宅地造成及び特定盛土等規制法

日本の法律

宅地造成及び特定盛土等規制法(たくちぞうせいおよびとくていもりどとうきせいほう)は、宅地造成に関する工事等について必要な規制を行う法律である。

宅地造成及び特定盛土等規制法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 宅造法、盛土規制法
法令番号 昭和36年法律第191号
種類 行政法
効力 現行法
成立 1961年10月31日
公布 1961年11月7日
施行 1962年2月1日
主な内容 宅地の造成工事等に関する規制
関連法令 都市計画法建築基準法
制定時題名 宅地造成等規制法
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構成 編集

  • 第一章 総則(第1条・第2条)
  • 第二章 基本方針及び基礎調査(第3条〜第9条)
  • 第三章 宅地造成等工事規制区域(第10条)
  • 第四章 宅地造成等工事規制区域内における宅地造成等に関する工事等の規制(第11条〜第25条)
  • 第五章 特定盛土等規制区域(第26条)
  • 第六章 特定盛土等規制区域内における特定盛土等又は土石の堆積に関する工事等の規制(第27条〜第44条)
  • 第七章 造成宅地防災区域(第45条)
  • 第八章 造成宅地防災区域内における災害の防止のための措置(第46条〜第48条)
  • 第九章 雑則(第49条〜第54条)
  • 第十章 罰則(第55条〜第61条)
  • 附則

目的 編集

宅地造成に伴う崖崩れや土砂の流出によって多くの人が死傷することを防ぐことを目的とする。そのために、

  • 宅地造成工事の許可制
  • 一定の工事の届出制
  • 宅地を常時安全な状態に維持する義務

についての手段を定める。

用語 編集

宅地

本法で「宅地」とは、農地採草放牧地、森林、公共施設用地以外の土地をいう。必ずしも居住の用に用いる土地のみを指すわけではない。また登記の内容とも関係がなく、後述の指定が宅地造成の前か後であったかを問わない。

宅地造成

宅地以外の土地を宅地にするため、または宅地において行う土地の形質の変更のことをいう。切土盛土など。

宅地造成工事規制区域

都道府県知事政令指定都市中核市特例市〈平成26年廃止。 現在は、施行時特例市が存在〉の区域内の土地では市長、以下同じ)が、宅地造成工事によって特に災害が懸念されるとして指定した区域を指す。本法で規制するのは、この区域内である。

知事が関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域で、宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを指定することができる。指定にあたっては、当該区域を公示するとともに、その旨を国土交通大臣に報告し、かつ関係市町村長に通知しなければならない。
知事またはその命じた者若しくは委任した者は、指定のため他人の占有する土地に立ち入って測量または調査を行う必要がある。場合においては、その必要の限度において他人の占有する土地に立ち入ることができる。この場合、立ち入ろうとする3日前までにその旨を土地の占有者に通知しなければならない。土地の占有者は正当な理由がなければこの立入りを拒否できない。
知事は、区域内における宅地の所有者、管理者または占有者に対し、当該宅地または宅地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。この求められた報告をせず、または虚偽の報告をした者は20万円以下の罰金に処せられる。
区域内では、以下に該当する一定規模の宅地造成工事を行おうとする場合(都市計画法による開発許可を受けた場合を除く)、造成主(工事請負契約の注文者、または自ら工事をする者)は知事の許可を受けなければならない。無許可で工事が行われた場合、宅地の所有者と造成主が異なる場合であっても、知事は所有者に対し宅地の使用を禁止または制限することができる。また工事を完了した場合は、知事の検査を受けなければならず、計画を変更する場合は、原則として再度知事の許可(軽微な変更の場合は届出)が必要である。
  1. 切土工事において、切土部分に2メートルを超える崖が生じるもの。
  2. 盛土工事において、盛土部分に1メートルを超える崖が生じるもの。
  3. 切盛土工事において、盛土部分に1メートル以下の崖が生じ、かつ切土と盛土を合わせて2メートルを超える崖が生じるもの。
  4. 1~3以外の造成工事で、切土または盛土の面積が500平方メートルを超えるもの。
知事の許可が不要な造成工事であっても、区域内において以下の行為をしようとするときは、届出期間内に知事への届出が必要となる。
  1. 宅地造成工事規制区域指定の際、すでに工事が行われている場合は、指定があった日から21日以内。
  2. 高さが2メートルを超える擁壁または排水施設の全部または一部の除却工事を行おうとする場合は、工事に着手する日の14日前まで。
  3. 宅地以外の土地を宅地に転用した場合は、転用した日から14日以内。
  4. 工事の許可申請を受理した知事は、遅滞なく文書をもって許可または不許可の処分を申請者に通知しなければならない。知事は工事についての許可に、災害を防止するために必要な条件を付することができる。
造成宅地防災区域

知事及び市長が宅地造成工事規制区域に指定されていない土地で、災害防止のため必要がある場合、関係市町村長の意見を聴いて、指定することができる区域を指す。

区域内の造成宅地の所有者・管理者・占有者は、宅地造成に関する工事等について災害が生じないよう、擁壁の設置など必要な措置を講ずるよう努めなければならない。知事は所有者・管理者・占有者に対し必要な措置をとるよう勧告・命令することができる。

関連項目 編集

外部リンク 編集