味間いも
歴史
編集戦前から奈良県磯城郡田原本町の味間地区とその周辺のみで作り継がれてきた。古くからこの地で栽培されてきたという説や、昭和初期(1931年~1933年)に奈良県農事試験場(現農業総合センター)において優良と認められた品種がもたらされたという説など諸説あるが、来歴には不明な点が多く、もともとの品種名が何であったかは分かっていない[1]。
特徴
編集白くてきめの細かい絹肌で、サトイモの代表的品種である「石川早生」より粘りが強い[2]。
連作障害が出やすく、4年間は同じ圃場で作れないが、収量性が高く食味が良い。
産地
編集奈良県磯城郡田原本町味間を中心に、天理市などでも栽培され始めている。
利用法
編集ねっとりしたとろける食感とコクがあり、煮っ転がしをはじめ田楽、蒸し芋、味噌汁など、幅広い料理に使うことができる。おせち料理の煮しめや雑煮にも欠かせない。奈良県の郷土料理である「いもぼた」はサトイモを混ぜて炊いたぼた餅である[3]。 他府県で「あられ」と呼ばれる小粒のおかきを奈良県では「切り子」と呼び、サトイモを摺りおろして搗き込んだものは素焼きにするとよくふくらむ[4]。 おやつとして食べるほか、茶粥をはじめ、お茶漬け、うどん、善哉に浮かべて食べるのは奈良県独特の食べ方である。
その他
編集脚注
編集- ^ 米田祥二(奈良県農業総合センター) 「サトイモの品種名~種類が多くて混同も」奈良新聞掲載、2008年4月26日。
- ^ 奈良農総セ・研究開発部・生産技術担当・野菜栽培チーム 「サトイモの粘りと硬さに関する評価法と品種・系統間差」農研機構、2004年度。
- ^ 『聞き書奈良の食事』日本の食生活全集29 農山漁村文化協会、1992年、35頁。
- ^ 『聞き書奈良の食事』日本の食生活全集29 農山漁村文化協会、1992年、38頁。
関連項目
編集外部リンク
編集- 味間の伝統を守っていきたい - 『農業共済新聞』 2015年12月9日