地理空間(ちりくうかん、フランス語: espace géographique、英語: geographical space)とは、地理学的な空間のことで[1]地表の全ての現象を対象とする具象的な空間概念である[注釈 1][2]

1960年代以降、フランスの地理学において重要な概念に位置づけられてきた[3]

展開と受容

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アメリカ合衆国およびイギリスでおこった新しい地理学(New Geography)の影響を受け、フランスでも空間概念が導入された[4]。1960年代末に地理空間の概念が発生したのち、地理学の基礎的な概念として「地理空間」がフランス地理学界で広く受け入れられた[2]。その要因として手塚章は、地理空間の概念が地理学の伝統的な思想[注釈 2]と整合していることを挙げている[2]

脚注

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注釈

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  1. ^ オリヴィエ・ドルフュスは地理空間を、広義に地表および生物圏、狭義にエクメーネと定義した。フィリップ・パンシュメルフランス語版は、地表の全現象が刻み込まれた一体的な空間と定義した。この点で、経済的要素のみを対象とする経済空間など他の空間概念とは異なる。
  2. ^ 地理学の研究対象を、地的に充填された地表空間と規定するカール・リッターの思想。

出典

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  1. ^ 手塚 1997, p. 306.
  2. ^ a b c 手塚 2008, p. 73.
  3. ^ 手塚 2008, pp. 72–73.
  4. ^ 手塚 2008, p. 72.

参考文献

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  • 手塚章 著「地理空間」、山本正三奥野隆史・石井英也・手塚章 編『人文地理学辞典』朝倉書店、1997年、306頁。 
  • 手塚章「地理空間について」『地理空間』第1巻第1号、2008年、73-74頁。