神像
神道において信仰の対象となる彫像や画像
(女神像から転送)
神像(しんぞう)は、
- 信仰の対象となるカミをかたどった彫像、画像。多くの宗教において見られる。仏教の仏像や、キリスト教のイコンもこれに当たる。
- 特に神道において、信仰の対象となる彫像、画像。仏像に対置する語である。本項で記述する。
神像(しんぞう)は、日本の神道におけるカミをかたどった像。神道では、古くは鏡、玉、剣がカミの依り代として崇敬されてきたが、仏教が広まると仏像の影響により、神像が制作されるようになった。ただし、仏像とは異なる特徴を持つにいたる。また、一部に道教由来の神の像も見られる。
神像は木彫の坐像が多く、男神像の髪型はみずらまたは冠をかぶった衣冠装束が多く、女神像は十二単を着用しているものもある。神社に安置される神像は「ご神体」とされて一般に公開されることはあまりなく、寺院における仏像とは対照的である。
史料上の初見は、『多度神宮寺伽藍縁起資財帳』(延暦20年(801年))である。『多度神宮寺伽藍縁起資財帳』によると、天平宝字7年(763年)に神託により、満願が作ったとある。現存最古のものは、奈良・薬師寺の鎮守・休岡八幡宮の神像、あるいは、京都・松尾大社の神像と言われている。いずれも平安時代前期の9世紀のものである。
日本における作例
編集彫像
編集- 僧形八幡神像(国宝) – 東大寺勧進所八幡殿 建仁元年(1201年)快慶作。もと手向山八幡宮の神体。八幡神に菩薩の号を与え、僧形にあらわしたもの。
- 玉依姫命像(国宝) – 奈良・吉野水分神社 建長3年(1251年)作。十二単をまとい、黒髪を垂れ、ほおにえくぼをつくり、眼は玉眼とする。
- 僧形八幡神像・神功皇后像・仲津姫命像(国宝) – 奈良・薬師寺休岡八幡神社。平安時代前期作。
- 僧形八幡神像・女神像2体(国宝) – 京都・東寺鎮守八幡宮 平安時代前期作。
- 男神像2体・女神像(重要文化財) – 京都・松尾大社 平安時代前期作。
- 熊野速玉大神像・夫須美神像・家津御子大神像・国常立命像(国宝) – 和歌山・熊野速玉大社。平安時代作。
- 八幡神・息長足姫・比売神像(重要文化財) – 島根・赤穴八幡宮。嘉暦元年(1326年)作。衣冠束帯姿の男神と宋服姿の女神。
画像
編集参考文献
編集- 伊藤聡『神道とは何か』中央公論新社〈中公新書〉、2012年。ISBN 978-4-12-102158-8。
- 景山春樹『神像 - 神々の心と形』法政大学出版局〈ものと人間の文化史 28〉、1978年。ISBN 4-588-20281-2。
関連項目
編集- 芸術表現