケードは彫刻などで装飾された。これらには、イギリスのハイ・ゴシック英語版の典型的な特徴がみられる。ほぼ同時期に完成し、同じ彫刻家によるものと考えられる身廊のヴォールトの屋根の彫刻には、イギリスの島々の民俗伝承にしばしば登場するグリーンマンが彫られている。また、その当時のイギリスの硬貨が見つかっていることから、この地で活動していたイギリスの芸術家の関与がうかがえる。1330年、南入口のティンパヌムにドイツ風の「キリストの降誕」と「受難」のレリーフが追加され、さらなる装飾が施された。

現在 編集

大聖堂には、16世紀オランダ黄金時代の画家・マールテン・ファン・ヘームスケルクアルクマールのシント・ラウレンスケルクのために描いた重要な作品「」が飾られている[2][3]。1538年に描き始められ、1542年に完成したこの作品は、当初アルクマールの礼拝堂に飾られていたが、宗教改革が始まったことにより撤去され、1581年には売却された。2006年[4]、イギリスの芸術家・ブライアン・クラークは袖廊の南北のポーチのステンドグラス6枚のデザインを依頼された[5]

1947年にリンショーピング大聖堂の美化を目的として設立されたバーンハルド・リースバリスウェーデン語版基金の出資により[4][6]、2010年9月に窓が設置された[3]

大衆文化 編集

この大聖堂は、リンショーピング出身のトビアス・フォージスウェーデン語版が率いるメタルバンド・ゴーストのアルバム『Opus Eponymous』のジャケットにも登場している。

ギャラリー 編集

埋葬されている人物 編集

脚注 編集

  1. ^ Colum Hourihane (2012). “Gothic sculpture, I: Stone” (英語). The Grove Encyclopedia of Medieval Art and Architecture. 2. オックスフォード大学出版局. p. 169. doi:10.1093/acref/9780195395365.001.0001. ISBN 9780195395365 
  2. ^ Bengt Cnattingius (1973). Maerten van Heemskerck's St. Lawrence altar-piece in Linköping Cathedral: studies in its manneristic style. Antikvariskt arkiv 52. Almqvist & Wiksell. ISBN 978-9171920881. https://searchworks.stanford.edu/view/334288 
  3. ^ a b Linköping: a church filled with art” (英語). KLMオランダ航空. 2022年2月6日閲覧。
  4. ^ a b Risberg konstprojekt” (スウェーデン語). Svenska Kyrkan (2019年2月11日). 2022年2月5日閲覧。
  5. ^ Gunnar Lindkvist (2016年10月25日). “Glasmålningar i tvärskeppet i Linköpings domkyrka” (スウェーデン語). Svenska Kyrkan. 2022年2月5日閲覧。
  6. ^ Eva Modén. “1940–1970 Expansion och omstrukturering - Linköpings historia” (スウェーデン語). リンショーピング大学. 2022年2月24日閲覧。

参考文献 編集

  • Gunnar Lindqvist ; Roger Tanner (2005) (スウェーデン語). Förskönande av Linköpings domkyrka: Risbergska donationsfonden 60 år - Beautification of Linköping Cathedral. Linköpings domkyrka. ISBN 978-9163178092 

外部リンク 編集