多忙な一日
『多忙な一日』(A Busy Day) は、1914年公開の短編サイレント映画。キーストン社による製作で、主演・監督はチャールズ・チャップリン。1971年に映画研究家ウノ・アスプランドが制定したチャールズ・チャップリンのフィルモグラフィーの整理システムに基づけば、チャップリンの映画出演14作目にあたる[1][注釈 1]。別邦題は『つらあて』。
多忙な一日 | |
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A Busy Day | |
![]() ワンシーン。希少なチャップリンの女装 | |
監督 | チャールズ・チャップリン |
脚本 | チャールズ・チャップリン |
製作 | マック・セネット |
出演者 |
チャールズ・チャップリン マック・スウェイン フィリス・アレン |
撮影 | フランク・D・ウィリアムズ |
配給 |
キーストン・フィルム・カンパニー ミューチュアル・フィルム |
公開 | 1914年5月7日 |
上映時間 | 6分 |
製作国 |
![]() |
言語 |
サイレント映画 英語字幕 |
あらすじ編集
パレードの見物にやってきた夫(マック・スウェイン)と妻(チャップリン)。しかし、夫は別の女(フィリス・アレン)に気が散って仕方がない。別の女についていった夫を取り戻すべく妻は後をつけるが、警官隊やパレードの撮影クルーに阻まれて追いつかない。妻はやっとの思いで夫に追いついたが、夫は乱闘の末に妻を海中に突き落とすのであった[2]。
作品編集
作品の長さは一巻に満たず、1914年8月に異父兄シドニー・チャップリンにあてた手紙に記された自身のフィルモグラフィーでも記されていない[2]。チャップリンの伝記を著した映画史家のデイヴィッド・ロビンソンは、「セネットによる作り捨てのような映画」であるとか「おそらく数えるに値しない作と考えていたのだ」としている[2]。しかし、「数えるに値しない作」の割には興味を引くシーンがいくつかあり、例えばチャップリン演じる妻が叩き付けられるカットが何度も繰り返される[2]。なにより、もっとも興味を引くのはチャップリンの女装であり、ほかに『男か女か』と『チャップリンの女装』を含めて3本しかない[2]。この作品でチャップリンが演じる「女性」に上品さはなく、気の荒い労働者階級の出身でスカートで鼻を拭くなど、パントマイムでよく演じられるもののひとつである[2]。
キャスト編集
- チャールズ・チャップリン:妻
- マック・スウェイン:夫
- フィリス・アレン:夫が気をひかれる女
- マック・セネット:映画監督
- ビリー・ギルバート[注釈 2]:警視総監
etc
脚注編集
注釈編集
- ^ 1914年製作、2010年発見の『泥棒を捕まえる人』を除く
- ^ 『独裁者』でへリング元帥を演じた同名の俳優とは別人(Billy Gilbert (III) (1891–1961) - インターネット・ムービー・データベース(英語))。
出典編集
- ^ #大野 (2007) p.253
- ^ a b c d e f #ロビンソン (上) p.164
参考文献編集
- チャールズ・チャップリン『チャップリン自伝』中野好夫(訳)、新潮社、1966年。ISBN 4-10-505001-X。
- デイヴィッド・ロビンソン『チャップリン』上、宮本高晴、高田恵子(訳)、文藝春秋、1993年。ISBN 4-16-347430-7。
- デイヴィッド・ロビンソン『チャップリン』下、宮本高晴、高田恵子(訳)、文藝春秋、1993年。ISBN 4-16-347440-4。
- 大野裕之『チャップリン再入門』日本放送出版協会、2005年。ISBN 4-14-088141-0。
- Charlie Chaplin at Keystone And Essanay: Dawn of the Tramp - Google ブックス
- 大野裕之『チャップリン・未公開NGフィルムの全貌』日本放送出版協会、2007年。ISBN 978-4-14-081183-2。