仁平 道明(にへい みちあき、1946年12月2日 - )は、国文学者、東北大学名誉教授。上代文学・平安文学・近代文学、比較文学専攻。1984年岡崎義恵学術研究奨励賞受賞。

人物編集

栃木県生まれ。東北大学文学部国文学専攻卒業、東北大学大学院文学研究科国文学国語学日本思想史学専攻修士課程修了。1977年静岡大学教養部講師、1978年静岡大学教養部助教授、1989年東北大学文学部助教授、1993年東北大学文学部教授、東北大学大学院文学研究科教授(2009年退職)、2009年和洋女子大学言語・文学系教授(言語・文学系長、大学院人文科学研究科長/2017年退職)等を経て、現在、東北大学名誉教授。

《平安文学に関する主要な研究成果》

【『古今和歌集』序が「楽」の意義に関する漢籍の表現を援用し、和歌の意義を説いたことを究明】

「和歌と詩と楽と──『古今和歌集』真名序の措辞をめぐって──」(台湾・輔仁大学日本語文学系編『日本語日本文学』第10輯/1983年12月/仁平道明著『和漢比較文学論考』に再録)等の論文で、『古今和歌集』の序で和歌の意義を説くために毛詩序等の「詩」の意義を説くものが援用されているという通説に対して、はやく上代から移入されていた礼楽思想を背景として、「楽」に関する表現が序に用いられ、和歌の意義を説くために援用されていることを、初めて指摘し、以後、それが通説となった。

【『後漢書』清河王慶伝によって『源氏物語』が構想されたという新説の提示】

「『源氏物語』と『後漢書』清河王慶伝」(和漢比較文学会編『和漢比較文学』第9号/1992年7月/仁平道明著『和漢比較文学論考』に再録)等の論文で、『源氏物語』の光源氏の物語が『後漢書』清河王慶伝によって、初めから長編物語として構想され、桐壺巻から書かれたという説を提起した。なお、「和漢比較文学研究の射程――〈『源氏物語』と『後漢書』清河王慶伝〉再説」(『和漢比較文学』第48号/2011年2月)で、『紫式部日記』の紫式部幼少期等の話が『後漢書』后妃伝によっていることを指摘し、紫式部の『後漢書』受容の広がりを明らかにして、『源氏物語』が『後漢書』清河王慶伝によって構想されたということを補説した。 

【『夜の寝覚』末尾欠巻部断簡の発見と報告】

「『夜の寝覚』末尾欠巻部断簡考──架蔵伝後光厳院筆切を中心に──」(久下裕利編『狭衣物語の新研究──頼通の時代を考える──』2003年7月/仁平道明著『物語論考』に再録)、「『夜の寝覚』末尾欠巻部再構成の試み――架蔵切・『古筆学大成』切・周辺資料から」(永井和子編『源氏物語へ 源氏物語から 中古文学研究24の証言』2007年9月)等の論文で、自身が入手した伝後光厳院筆の断簡が『夜の寝覚』末尾欠巻部断簡であり、その断簡の内容から、従来女主人公が秘法によっていったん死んで生き返るという非現実的な設定であると考えられていた末尾欠巻部がより現実的なものであったことを明らかにする、『夜の寝覚』の文学史上の位置づけの変更を迫る資料であることや、従来未詳物語切とされていた一連の伝後光厳院筆の断簡がそのツレと考えられるということを報告した。学界で議論を呼んだその説の妥当性は、後に、実践女子大学に入った末尾欠巻部の和歌を含む、そのツレである断簡の出現によって、認められ、確定した。それによって、平安朝物語の代表的作品の一つである『夜の寝覚』の失われていた末尾欠巻部の重要な本文が得られることになった。


著書編集

  • 『和漢比較文学論考』武蔵野書院  2000
  • 『物語論考』武蔵野書院  2009
  • 『夏目漱石芥川龍之介論考』武蔵野書院 2017

編著・共編著編集

  • 『類聚本系江談抄注解』後藤昭雄・田口和夫・根津義と共著 武蔵野書院 1983
  • 『古今歌ことば辞典』菅野洋一と共編著 新潮選書 1998
  • 『国文学「解釈と鑑賞」別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 真木柱』 編 至文堂 2004
  • 源氏物語の始発 桐壺巻論集』日向一雅と共編 竹林舎 2006
  • 『王朝文学と東アジアの宮廷文学(平安文学と隣接諸学)』編 竹林舎 2008
  • 『源氏物語と東アジア』編 新典社研究叢書 2010
  • 『源氏物語と白氏文集』編 新典社研究叢書 2012
  • 『アジア遊学 東アジアの結婚と女性 文学・歴史・宗教』編 勉誠出版 2012 
  • 『〈日本学研究叢書35〉芥川龍之介研究ー台湾から世界へー』彭春陽と共編 国立台湾大学出版中心 2021

参考編集