天理市

日本の奈良県の市

天理市(てんりし)は、奈良県北中部に位置する。中心部に天理教関連の施設が集中していることなどから、宗教都市として知られている[1]。名称は天理教に由来する。

てんりし
天理市
Tenri montage.JPG
天理市旗 天理市章
天理市旗 天理市章
1954年9月24日制定
日本の旗 日本
地方 近畿地方
都道府県 奈良県
市町村コード 29204-4
法人番号 3000020292044 ウィキデータを編集
面積 86.42km2
総人口 64,632[編集]
推計人口、2020年8月1日)
人口密度 748人/km2
隣接自治体 奈良市桜井市大和郡山市磯城郡田原本町三宅町川西町
市の木 イチョウ
市の花 ウメ
天理市役所
市長 並河健
所在地 632-8555
奈良県天理市川原城町605番地
北緯34度35分47.7秒東経135度50分14.1秒座標: 北緯34度35分47.7秒 東経135度50分14.1秒
Tenri City Hall.JPG
外部リンク 公式ウェブサイト

天理市位置図

― 市 / ― 町・村

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地理編集

奈良県北中部に位置する。市域を東西に西名阪自動車道名阪国道が貫き、南北軸と交わる交通の要衝となっている。

気候編集

奈良県を参照。

歴史編集

市域の変遷編集

明治22年 明治26年 明治27年 大正12年 昭和29年 現在
奈良県
山辺郡 天理市
山辺村 丹波市町
二階堂村
朝和村
福住村
式上郡 磯城郡
柳本村 柳本町
添上郡
櫟本村 櫟本町

天理市と天理教編集

1986年9月時点で天理市の人口は65,000人だったが、4分の1程度が天理教関係者とみられ、その他に数千人の修養科生等が常時いると考えられる[3]

市街地のほぼ半分を天理教関係の宗教用非課税施設が占めることから、固定資産税等の減収の問題があり、これを補う形で1967年以来教団から天理市への多額の寄付が続けられている[3]。寄付の金額は、1985年の水準でみると、天理市の総地方税収に近い額となっており、一般寄付ではなく、使途制限付きの「指定寄付」にあたる形で、毎年の予算編成の際に天理市と教団の協議の上で、その年度の都市計画事業等の内容によって寄付額が決められている[3]。また、10年ごとに開催される天理教祖祭に近い年度では、寄付金が急激に増える傾向がある[3]。こうした天理市と天理教の関係は、政教分離の観点から憲法論的に検討されるべき問題を含んでいるといえる[4]。また、市街地の教団用非課税施設による固定資産税等の減収分は、ある程度国からの地方交付税で補填されているため、その点も全く問題がないとは言えないが、おおむね許容されている[4]

このように、天理市は教団との関係なしには自治体として維持できず、天理市は教団と一体化した天理市の発展を強調しているが、天理教本部では市長選挙、市議会議員選挙で候補者を立てない方針をとっており、教団と自治体が一体化し、教団が行政となり信者を住民として統治するような事態には至っていない[4]

天理教の二代真柱中山正善が、1960年(昭和35年)に名誉市民となっている。

市名の由来編集

命名の背景には天理教会の存在があり[4]、名称は天理教に由来する[5]21世紀の日本で市名に宗教団体の名称が使われている唯一の例である[6]。同教の本部が市中心部の丹波市町にあったこと、同教が市制施行時に一帯に普及していたことによる。県に対する合併申請書類の一つ、市名選定の理由書は、次のように述べている。

(前略)市の中心たる元丹波市町は天理教教会本部の所在地であり従来より天理の町として又宗教の町としてその名は全国の隅々にまで知れわたつております。
この際合併を契機として宗教都市たる本質を明瞭に表現し関係町村相携えて街を天下の理想郷たらしめるべく住民の意向や感情を勘案してこゝに「天理市」を選定したものであります。

天理市は誕生時から自らを「宗教文化都市」と位置付け、市民憲章や世界連邦都市宣言などでもその性格を強調している[4]。法学者の石村耕治は、この点は憲法論的に疑問がないとは言えないと指摘している[4]。1977年に奈良県・天理市・天理商工会が作成した「天理市広域商業判断報告書」では、天理市はバチカンやメッカのような日本唯一の宗教都市であるとし、教団と一体化した天理市の発展を強調している[3]

かつて、天理市民ではない天理教信徒が天理市の市名を、山辺郡をそのまま市名にした「山辺市」に変更するよう求めて天理市長を訴えたが、この訴えは却下された[7]

天理教関連施設郡と都市計画編集

 
市街地に林立する天理教独自の建築物「おやさとやかた」の例(天理参考館)

市内中心地には、宗教法人天理教協会本部、宗教法人天理教、財団法人天理教維持財団、天理大学天理高等学校・中学校・小学校・幼稚園・天理教校などの学校法人、天理大学附属天理図書館国宝重要文化財を収蔵)、天理大学附属天理参考館(国宝や重要文化財を収蔵)、特別養護老人ホームやすらぎ園等の教団関連施設があり、市中心部のほぼ半分を占有し、1995年時点では拡大を続けている[3]。施設の中には市民に開放されているものがあるが、ほとんどは信徒向けである[3]。現在の建物は、信者宿泊施設の「詰所」をはじめ、天理よろづ相談所病院など福祉と医療、学校教育、信者の宿泊、教務などの諸施設として使用されている[8]2014年(平成26年)時点で、26棟が完成している[9]

天理教の施設群は「おやさとやかた」と呼ばれ、町の中心部に建物群を作るプランは、教祖の中山みきの言葉[10][8]がまずあり、それを受けた2代目真柱・中山正善が決意し[11]、同輩の建築家・内田祥三と奥村音造とともに教会本部を中心に、約870m四方に68棟を建て巡らすという広大な「おやさとやかた構想」によって建設された。1954年(昭和29年)から着工され、現在も構想は継続しており、建設中である。

このように、天理市内で教団が多くの土地を占有することから、公共事業には天理教との協力が欠かせず、市建設部と教会本部で構成される「親里委員会」が設置され、協議を行って進められている[3]。天理教幹部と市長・助役・総務部長の非公式会合も、毎月持たれているようであり、法学者の石村耕治は「天理市の都市計画は、市発足当初から今日まで一貫して教団の手中にあったといっても過言ではない」と指摘している[3]

その他の建造物に、天理教の教祖百年祭を記念し建設された親里競技場があり、野球場、フィールドホッケー場、ラグビー場は地元の天理高等学校野球部、天理大学ラグビー部が使用しているほかに、各種大会や全国大会が開催されている。

祭り編集

こどもおぢばがえりという天理教の祭りが毎年開催されている。

行政編集

歴代市長編集

氏名 就任日 退任日 備考
初代 中島賢蔵 1954年4月
2代 北沢善之 1957年
3代 堀内俊夫 1966年5月 1976年 参院選出馬のため辞職
4代 尾崎喜代房 1976年9月
5代 前川尭 1988年8月 1992年4月1日 辞職[12]
6代 市原文雄 1992年5月 2001年9月10日 受託収賄容疑で逮捕され辞職
7代 南佳策 2001年10月28日 2013年10月27日
8代 並河健 2013年10月28日 現職

立法編集

天理市議会編集

  • 定数:16名[13]
  • 任期:2019年(平成31年)4月30日 - 2023年(令和5年)4月29日[14]
  • 議長:大橋基之
  • 副議長:東田匡弘
  • 監査委員:加藤嘉久次
会派名 議席数 議員名(◎は幹事長)
清風会 9 ◎飯田和男、堀田佳照、廣井洋司、三橋保長、市本貴志、東田匡弘、内田智之、大橋基之、中西一喜
創生 4 ◎寺井正則、鳥山淳一、今西康世、仲西敏
創造未来 4 ◎佐々岡典雅、岡部哲雄、加藤嘉久次、榎堀秀樹
無会派 1 荻原文明

奈良県議会編集

  • 定数:2名
  • 選挙区:天理市選挙区
  • 任期:2015年(平成27年)4月30日 - 2019年(平成31年)4月29日
議員名 会派名 当選回数
岩田国夫 自民党奈良 5
川口延良 自民党絆 1

経済編集

産業編集

市の中心部には天理教関連の施設が多く、宗教都市の様相を呈しているが、市全体的には農業地帯である。 特にいちごの栽培が盛んである。

人口増に対応した商業活動も活発であり、大型ショッピングセンターも設置された。

また、「天理ラーメン」という、ひとつのジャンルとなった、トンコツ鶏ガラをベースにニンニク豆板醤で味付けされ、具には炒めた白菜豚肉を使用した彩華ラーメンや、天理スタミナラーメンが有名である。

市北部にはシャープの総合開発センターがあり、研究所およびLSD液晶ディスプレイの工場が置かれている。

新興住宅地編集

大阪から電車、車で1時間程度の距離であることから、ベッドタウンとしての役割を担っており、特に近鉄天理線沿いを中心に新興住宅地が現在も拡大し続けている。

企業編集

金融機関編集

農業協同組合編集

奈良県農業協同組合(JAならけん)

  • 二階堂支店・天理営農経済センター(前栽町)
    • 福住出張所(福住町)
  • 櫟本支店(櫟本町)
  • 天理支店(川原城町)
  • 朝和支店(成願寺町)
  • 柳本支店(柳本町)

上記の各支店・出張所、およびイオンタウン天理内にJAバンクATMが設置されている。

日本郵政グループ編集

(※2014年6月現在)

日本郵便株式会社

  • 天理郵便局(川原城町) - 集配局。
  • 二階堂郵便局(二階堂北菅田町)
  • 天理前栽郵便局(杉本町)
  • 天理櫟本郵便局(櫟本町)
  • 天理別所郵便局(別所町)
  • 天理親里館(おやさとやかた)郵便局(三島町)
  • 天理丹波市郵便局(丹波市町)
  • 天理朝和郵便局(西長柄町)
  • 天理三昧田(さんまいでん)郵便局(三昧田町)
  • 柳本郵便局(柳本町)
  • 天理福住(ふくすみ)郵便局(福住町)
  • 山田簡易郵便局(山田町)


ゆうちょ銀行

  • 大阪支店 天理よろづ相談所内出張所(三島町)(ATMのみ/ホリデーサービス実施)
  • 大阪支店 イオンタウン天理内出張所(東井戸堂町)(ATMのみ/ホリデーサービス実施)

その他簡易郵便局を除く各郵便局にATMが設置されており、天理・天理親里館の各郵便局ではホリデーサービスを実施。

天理市内の郵便番号は「632-00xx」(天理郵便局の集配担当)となっている。ただし、長滝町は「632-0123」、福住町は「632-0122」、山田町は「632-0121」(以上3地区は針ケ別所郵便局(奈良市針ケ別所町)の集配担当)となっている。

姉妹都市・提携都市編集

国内編集

  • なし

海外編集

地域編集

人口編集

 
天理市と全国の年齢別人口分布(2005年) 天理市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 天理市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

天理市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より

 

  • データ出典 奈良県統計課の調査による各年10月1日の人口。
  • 2007年(平成19年)10月1日現在 : 70,759人
  • 人口増加率(2002年→2007年) : -2.1%

1990年代後半 - 2000年代前半に掛けては増減が激しい時期があったが、近年は微減傾向である。

学校教育編集

小学校


中学校

高等学校

大学

社会教育編集

ホール・集会場

  • 天理市文化センター
  • 天理市福祉センター

公民館

  • 朝和公民館
  • 櫟本公民館
  • 井戸堂公民館
  • 式上公民館
  • 祝徳公民館
  • 前裁公民館
  • 丹波市公民館
  • 東部公民館
  • 二階堂公民館
  • 福住公民館
  • 柳本公民館
  • 山田公民館


図書館

体育施設

  • 長柄総合運動公園
  • 天理市立三島体育館
  • 天理市立二階堂体育館
  • 天理市立二階堂運動場
  • 天理市立白川ダム運動場
  • 天理市立福住運動場
  • 天理市立天理ダム運動場
  • 温水プール(コナミスポーツ天理)
  • 親里競技場(ラグビー場、野球場、フィールドホッケー場 天理教本部運営)

警察編集

消防編集

市外局番編集

  • 市外局番は市内全域で0743(奈良MA)が使用される[16]
    • 市外局番が同じ0743の地域ならびに0742の奈良市とは、市内料金での通話が可能である。

隣接する自治体編集

奈良県編集

奈良市桜井市大和郡山市、磯城郡田原本町三宅町川西町

交通編集

鉄道編集

バス編集

  • 奈良交通
  • 天理市コミュニティバス「いちょう号」
  • 天理市デマンドタクシー「ぎんなん号」

このほか、当市北部の大和郡山市に近い地域では大和郡山市コミュニティバス「元気治道号」の伊豆七条町・伊豆七条町セレモニー琴前・新庄町各停留所も利用可能となっており、近鉄郡山駅・JR郡山駅へアクセスできる。

また、当市南部の桜井市に近い地域では桜井市コミュニティバス「西北部循環線」の大豆越停留所が利用可能となっており、桜井駅へアクセスできる。

道路編集

高速道路・有料道路編集

一般国道編集

主要地方道編集

一般県道編集

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事編集

名所・旧跡編集

 
龍王山城の石碑

文化財や史跡が散在。

天理市PR大使(観光大使編集

天理中学校天理高等学校天理大学出身。2014年10月10日 天理市が委嘱。

著名な出身者編集

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ 島田裕巳『聖地にはこんなに秘密がある』講談社、2011年6月、98頁。ISBN 978-4-06-216475-7
  2. ^ 『図典 日本の市町村章』小学館辞典編集部、小学館、2007年1月10日、初版第1刷、165頁。ISBN 4095263113
  3. ^ a b c d e f g h i 石村 1995, pp. 380-381.
  4. ^ a b c d e f 石村 1995, pp. 380-382.
  5. ^ ただし天理教以外にも名称に「天理」が入る宗教法人は存在する。例:エホバの証人の天理会衆
  6. ^ 地方自治体名としては、過去に金光教本部の所在地であることに由来する金光町岡山県浅口郡に存在したが、合併で浅口市となったことに伴い消滅している。私的団体に由来する市名としても、現存するのはこの天理市と愛知県豊田市トヨタ自動車に由来。旧称・挙母市)のみである。過去の例としては、平成の大合併郡上市となった旧明宝村の例がある(元は明方村であったが、村おこしの明宝ハムの商品名に合わせ、明宝村に村名を変更していた)。日野自動車(トヨタ自動車系)がある日野市(設立時は日野町)や、日立製作所の所在する日立市(設立当時は日立村)は、企業が地名を社名に取り入れたものである。
  7. ^ 奈良地裁昭和51年(行ウ)第2号市名変更請求事件、1976年(昭和51年)9月27日判決(天理市民でない者が,天理市がその市名に特定宗教団体の名称を借用していることは憲法20条に反しているとして,天理市の市名を山の辺市に変更することを求めたところ,「原告には権利保護要件(訴権),当事者適格及び義務づけ訴訟提起の法律上の利益がない」などとする被告の翻案前答弁を引用し,同訴えを不適法却下した事案。)。「A市という市名をB市に変更せよとの訴えが不適法として却下された事例」『判例時報』(第836号pp. 47–48、1977年2月11日)参照。
  8. ^ a b 森進 (2009-10). “「おぢば帰りの行為と意味」(中) - 「ぢば」,「やしき(屋敷)」,「親里」の呼称と意味;「おぢば帰り」,「お屋敷帰り」,「おやざとまいり(親ザト参リ)」の呼称と意味 -” (pdf). Tenri University journal (天理大学学術研究委員会) 61 (1): "pages = 27-28". NAID 40016894897. https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/repository/metadata/2300/GKH022202.pdf 2015年8月23日閲覧。. 
  9. ^ 天理教公式サイト「おやさとやかた」
  10. ^ 「今に、ここら辺り一面に、家が建て詰むのやで。奈良、初瀬七里の間は家が建て続き、一里四方は宿屋で詰まる程に。屋敷の中は、八町四方と成るのやで。」
  11. ^ 「神のやかたであるところの元のぢば、その元のぢばを取り囲む子供の住居たるおやさとやかたをめぐらしまして、ここに親も子も共々に、神も人も共々に一つ心になって、陽気ぐらしの実を、否、世界の平和の雛型を進めて行き度い」
  12. ^ 奈良地方裁判所 平成4年(行ウ)5号 判決 - 大判例
  13. ^ 選挙の種類と任期”. 天理市. 2019年5月6日閲覧。
  14. ^ 奈良県 任期満了日一覧
  15. ^ 展示施設のご案内”. シャープ. 2013年6月12日閲覧。
  16. ^ 市外局番一覧(06・07:近畿・北陸地方)

参考文献編集

  • 石村耕治、1995、「宗教集団による自治体支配の法的問題 -ラジニーシプラム市事件を素材として-」、『アメリカ連邦税財政法の構造』、法律文化社
  • 島田裕巳『聖地にはこんなに秘密がある』講談社、2011年6月。ISBN 978-4-06-216475-7
  • クラーマー・スベン「「宗教都市」天理市の誕生 : その問題点と市町村合併史上の意味」『史学雑誌』第126巻第8号、史学会、2017年、 54-76頁。

関連項目編集

外部リンク編集