大石真
来歴・人物
編集埼玉県北足立郡白子村(後に和光市へ合併)出身。父は医師で、「大石医院」を営んでいた。白子尋常小学校に入学後、豊島区の西巣鴨第五尋常小学校に転校。同級生に童話作家の松谷みよ子がいる。
戦争を嫌い、兵役を逃れるために科学の道を志し、早稲田大学の理系学部に1945年入学、その後第一文学部英文学科に編入。早大童話会に入会し、坪田譲治のコネにより小峰書店で編集のアルバイトをしつつ、大学生活を送る。1951年7月「びわ実学校」の旗揚げに参加し、創作活動活動に専念。これら3団体の後輩に寺村輝夫がおり、童話会時代寺村の作品を初めて誉めたのは大石である。寺村によると「童話会では一番の読書家だが、字も一番汚かった」との事。大石と寺村はその後、生涯と通して親友となる。他に同会では今西祐行、前川康男、竹崎有斐と親交が深かった。
童話作家として一本立ちしてからは、東京都昭島市に長らく住む。出身地である和光市の白子コミュニティセンターには、直筆原稿や遺品などの資料が展示されている。
主な作品
編集大石真童話全集
編集ポプラ社より1982年に発売され、挿絵は村上豊が全巻担当。同時に「寺村輝夫童話全集」も発売され、巻末解説ではお互いが寄稿し合っている。現在絶版。
- 『風信器』 - 児童文学者協会新人賞受賞。また和光市ではゆかりの人物として、コミュニティバスである和光市内循環バスに2010年2月から、埼玉県立芸術総合高等学校の生徒2名がデザインした「風信器号」のラッピングが施されている。
- 『教室二〇五号』 - 実写映画化されている。
- 『たたかいの人 田中正造』
- 『街の赤ずきんたち』
- 『チョコレート戦争』 - 全国の小学校で幅広く読まれ、発売以来50年以上が経ってなお人気の高い作品である。
- 『ふしぎなつむじ風』
- 『ひばり団地のテントウムシ』
- 『ミス3年2組のたんじょう会』
- 『のっぽビルのでぶくん』
- 『四年四組の風』
- 『駅長さんと青いシグナル / おかあさんのたんじょう日』
- 『てんぐ先生は1年生 / さとるのじてんしゃ』 - 「てんぐ先生~」の作者は大石と次男の連名になっている。これは次男が小学校の宿題に提出した創作童話を、大石が書き直して商業出版したため。
- 『さあゆけ!ロボット』
- 『わにのバンボ』
- 『ペリカンとうさんのおみやげ』
- 『もりたろうさんのじどうしゃ』
北田卓史挿絵作品
編集詳細は「北田卓史」を参照
その他
編集- 『消えた五人の小学生』(山藤章二絵、国土社、創作子どもSF全集6) 1969
- 『ぼくたち緑の時間』(偕成社文庫) 1973
- 「雷が落ちた日」(学習研究社、学習・科学『6年の読み物特集号』)1973[1]
- 「朝霧の中のおじいさん」(教育出版) 1974 - 小学3年生国語教科書[2]
- 『アーコのおみまい』(安野光雅、小学館、小学館の創作童話シリーズ) 1977
- 『見えなくなったクロ』(偕成社文庫) 1977 - 小学館文学賞受賞。
- 『はらっぱおばけ』(あかね書房、西川おさむ絵) 1978
- 『魔女のいる教室』(フォア文庫) 1980
- 『ながぐつをはいたねこ』(ペロー原作、青山みるく絵、国土社、こども世界名作) 1987 ISBN 978-4337011083
- 『小公子セディ』(バーネット原作、青山みるく絵、国土社、こども世界名作) 1988 ISBN 9784337011137
- 『眠れない子』(講談社、わくわくライブラリー) 1990 - 野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞特別賞受賞。
- 『日本の昔話 9号』(村上勉、チャイルド本社)
- 『野性の呼び声』(ジャック・ロンドンの名作を翻訳、新潮文庫)
脚注
編集- ^ “学習・科学『6年の読み物特集号』 学習研究社 1...”. Yahoo!オークション. 2024年1月5日閲覧。
- ^ “小学校国語 過去の教科書 昭和49年度版”. 教育出版. 2022年12月5日閲覧。
関連項目
編集- 大海赫 - 大海の初刊行作『クロイヌ家具店』は、生原稿を読んだ大石が刊行に協力した。
- 和月伸宏 - 大石の大ファンであり、和月の代表作である『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の登場人物のオイポレのモチーフは大石の書いた作品『さあいけ!ロボット』の粉ミルクの空き缶である。