丸鍋ねこ』(まるなべねこ)は、七位連一による日本ライトノベルイラストぱこが担当。MF文庫Jメディアファクトリー)より2008年8月から2009年1月まで全3巻が刊行。

丸鍋ねこ
小説
著者 七位連一
イラスト ぱこ
出版社 メディアファクトリー
レーベル MF文庫J
刊行期間 2008年8月31日 - 2009年1月30日
巻数 全3巻
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル
ポータル 文学

あらすじ

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絶対に笑わないどころか怒ったり泣いたりもしない、完全無感情なクラスメイトの隠れ美少女・丸鍋ねこ。お調子者の春田陸は、難攻不落の要塞とあだ名されるねこをなんとか笑わせてみようとあの手この手のアホ作戦を計画し、不屈の投資で何度も彼女にアタックしてみせる。しかし丸鍋ねこにはもう一つ、災いと噂される、近付く者に次々と降りかかる不可思議な現象が付きまとっていて……?

登場人物

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メインキャラクター

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春田 リク(はるた リク)
主人公。ツンツンとはねまくった赤い髪が特徴。「年上のおねーさん」を彼女に募集しているお調子者で生粋のエンターティナー。諦めが悪く、とにかく面白いことには首を突っ込んで、学校中を騒がせている。しかしその騒ぎは「皆楽しく」という信念の元に実行されており、自分だけが楽しければいいというわけではなく、「自分も皆も楽しく」をモットーに混沌を巻き起こし、周囲を大胆に、しかしそれでいて器用かつ緻密な戦略の元に行動を遂行する。事実、彼の行為を忌む者もいるが彼自身を嫌悪している者はごく少数であり、彼の引き起こす行為を期待している人の方がはるかに多い。また、一般的な流行には徹底して逆らうというポリシーも持っており、流行の最先端をリクに話す昴とは会話がかみ合わないこともある。また、女性の下着に関しても妙な先入観を抱いている。つばを両手につけて、垂直な壁をヤモリが如く自由に這い回るという人を逸した身体能力を持つ。
丸鍋ねこは覚えていないが、彼女とリクは桜並木で一度会っており、桜を見上げて嬉しそうな表情を見せそうになったのを押し止めたことがある。それを見たリクは、ねこに素直に笑ってほしいと「丸鍋ねこ改造計画」を実行する。
1巻のあらすじには「春田陸」と書かれているが、作中には「リク」としか表記されていない。
丸鍋 ねこ(まるなべ ねこ)
長い足元まで伸びる銀髪と感情を感じさせない顔が特徴的な少女。常に、寡黙で感情に希薄な少女として振舞っている。高等部二年ウサギさん組所属。誕生日9月12日、血液型はO、身長148cmと小柄。常に、制服の胸元にサングラス(ブランドはOgis)を引っ掛けている。
この世ならざる異世界に起因する存在の内でも、かなり上位に位置する部類である事が言及されているがその詳細については不明な点が多い。
天原 昴(あまはら すばる)
リクのクラスメイト。美形で女子生徒にも人気が高いが、その正体はかなり高レベルな「教えたがり屋」。常に周囲の情報には目を光らせ、流行最先端から無名の生徒の情報まで仕入れている。どのような方法で仕入れているかは不明で、リクからも驚かれている。
その見てくれからは予想も出来ないが、性格もなかなか自己中心的。リクの悪戯に協力的な姿勢であるが、自らの名誉を守るためならリクを軽く裏切る。他人の情報を知るのは好きだが、自分の弱みや欠点が他人に知られるのは自殺を考えるほど心労を抱いてしまう。また、貸しは自分の得になるが、借りは損にしかならないため早めに返すというのを心がけている。
作戦を立案し実行する役割を担い、リクにとっての参謀的なポジションを取っている。裏工作から、逆転の秘策までリクの窮地を幾度となく救っており、優秀な裏方でもある。
蘭 ひょう(あららぎ ひょう)
16歳、黄金橋学園高等部二年。好きな科目は国語、趣味は豚を飼うこと。スリーサイズは上から82・58・84(全て自己申告であり真偽の程は定かでない)。赤毛をツインテールにしたのが特徴的な少女。
極度のツンデレであり、リクのことを「豚」と呼びながら悪口をマシンガンのように言い放つ。だが、台詞の内容とは裏腹に恐ろしく献身的で、二律背反な行動を取る(リク限定で)。
肉体派で格闘技にも長けており、必殺技は足を用いた「旋風脚」。正義感が強く非常に真面目なため、しょっちゅう騒ぎを起こすリクを見咎めては小突き回している。リクから褒められたりすると赤面してどこかへすっ飛んでいってしまう。
白崎 チカ(しろさき チカ)
小学五年生の10歳にして、学園のアイドル的存在。4人の「パパ(と書いてパトロンと読む)」を従える美少女。そのパパの中には小金橋学園の校長も含まれている。クラス名がウサギやゾウ等という幼稚園のような名前になっているのは、彼女が校長に頼んだからである。彼女のファンは多く、初登場時は300人だったが、3巻の時点で350人に達している。
可愛らしい外見に反して性格は計算高く、君主論に基づき自分の快楽の為ならばいかなる事も躊躇わない最低な人物。一般的な道徳心や倫理観などは既にかなぐり捨てており、常に財力と見てくれに物を言わせて自分の好き勝手に蛮行を働く。その行動や言動の数々は、「自分だけでなく周囲も楽しませる」という考えに基づいて、常にユーモアを忘れない行動を心がけるリクとは対照的な存在。常に先を見て行動し、それが自分にとって得になるかを打算している。語尾に「☆」をつけたりと常に平常を装い愛玩動物のように振る舞っているが、実際は感情的で熱くなりやすい単細胞な性格である。その場の熱気に流されて、学園祭のイベントではひょうと一戦を交え、勝利する一歩手前まで追い詰めるという格闘能力も持ち合わせている。
必殺技は、右手の五指に高級な指輪を嵌めて放つ鉄拳「人生の勝ち組ナックル(ビクトリーナックル)」。殴られた者は「下民の心」という追加効果を受け、卑屈になってチカに跪いてしまう。使用するごとに指輪が高い物へと代わっていき、最終的に両手に嵌めた指輪全てがダイヤモンドという状態になった。指輪は全て校長に強請って無理矢理買わせたものである。脱税院との騎馬戦で全ての指輪を捨ててしまった。
リクには非常になついており、容姿や身分にとらわれず自分に接してくれる彼に好意を抱いている。可愛いと言われることに対して抵抗があるが、リクからは一度たりともそう言われた事がない。故に、チカはリクからの協力を拒まず引き受けている。
ノルベルト
通称「アリクイ」。ねこからは「じい」と呼ばれている。ねこを「姫様」と呼ぶ。
老紳士のいでたちをした手乗りの黄色いアリクイ。普段はぬいぐるみのような外見を活かして、主人である丸鍋ねこの衣服に潜み、彼女に近付く人間に魔法を使って追い払おうとする。鉄球を落下させる、近くの物体を瞬間移動させる、クマやミツバチを呼び出すなど召喚系の魔法に長けており、この他落雷を発生させる魔法を使うなど魔法的素質は高いものと思われる。その為彼を小さな外見だからと侮ることは危険である。なお、魔法を使用する際は細長い舌で魔法陣を描くため、リクからは非常に気味悪がられている。
羊羹が大好物で、匂いを嗅いだだけで理性を失ってしまう。また、蟻も大好物であり、蟻の集りついた羊羹ともなれば執着のあまり軽く発狂する。
元々は、丸鍋ねこの父親に仕える人間であったが、ねこと共に地球へと移動する際に今の姿に変貌してしまった。そんな姿になっても恨み言ひとつ言わず、新たな主人となったねこを守るため心を鬼にして仕えている。初めはねこに近付くリクを敵視し、抹殺しようとしていた。後の、羊羹好きを逆手に取られ、報酬の羊羹に何度も釣られてリクに「一生ついていきます」と忠誠を誓ってしまう。リクやねこの窮地に幾度となく現れ、魔法を使って助けに入る。時には失敗もするが、根性で窮地を脱させる人格者である。

黄金橋学園の生徒

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カミラ
金髪にブルーの瞳の美少女。ハインツと共に「禍姫(まがひめ)」を回収・抹殺するために地球へ送り込まれた刺客。日本語がわからないため、いつもハインツに通訳してもらっている。
主に、時間に干渉する魔法を得意としている。指定した対象の時間の流れを遅くしたり、止めてしまうことができる。「時縛り」という魔法を使うが、対象がひとりにしかかけられない上に、連続して使うと先ほどかけた時縛りが解けてしまうという弱点がある。
正体を隠すため自分は日本人だと言い張っているが、日本語が上手くしゃべれないため即バレしている。
ハインツ
美少年だが、少女のような容貌のため女の子と勘違いされてしまう。一人称は「僕」で、大人しい性格をしている。しかしカミラに対しての好意は強く、ことあるごとに「好き」と告げている。カミラと同じく金髪だが、瞳は碧眼である。
笹川きつね(ささがわ きつね)
高等部一年ぞうさん組。新聞部部員。後頭部から垂らした二本のおさげに、メガネという格好。常にバズーカのようなカメラを持ち歩いている。
初等部からのエスカレーター組で、幼少時より容姿は端麗だがあまりに行動がアグレッシブなため、言い寄る男は皆無。中等部時代、意を決して告白するも「ごめん、女の子として見れない」と一蹴されてしまった。
黄金橋のパパラッチ的存在で、常に口内を駆けずり回って特ダネを探し回っている。登場したのは二巻からだが、一巻の扉絵で各キャラクターにインタビューをする形で登場している。一巻のストーリーには登場していない。
金谷みさき(かなや みさき)
一年ゾウさん組に所属する男子生徒。主にイベントでの実況役として登場し、巧みな熱狂トークで観客を熱く燃え上がらせる。くだらない出来事は持ち前の包容力でスルーする。
3巻にて、彼も竹村雪の毒牙にかかってしまった。
森(もり)
文化祭の実行委員長として成田コンビを組んだイガグリ頭の少年。愛称は「森君」。責任感が強く、大人しい雰囲気をかもし出している。文化祭をジャックしようとしているリクに成田と共に立ち向かう行動派である。しかし、リクの目的が文化祭を荒らす幼女高校の不良たちを一掃するためだと知り、成田にリクを許してあげてほしいと頼み込んだ。
西ヶ丘龍(にしがおか りゅう)
三年ヨルムンガンドさん組所属。クラスメイトからはゲームの鬼と称されており、その名に違わず格闘ゲーム「ギルト・ギア」の地方大会三連覇を成し遂げた。文化祭ではゲーム喫茶「罪深き歯車」のチャンピオンとして、チャレンジャーを待ち受けている。勝負を挑んだチカと対戦し、彼女の演技に騙され、勝てるはずの勝負に敗北してしまう。打ちひしがれた状態のところでチカから励まされたため、彼女のファンのひとりとなった(全てチカの計算通り)。

黄金橋学園の教師

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成田香子(なりた かおるこ)
35歳。独身。黄金橋学園で働く女教師。常にメガネをかけており、長い髪をうなじのところで一本にまとめている。頑張りすぎだろと感想を抱くような、7センチのヒールを履いている。2巻の時点ではパワーアップし、8センチになっている。
以前、綾人(あやと)というホストに入れあげていたが、捨てられて聖弥(せいや)というホストに乗り換えるも捨てられる。1間に登場した時は、聖弥に対して未練があったが、立ち直って現在では流星というホストに貢いでいる。
高望みした挙句、婚期を逃してしまい毎日のようにホストクラブ「タージ・マハル」に足を運んでいる。担当は英語だが、教科書は使わず気まぐれで英文を生徒に訳させるため予習復習などがまったく通じない。真面目な生徒にとっては天敵といえる存在となっている。
度重なる授業放棄のため月給は9万6千円に減給されてしまっている。それでもホストクラブに通うのはやめず、若手ホストの流星に入れ込んでしまっている。ホストクラブにいるとき、自分は年齢や境遇関係なく「お姫様」になれると思っている。
リクから「ホストクラブより楽しいことは他にもある」といわれてしまい、ブチキレてリクをホストクラブに連れて行こうと画策する。流星の誕生日にリクを誘拐し、ホストクラブへと連行した。流星とイチャつくさまを延々と見せ続け、リクの怒りを買ってしまい、120万する「ルイ・十三世」というワインを勝手に買わされてしまった(リクもホストクラブに関してテレビでみた知識しか持たず、成田を困らせようとして「値段は知らないけど、ちょっと高いらしいお酒を買わせてしまおう」という考えだった)。
120万も払えるわけがなく、家も車も衣服もメガネも全て売り払い、闇金から借金して支払った。腎臓を一個担保にされてしまうという末路をたどる。
竹村雪(たけむら ゆき)
マリリン・モンローが白衣を着ているような、扇情的な女教師。担当は生物。香子からは「性欲の権化」と呼ばれており、実際に彼女の毒牙にかかってしまった生徒は両手で足りないほど。仕草や表情からもお色気が染み出しており、何をやっても蠱惑的でエロく見えてしまう。作中では生徒である丸富井や金谷みさきを食べてしまった(性的な意味で)。
タランチュラのローズヘアを飼っており、周りが引くほど溺愛している。
校長先生
総白髪をオールバックにした65歳の男性。新撰組が大好きで、初登場時は愛刀「三千綱(みちつな)」を携えて新撰組のコスプレを披露した。
チカのパパ(パトロン)のひとりで、彼女の指輪は全て彼が送ったもの。極度のロリコンであり、チカを溺愛している。チカのためなら校則や法律を捻じ曲げてでも尽くそうとする。
教頭先生
バーコードヘッドにメガネをかけた中年の男性。学園祭の時には5階の教室を非合法カジノとして機能させる支配人「白兎(ホワイトラビット)」を名乗り、ウサミミを装着している。校長も知っているが、黙認している。カジノの従業員は全て教師によって構成されており、主な客層は保護者たちとなっている。そのため、教育委員会に知られれば教師一同がクビにされるという事態になるため、カジノのことを知る生徒は非常に少ない。また、緘口令もしっかりされており「ケーサツにたれこんだら消しちゃうぞ☆」と口止めにもぬかりはない。
校長の暴走とその原因にもなっているチカに頭を痛め、気苦労が耐えない日々が続いている。
鳴子花三郎(なるこ はなさぶろう)
物理教師。体育会系で、大学時代はバスケットの選手であった。特技はダンクシュート。授業中にふざけていたリクをゴミ箱へとダンクシュートした。

友人・知人

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才翁親方(さいおうおやかた)
たこ焼き屋「才翁屋」を1人で経営する、気難しい中年男性。自分が差し出したたこ焼きは、脚が嫌がっても意地でも食べさせるという頑固さを持つ。
それでも腕前は確かで、小さな店だが毎日朝から晩まで長蛇の列が絶えないほどの人気を誇る。そのうまさの秘訣は、材料ももちろんながら鉄板にあるといわれている。その使い込まれた鉄板を所望する者は多く、それでも彼の性格を知る者は言い出せないでいる。リクとは知り合いであり、彼の頼みで鉄板を貸し与えた。
グランシェフ・エミリー
同業をぶっちぎりに置き去りにして人気を誇る「サラマンド」のオーナー。そろそろ70を迎える老婆だが、180センチ近くの長身に肉付きのよい身体を保っている。黒のライダースーツを普段着代わりに着用している。おおらかな性格で細かいことは気にしないというタイプ。
リクの知り合いであり、才翁親方とも旧知の仲。彼とともにリクの窮地に駆けつけ、救ったことがある。
黄金橋三銃士(こがねばしさんじゅうし)
三人の老女「アトス」「ポルトス」「アラミス」によって構成される集団。かなりの高齢だが、狙撃の腕前は落ちておらず、長距離からの射撃でも狙いを外すことはまずない。それでも若干ボケが進行しており、「地元で迷子になった」「布団と間違えてジイさん干した」「子供がいないのにオレオレに詐欺に遭った」など、奇行に及んでいる。中でも三人目の銃士アラミスのボケは酷い。
リクが生まれたばかりの時、おしめを変えたことがある。リクを「リッくん」と呼ぶ。
幼女高校の不良集団
幼女高校(おさなめこうこう)に通っている。リーゼントや金髪、坊主頭など十人で構成される不良たち。黄金橋学園を「バシコー」と呼んでいる。毎年、近隣にある黄金橋学園の文化祭に現れては荒らしまわっている。しかも、毎年毎年メンツは代替わりしており、年功行事のように文化祭を荒らすため性質が悪いとされている。
今年も女生徒に絡んだりなど凶行に及ぶが、リクの罠によって全員ノックアウトされてしまい、あえなく退場となった。

既刊一覧

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  • 七位連一(著)・ぱこ(イラスト)メディアファクトリー〈MF文庫J〉、全3巻
    • 『丸鍋ねこ改造計画(仮)』、2008年8月31日初版発行(8月25日発売[1])、ISBN 978-4-8401-2402-7
    • 『丸鍋ねこ2 蘭ひょう捜査記録(蹴)』、2008年11月30日初版発行(11月25日発売[2])、ISBN 978-4-8401-2483-6
    • 『丸鍋ねこ3 白崎チカ王政復古(殴)』、2009年1月30日初版発行(1月25日発売[3])、ISBN 978-4-8401-2641-0

脚注

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