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ワタスゲ(綿菅、学名:Eriophorum vaginatum)は、カヤツリグサ科ワタスゲ属多年草。別名でスズメノケヤリ(雀の毛槍)という。

ワタスゲ
ワタスゲ(尾瀬ヶ原)
ワタスゲ (尾瀬ヶ原・2011年7月撮影)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: カヤツリグサ目 Cyperales
: カヤツリグサ科 Cyperaceae
: ワタスゲ属 Eriophorum
: ワタスゲ E. vaginatum
学名
Eriophorum vaginatum L.
和名
ワタスゲ

目次

分布編集

北半球の高山や寒地に分布する。日本では北海道から中部地方以北の高山帯から亜高山帯高層湿原に分布し[1]、大群生をつくることが多い。岐阜県レッドリストの準絶滅危惧の指定を受けている[2]基準標本ヨーロッパのもの[1]

特徴編集

高さ30-50 cm[1]。花期は5-6月。白い綿毛を付ける果期は6-8月。花が終わると直径2-3 cmの名前の由来ともなっている白い綿毛を付ける。

 
霧多布湿原のワタスゲの群落、7月中旬に湿原の一角が真白になる

綿毛について編集

ワタスゲの綿毛が種子に付いた毛であるという誤解は一定あるようで、清水(1997)は敢えてこれを否定した後に説明を始めている[3]。実際にこの綿毛は種子(正確には果実、更に言えば痩果)から出ているのではなく、その基部から伸びている。これは花被片と呼ばれるもので、普通の花の花弁に当たる。このような種子はタンポポと同様に綿毛と共に風で飛ぶ[4]

カヤツリグサ科の花はユリのような単子葉植物の基本的な花の姿から風媒花へと進化し、その過程で花被片を退化させ、とても地味な姿になった。カヤツリグサ属スゲ属ではそれらは完全になくなっているが、本種の含まれるワタスゲ属や、広義のホタルイ属などでは存在することが多く、ただし糸状や刺針状などとても退化的な形であり、花を包む鱗片の内側に隠れてしまっている[5]。本属もその点では同じであり、開花時には糸状の花被片は目につかない。ところが花が終わり、果実が成熟する間にこれが長く伸び出し、鱗片から長くはみ出し、目立つようになる。しかもこのような花被片は他の属では普通は6までなのだが、本属では細かく分かれて10-25にもなり、尚更に目立つものとなっている[6]

近縁種編集

脚注・出典編集

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  1. ^ a b c d e 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月、610-613頁。ISBN 4-635-09019-1
  2. ^ 岐阜県レッドデータブック(初版・植物・ワタスゲ)”. 岐阜県 (2001年). 2012年7月6日閲覧。
  3. ^ 清水(1997),p.242
  4. ^ 小山(1978),p.2091
  5. ^ 大橋他編(2015),p.294
  6. ^ 大橋他編(2015),p.345

参考文献編集

  • 清水建美、「ワタスゲ」:『朝日百科 植物の世界 10』,(1997)、朝日新聞社:p.242-243.
  • 大橋広好他編、『改定新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』、(2015)、平凡社
  • 小山鐵夫、「ワタスゲ」:『朝日百科 世界の植物』、(1978)、朝日新聞社:p,2090-2091

関連項目編集

外部リンク編集