在日ペルー人
在日ペルー人(ざいにちペルーじん, スペイン語: Peruanos en Japón)は、日本に一定期間在住するペルー国籍の人である。南米地域出身者の中ではブラジルに次いで多い。その多くはスペイン語を母国語としており、カトリック教徒である。
Peruanos en Japón | |
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総人口 | |
49,114人 (2023年12月末現在)[1][2] | |
居住地域 | |
関東地方、東海地方 | |
言語 | |
スペイン語、日本語 | |
宗教 | |
カトリック |
概要
編集人数
編集日本の法務省の在留外国人統計によると、2023年12月末現在で日本にいる中長期在留者・特別永住者のペルー人は4万9114人(194か国[注釈 1] 中12位)である。そのうち永住しているペルー人やその家族は33,151人(194か国中5位)である[1][2]。
年代
編集2021年6月末時点で中長期在留者・特別永住者である在日ペルー人の男女比は52対48であり、相対的に男性が多い。年代別に見ると40代(1万563人)が最も多く、次いで30代(7940人)が多い。年代別の構成比率について在留外国人全体の平均と比べると、10歳未満(9%)は3%ポイント、10代(13%)は8%ポイント、40代(18%)は3%ポイント、50代(20%)は9%ポイント、60代(10%)は4%ポイントそれぞれ高いのに対して、20代(13%)は17%ポイント、30代(14%)は9%ポイントそれぞれ低い[3]。
在留資格
編集在日ペルー人(4万8105人、2021年6月末時点)の大半(99%)は就労制限のない在留資格「永住者」(3万3313人)、「永住者の配偶者等」(2048人)、「定住者」(1万697人)及び「日本人の配偶者等」(1601人)のほか特別永住者(3人)である[1]。制限のある在留資格としては「留学」(102人、194か国中43位)などである[1]。
職種
編集2021年10月末時点の在日ペルー人の労働者人口は、3万1381人(2021年6月末時点の在留数との比率およそ65%)であった(なお失業率については不詳)。産業別の内訳は「製造業」(全産業計における構成比36.9%)が最も多く、そのほか「卸売業、小売業」(同6.7%)、建設業(同3.9%)、「宿泊業、飲食サービス業」(同3.7%)、「医療、福祉」(同3.0%)や「サービス業(他に分類されないもの)」(同32.8%)などであった[4]。
地域
編集2021年6月末時点で在日ペルー人の居住地域は関東地方(50%)や東海地方(34%)が多い。在日ペルー人は愛知県(7699人)や神奈川県(6459人)などの製造業が集積する地域に集住しており、東京都(2063人)や大阪府(1313人)などの大都市にはほとんど住んでいない[5]。
家族
編集2015年時点でペルー国籍を持つ家族の同伴率は0%で在日外国人全体の平均(6%)より低い。一方、日本人の配偶者を持つペルー人は4%で在日外国人全体の平均(7%)より低い[6]。
他の在日南米人との違い
編集在日ペルー人と在日ブラジル人は原則としては現地に移民した日本人の子孫(日系人)である。在日ペルー人の母語はスペイン語であり、在日アルゼンチン人や在日コロンビア人、在日ボリビア人と同じである。一方、在日ブラジル人はポルトガル語(ブラジルポルトガル語)である。在日ブラジル人(20万6365人)はペルー人の4倍居る[1]。在日ペルー人の大半は関東地方(50%)に居るが、在日ブラジル人は東海地方(56%)に居る[5]。
2008年から2015年の間に在日ブラジル人は14万3929人が帰国したが、在日ペルー人は1万1923人しか帰国していない[7][6]。ペルーは太平洋岸にあり、ブラジルは大西洋岸にある。ペルーの一人当たりGDPは6551ドルでブラジル(1万1385ドル)の58%である[8]。ペルーにはセンデロ・ルミノソが居て、ペルー政府の非常事態宣言[9]や外務省の渡航中止勧告が出ている地域がある。一方、ブラジルは強盗・誘拐・麻薬の問題はあるが、外務省の渡航自粛勧告は出ていない[10]。ペルーには徴兵制度は無いが[11]、ブラジルには有る[12]。日系ペルー人は本国に10万人(推定)居るが[11]、日系ブラジル人は本国に約160万人(推定)居る[12]。
歴史
編集1990年代
編集1990年、ペルーではアラン・ガルシア大統領の失政によりハイパーインフレが起きていた。後任の大統領には日系人のアルベルト・フジモリが就任し急進的な改革を行ったが、反発もあり1996年には在ペルー日本大使公邸占拠事件が起きた。一方、日本では1990年に出入国管理及び難民認定法が改正され、就業活動に制限のない定住者資格が創設されて日系3世に対して付与されるようになった。1990年の在日ペルー人は1万279人だったが1995年までに3万6269人に急増し[7]、ニューカマーの一角を占めた。一方、刑法犯も1990年の26件(14位)・18人(15位)から1170件(4位)・386人(3位)に急増した[13]。日系ペルー人を装うために偽造旅券を使って入国しようとするペルー人(25人)が現れ、1995年の不法残留者は1万4693人(5位)に及んだ[13]。
2000年代
編集2000年の在日ペルー人は4万6171人だったが、2005年までに5万7728人に増加した[7]。一方、2000年の刑法犯は482件(5位)・261人(5位)だった[14][15]。不法残留は9158人(7位)に減少した[14]。
2010年代
編集2010年の在日ペルー人は5万4636人だったが[7]、2015年には4万7800人に減少した。一方、刑法犯は2010年に430件(6位)・289人(6位)だった[15]。2014年のペルー人の犯罪は万引き・非侵入窃盗・暴行が多かった[16]。
報道機関
編集- インターナショナルプレス(新聞)
- アイピーシー(テレビ局)
脚注
編集注釈
編集- ^ 在留外国人統計上の「無国籍」の区分を含まない数。
出典
編集- ^ a b c d e [1]
- ^ a b 令和5年末現在における在留外国人数について
- ^ “第2表 国籍・地域別 年齢・男女別 在留外国人(令和3年(2021年)6月末日現在)” (XLS). e-Stat政府統計の総合窓口. 出入国在留管理庁 (2021年12月10日). 2022年5月27日閲覧。
- ^ 『「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和3年10月末現在)』(プレスリリース)厚生労働省、2022年1月28日。オリジナルの2022年4月7日時点におけるアーカイブ 。2022年6月5日閲覧。「別表7 国籍別・産業別外国人労働者数」を参照。
- ^ a b “在留外国人統計テーブルデータ(令和3年(2021年)6月末日現在)” (XLS). e-Stat政府統計の総合窓口. 出入国在留管理庁 (2021年12月10日). 2022年5月27日閲覧。
- ^ a b “在留外国人統計(旧登録外国人統計)”. 法務省 統計局 (2019年). 2021年4月5日閲覧。
- ^ a b c d “第1部 出入国管理をめぐる近年の状況”. 平成24年版「出入国管理」白書 (2012年). 2015年11月21日閲覧。
- ^ “経済に関するデータ”. 世界銀行. 2015年11月26日閲覧。
- ^ “ペルー:非常事態宣言の発出(延長)”. 外務省 (2014年7月28日). 2015年11月26日閲覧。
- ^ “危険情報・スポット情報・広域情報 ブラジル”. 外務省. 2015年11月26日閲覧。
- ^ a b “ペルー共和国(Republic of Peru)基礎データ”. 外務省 (2015年10月16日). 2015年11月28日閲覧。
- ^ a b “ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil)基礎データ”. 外務省 (2015年8月12日). 2015年11月28日閲覧。
- ^ a b “第8章 国際化社会と警察活動”. 平成8年 警察白書 (1996年). 2015年11月21日閲覧。
- ^ a b “第8章国際化社会と警察活動”. 平成13年 警察白書 (2001年). 2015年11月21日閲覧。
- ^ a b “来日外国人犯罪の検挙状況(平成22年確定値)【訂正版】”. 警察庁 (2010年). 2015年11月21日閲覧。
- ^ “来日外国人犯罪の検挙状況(平成26年)”. 警察庁 (2014年). 2015年11月21日閲覧。