大相撲平成26年9月場所(おおずもうへいせい26ねん9がつばしょ)は、2014年9月14日から9月28日までの15日間、両国国技館で開催された大相撲本場所である。

大相撲平成26年9月場所
両国国技館
基本情報
会場 国技館(両国国技館)
番付発表 2014年9月1日[1]
開催期間 2014年9月14日 - 9月28日(15日間)
各段優勝・三賞
幕内最高優勝 白鵬翔(14勝1敗)
十両優勝 栃ノ心剛(15戦全勝)
幕下優勝 安彦剣太郎(7戦全勝)
三段目優勝 髙木立太(7戦全勝)
序二段優勝 濱口航洋(7戦全勝)
序ノ口優勝 竜電剛至(7戦全勝)
殊勲賞 逸ノ城駿(初受賞)
敢闘賞 逸ノ城駿(初受賞)
技能賞 安美錦竜児(6回目)
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幕内最高優勝横綱白鵬翔(14勝1敗・3場所連続31回目)。

場所前の話題など 編集

7月場所後に豪栄道が新大関に昇進し、1999年5月場所以来の3横綱3大関となった[1]

前場所で30回目の幕内最高優勝を果たした横綱白鵬が、この場所を制すれば優勝回数が歴代2位の千代の富士(13代九重)と並ぶことになるとして注目された[2]

豪風は史上最年長の35歳2か月で新関脇に昇進し、新入幕から所要68場所のスロー記録も樹立[1]旭天鵬は初日前日に40歳の誕生日を迎えて、年間6場所制になった1958年以降で初となる40歳代の幕内力士となるなど、ベテラン力士の記録も話題となった[1]

番付・星取表 編集

幕内

東方 番付 西方
備考 成績 力士名 力士名 成績 備考
幕内最高優勝 14勝1敗 白鵬 横綱 鶴竜 11勝4敗
3勝2敗10休 日馬富士 横綱
9勝6敗 琴奨菊 大関 稀勢の里 9勝6敗
大関 豪栄道 8勝7敗 新大関
再関脇 全休 妙義龍 関脇 豪風 7勝8敗 新関脇
新小結 4勝11敗 常幸龍 小結 千代大龍 1勝10敗4休 新小結
6勝9敗 照ノ富士 前頭1 遠藤 3勝12敗
7勝8敗 遠藤 前頭2 豊ノ島 6勝6敗3休
10勝5敗 碧山 前頭3 嘉風 7勝8敗
8勝7敗 宝富士 前頭4 大砂嵐 7勝8敗
8勝7敗 豊響 前頭5 10勝5敗
技能賞 10勝5敗 安美錦 前頭6 魁聖 8勝7敗
6勝9敗 松鳳山 前頭7 千代鳳 8勝7敗
11勝4敗 栃煌山 前頭8 荒鷲 5勝10敗
7勝8敗 玉鷲 前頭9 栃乃若 4勝11敗
新入幕
殊勲賞・敢闘賞
13勝2敗 逸ノ城 前頭10 北太樹 7勝8敗
4勝11敗 千代丸 前頭11 貴ノ岩 7勝8敗 再入幕
8勝7敗 佐田の海 前頭12 佐田の富士 4勝11敗 再入幕
全休 豊真将 前頭13 蒼国来 7勝8敗
8勝7敗 旭天鵬 前頭14 東龍 全休
7勝8敗 旭秀鵬 前頭15 隠岐の海 10勝5敗
6勝9敗 時天空 前頭16 鏡桜 6勝9敗

十両

東方 番付 西方
備考 成績 力士名 力士名 成績 備考
12勝3敗 德勝龍 十両1 阿夢露 9勝6敗
11勝4敗 誉富士 十両2 双大竜 5勝10敗
6勝9敗 翔天狼 十両3 臥牙丸 5勝10敗
6勝9敗 土佐豊 十両4 琴勇輝 8勝7敗
6勝9敗 若の里 十両5 栃ノ心 15戦全勝
6勝9敗 玉飛鳥 十両6 富士東 7勝8敗
7勝8敗 朝赤龍 十両7 舛ノ山 1勝4敗10休
6勝9敗 德真鵬 十両8 千代皇 9勝6敗
6勝9敗 大栄翔 十両9 里山 9勝3敗3休
再十両 6勝9敗 十両10 青狼 9勝6敗
8勝7敗 旭日松 十両11 芳東 4勝11敗 再十両
8勝7敗 大道 十両12 北磻磨 8勝7敗 再十両
6勝9敗 明瀬山 十両13 千代の国 3勝5敗7休
5勝10敗 旭大星 十両14 若荒雄 5勝8敗 再十両
13日目限りで引退

赤文字は優勝力士の成績。

優勝争い 編集

日馬富士は4日目の取組で負傷して5日目から途中休場となったが[3]、白鵬と鶴竜の両横綱は中日まで全勝で後半戦に突入した[4]。中日時点で全勝はこの2人だけで、稀勢の里と新入幕の逸ノ城が1敗で追いかける展開だった[4]

9日目は全勝の鶴竜が嘉風に、1敗の稀勢の里が豪栄道に敗れ、白鵬と逸ノ城は勝利[5]。白鵬は単独トップとなり、鶴竜と逸ノ城が1敗で追いかける展開に変化した[5]

10日目、11日目は白鵬、鶴竜、逸ノ城ともに勝利した。

12日目、1敗の鶴竜は琴奨菊に敗れて2敗に後退[6]。1敗の逸ノ城は豪栄道に勝ち、全勝の白鵬も稀勢の里に勝利した[6]

13日目、全勝の白鵬は豪栄道に敗れて初黒星を喫した[7]。その直後の結びの一番では逸ノ城が鶴竜に勝利し、この時点で白鵬と逸ノ城が1敗同士で優勝争いの先頭に並ぶ形に変わった[7]

14日目、1敗同士で白鵬と逸ノ城の直接対決が組まれ、白鵬が勝利[8]。白鵬は千秋楽も勝利して14勝1敗で3場所連続31度目の幕内最高優勝を果たした[9]

トピック 編集

三賞は、千秋楽まで優勝争いに絡み、横綱鶴竜に勝利した新入幕逸ノ城が殊勲賞と敢闘賞をダブル受賞[10]。10勝5敗の安美錦が6度目の技能賞を受賞した[10]。3つの賞全てに受賞者が出るのは2012年5月場所以来14場所ぶりだった[10]

十両の栃ノ心は、2006年5月場所把瑠都以来史上5人目となる15戦全勝優勝を達成した[11]

4日目、横綱日馬富士嘉風の髷を掴んだと認定されて反則負けとなった[12]。日馬富士は2014年5月場所でも反則負けをしており、1人の横綱が複数回反則負けを記録するのは史上初となった[12]。嘉風は平幕力士だが、横綱が反則行為をしたことによる勝利だったため、金星とは認められなかった[13]

新入幕ながら千秋楽まで優勝争いに絡んだ逸ノ城は、11日目に大関稀勢の里戦、12日目に大関豪栄道戦、13日目に横綱鶴竜戦、14日目に横綱白鵬戦が組まれ、白鵬戦以外の3番に勝利した。幕下付出での初土俵から5場所目で大関戦が組まれるのは雅山と並ぶ史上最速記録で、新入幕力士が大関と対戦するのは2007年9月場所の豪栄道以来7年ぶりのことだった[14]。新入幕力士が大関に勝利するのは2000年5月場所栃乃花以来14年ぶり(栃乃花も大関2人に勝利)の記録だった[15]。新入幕力士が横綱に勝って金星を獲得するのは1973年9月場所大錦以来で、初土俵から5場所目の金星獲得は武双山の記録を2場所更新する最速記録になった[16]。新入幕力士が2日連続で横綱と対戦したのは史上初で、2人の横綱と対戦するのは1943年5月場所東富士以来71年ぶり2度目のことだった[17]

この場所の初日前日に40歳の誕生日を迎えた旭天鵬は、13日目に1941年5月場所藤ノ里以来となる40歳代の幕内勝ち越しを達成した[18]

元小結で西十両14枚目の若荒雄は、13日目の取組後に現役引退を表明し、年寄「不知火」を襲名した[19]

脚注 編集

  1. ^ a b c d 新大関豪栄道は西に 豪風がスロー新関脇 秋場所新番付発表」『スポーツニッポン』、2014年9月1日。2021年12月4日閲覧。
  2. ^ 31度目優勝目指す白鵬「スイッチを入れ替えて…」」『スポーツニッポン』、2014年9月1日。2021年12月4日閲覧。
  3. ^ 日馬富士 「右眼窩内壁骨折」で手術なら全治3カ月」『スポーツニッポン』、2014年9月18日。2021年12月4日閲覧。
  4. ^ a b 「平成26年秋場所 熱戦グラフ 8日目」『相撲』2014年10月号、ベースボール・マガジン社、34-35頁。 
  5. ^ a b 「平成26年秋場所 熱戦グラフ 9日目」『相撲』2014年10月号、ベースボール・マガジン社、36-37頁。 
  6. ^ a b 白鵬全勝、1敗は逸城のみ 鶴竜2敗に後退」『スポーツニッポン』、2014年9月25日。2021年12月4日閲覧。
  7. ^ a b 「平成26年秋場所 熱戦グラフ 13日目」『相撲』2014年10月号、ベースボール・マガジン社、44-45頁。 
  8. ^ 白鵬 31度目V王手!逸ノ城に貫禄勝ち 1敗対決制した」『スポーツニッポン』、2014年9月28日。2021年12月4日閲覧。
  9. ^ 白鵬31度目V!ウルフに並んだ 史上2位大横綱の域」『スポーツニッポン』、2014年9月29日。2021年12月4日閲覧。
  10. ^ a b c 逸ノ城が殊勲&敢闘W受賞 安美錦は技能6度目」『スポーツニッポン』、2014年9月28日。2021年12月4日閲覧。
  11. ^ 「栃ノ心が史上5人目の十両全勝優勝」『相撲』2014年10月号、ベースボール・マガジン社、77頁。 
  12. ^ a b 日馬またも反則負け 白鵬、鶴竜は4連勝」『スポーツニッポン』、2014年9月17日。2021年12月4日閲覧。
  13. ^ 日馬富士 またやった!まげつかみ反則負け 2度目失態は初」『スポーツニッポン』、2014年9月18日。2021年12月4日閲覧。
  14. ^ 逸ノ城1敗キープ!24日は史上最速の大関戦が組まれる」『スポーツニッポン』、2014年9月24日。2021年12月4日閲覧。
  15. ^ 逸ノ城 凄すぎ“W最速”デビュー5場所目で大関撃破&2桁○」『スポーツニッポン』、2014年9月25日。2021年12月4日閲覧。
  16. ^ 逸ノ城、100年ぶり新入幕Vへ今日白鵬戦」『日刊スポーツ』、2014年9月27日。2021年12月4日閲覧。
  17. ^ 逸ノ城、14日目は白鵬と 新入幕で連日の横綱戦」『スポーツニッポン』、2014年9月26日。2021年12月4日閲覧。
  18. ^ 旭天鵬73年ぶり40代幕内勝ち越し「はしゃぎたいくらい」」『スポーツニッポン』、2014年9月27日。2021年12月4日閲覧。
  19. ^ 元小結の若荒雄が引退 年寄「不知火」を襲名」『日本経済新聞』、2014年9月26日。2021年12月4日閲覧。