医療対話推進者(いりょうたいわすいしんしゃ)とは、医療機関において患者・家族支援体制の調整と対話促進の役割を果たす者である[1][2]

沿革 編集

2012年度の中医協において、厚生労働省[3]が、愛媛県医師会全国社会保険協会連合会(現地域医療推進機構)などで養成・配置されていた医療メディエーターの成果および組織体制の資料に基いて、こうした人材を配置している場合に診療報酬加算を行うことを提案し、最終的に「患者サポート体制充実加算」として認められるに至った[1][2]。また、その成果は順調に表れている[4]

その後、業務指針・研修指針も整備され、厚生労働省は事務連絡の中で、これに適合する養成研修として「日本医療機能評価機構の研修である」と明記し、その他の研修提供組織については、個別に評定するとしている[5]

日本医療機能評価機構の研修[6]は、医療メディエーター養成研修として早稲田大学和田仁孝教授と山形大学中西淑美准教授が開発したプログラムであり、現在では、日本医療機能評価機構、日本医師会日本医療メディエーター協会が協働して研修を提供している[7]。年間100回以上の育成研修が行われ、医療対話推進者の95%以上がこの研修を受講している。このほか、NPO法人架け橋、日本医療コーディネーター協会なども、年に数回の研修を提供している。

業務指針 編集

医療対話推進者の業務としては次のような項目が挙げられている。

  1. 患者・家族支援体制の構築
  2. 患者・家族支援体制に関する職員への教育・研修の実施
  3. 患者・家族への一次対応としての業務
  4. 患者・家族からの相談事例の収集、分析、対策立案、フィードバック、評価
  5. 医療事故や、医療事故を疑った患者・家族からの申し出に関して対応すること
  6. 説明と対話の文化の醸成

医療対話推進者養成研修 編集

厚生労働省は事務連絡で加算に適合する研修を「日本医療機能評価機構の研修」すなわち 和田・中西らによって開発されたメディエーション研修(日本医療機能評価機構のほか、日本医師会、日本医療メディエーター協会が実施)を中心とするものと規定し、その他は個別に判定するとしている[5]。 医療対話推進者養成研修は下記の組織・機関で実施されている。

医療機能評価機構(日本医師会・日本医療メディエーター協会)のプログラムに基くもの 編集

その他の厚生労働省研修指針に合致したプログラム提供機関 編集

  • NPO法人架け橋
  • 日本医療コーディネーター協会

脚注 編集

  1. ^ a b [1]厚生労働省平成24年度診療報酬改定の基本方針
  2. ^ a b 中西淑美『医療メディエーター(医療対話推進者)と患者サポート充実加算について』文化連情報415、2012年10月、40頁以降より
  3. ^ [2] 厚生労働省
  4. ^ [3] 厚生労働省中央社会保険医療協議会議事録
  5. ^ a b [4] 厚生労働省事務連絡医科-2
  6. ^ [5] 日本医療機能評価機構
  7. ^ 和田仁孝 中西淑美『医療メディエーション:コンフリクト・マネジメントへのナラティヴ・アプローチ』、2010年より

外部リンク 編集