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家事調停(かじちょうてい)(英: family mediation / family conciliation 、中: 家庭调解(簡体)/家事調解(繁体) 、独: Familienmediation 、仏: médiation familiale 、韓: 가사 조정 、西: mediación familiar 、伊: mediazione familiare )とは、家庭内又は親族間での紛争について、第三者が手続を主催して当事者間の合意による解決を目指すこと(調停手続)、あるいはこの手続により成立する合意そのものを言う。この記事では、司法当局の審理判断の対象となる紛争(この記事では「家事事件」と言う。)について、法令の根拠に基づいて行われる(つまり、当該法域の公式の制度として行われる)家事調停を中心に記述する。

目次

総論編集

家事調停の歴史 (総論)編集

「社会あるところ、法あり ( Ubi societas, ibi ius ) 」と言われるとおり、人が複数寄れば必ず紛争が生じ、その紛争を解決するための基準(法)も必要になる。一方の意思を他方の意思に常に優先させる(支配・被支配の関係)、というのは一つの解決基準であるが、当事者間の合意に従う ( Pacta sunt servanda ) 、というのも別の解決基準である。合意は、当事者間の交渉によって成立する場合もあるが、第三者の仲介によって成立する場合もある。紛争当事者間の合意を第三者の仲介によって成立させようとする営み、すなわち調停は、どこの社会でも非常に古くから見られる[1]

もっとも、家庭内の紛争を調停する公式の制度を設けるという発想は、古くから世界のどこにでもあったわけではない。「法は家庭に入らず」と言われるとおり、家父長制を背景とする家族制度の下では、公権力は家庭内の紛争に干渉しないのが原則であった。つまり、家庭内の紛争は、当事者間の交渉が決裂すると、家庭内の序列に従って解決されるか、序列破壊(言わば下克上)によって解決される傾向が強かった[2]

デンマーク及びノルウェーでは、1795年の立法が、民事訴訟の当事者に対し、訴えを提起する前に調停を試みることを義務づけていた[3]。調停委員会は婚姻関係に関する紛争を取り扱うこともあり[4]、これが近代的司法制度を備えた法域における最初期の家事調停である。

日本では1900年代前半から人事調停(斡旋 ( conciliation ) の一種)が行われていた。第二次世界大戦前に日本の植民地となった朝鮮半島(ただし、韓国政府の実効支配地域に限られる。)及び台湾島では、日本の支配下から脱却した後も、日本の法制度の影響を受けた家事調停制度が存続した。

世界的な影響力を持ったのは、後発のアメリカでの実践である。1970年代に、「原則立脚型交渉術」[5]が提唱され、脅し、欺罔、奇襲といった手法に頼らない交渉技術が体系的に整理され始めた。このような背景の下、クーグラー ( Coogler, O. James ) は、1978年にアトランタで家事調停センターを開設し、家事事件における合意支援 ( mediation ) を行い始めた。

この実践は急速にアメリカ各地に広まり、カリフォルニア州などの各州が家事調停を公式の制度として採用した[6]。1980年代にはフランス、イングランド及びウェールズ、イタリアなどの西ヨーロッパ諸法域で公私の団体による家事調停の実践が広まり、「民事及び商事事件におけるメディエーションの特定の側面に関する2008年5月21日の欧州議会及び理事会の2008/52/EG指令」[7]が合意支援を裁判外紛争処理の主役に据えたことに刺激を受けて、家事事件の分野においても合意支援を公式の制度として採用する法域が増えた[8]。2000年代初頭にはチリ[9]やバングラデシュ[10]のような第三世界の法域でも、家事調停の実践が広まっていった。

調停前置主義 (総論)編集

調停には次のような効用がある、と言われる[11]

  • 当事者双方は、紛争そのものによって既に傷ついているので、協調的な雰囲気の下で受容可能な解決策を調整することで、審理過程での対立によって二重に傷つくことを回避できる。
  • 細かい法解釈や事実認定(法の厳密な解釈適用には必要であっても)にこだわらないで、短期かつ安価に妥当な解決を得ることができる。
  • 成立した調停は、当事者双方が受け容れた解決策であるので、当事者双方が自発的に履行する可能性が高い。
  • 調停が成立しなくても、当事者双方が、問題の所在と相手当事者の主張を理解し、無用な誤解を解き、対立を緩和することができる。

家事事件は、密接な人間関係の中で発生した感情的な対立を背景とすることが多い。また、家事事件に適用される実体法(紛争の解決基準を定める法。紛争の解決手続を定める「手続法」と対になる概念。)は要件又は効果があいまいなことが多いので、細かい法解釈や事実認定にこだわって法を厳密に適用しようとするよりも、当事者の真の利害を見極めた柔軟な解決を図ることが重要である。このような家事事件の特徴を考えると、家事事件は調停の効用を発揮しやすい事件類型と言える。

家事事件については、司法当局に申立てをする前に家事調停を経ることを当事者に義務づけ( mandatory mediation )、又は推奨する仕組みを採る(この記事では「調停前置主義」と言う。)法域が多い。例えば、日本、ドイツ[12]、フランス、中華人民共和国[13]、中華民国[14]、韓国が、調停前置主義を採る。調停前置主義は、当事者に家事調停を積極的に利用してもらうための仕掛けである[15]。これに対して、オーストリアは徹底して家事調停から「強制」の要素を排除している[16]

斡旋と合意支援 (総論)編集

調停手続には、手続主催者(調停機関)が積極的に解決案を提示する型( conciliation / evaluative mediation ;この記事では「斡旋」(あっせん)と言う。)と、手続主催者が進行指揮に徹する型( mediation / facilitative mediation ;この記事では「合意支援」と言う。)とがある[17]

日本、韓国の家事調停は、斡旋の色彩が強い。アメリカ、ドイツ、フランスの家事調停は、合意支援の色彩が強い。オーストラリアで人事訴訟に前置される家族関係センター等での調停は、両者を使い分けている[18]

調停制度として斡旋と合意支援のいずれが優れているかについては、様々な議論がある。日本や韓国では、「調停裁判説と調停合意説」という表現で議論を整理することが多い[19]。つまり、調停裁判説は「調停の本質は調停者の裁定(裁判)とこれに基づく説得(斡旋)である」と主張する説であり、調停合意説は「調停の本質は合意支援である」と主張する説である、と整理されている。もっとも、斡旋と合意支援との区別は絶対的なものではなく、両者は連続的である[20]。合意支援であっても、手続や合意内容についての制約を加えていくと、実態は斡旋に近づいていく。

指導原理 (総論)編集

未成熟子を巡る紛争(養育権、面会交流、扶養料などの争い)に関する家事調停については、どの法域でも「子の最善の利益」が重要な考慮要素とされている。これは、児童の権利に関する条約18条1項の要請である。それと同時に、調停を「当事者間の相互攻撃」の場から「子の利益の共同構築」の場に変えていければ、調停ならではの創造的かつ実効性ある解決につながりやすいという実際的な効用もある。

家事調停の普及 (総論)編集

法制度や文化的背景が似た日本、韓国及び中華民国を比較すると、2016年(平成28年)・2017年(平成29年)に、日本[21](人口約1.271億人)では人事訴訟が10,003件・9827件(例年そのうち88%前後が離婚訴訟である。)提起され、家事調停が140,680件・139,274件受け付けられた。韓国[22](人口約0.513億人)では家事訴訟が49,465件(そのうち37,400件が裁判上離婚事件である。)提起され、家事調停が5,375件(ただし、家事訴訟の受訴裁判所が調停回付したものを除く。)受け付けられた。中華民国[23](人口約0.236億人)では家事訴訟(そのうち3分の2が婚姻事件で、婚姻事件の半分が離婚事件である。)が9,808件提起され、家事調停が24,828件受け付けられた。人口比を考えると、韓国では離婚訴訟が日本及び中華民国の数倍に及ぶが、当事者が自主的に家事調停を申請することが極めて少ないと言える。

日本の家事調停編集

日本は、家事調停 ( domestic relations conciliation ) の利用が盛んな法域の一つである。他方で、日本では、近代的司法制度が確立してから2010年代までの間、家事事件について裁判所以外の機関が運営する裁判外紛争処理手続(ADRalternative dispute resolution )がほとんど利用されない時期が続いている[24]。つまり、日本で「家事調停」といえば、家庭裁判所が運営する調停制度を指す。本節でも同様である。

家事調停を規律する主要な法律は、家事事件手続法 ( Domestic Relations Procedure Act[25] ) である。

家事調停の沿革 (日本)編集

日本では、1898年(明治31年)7月に民法第四編(親族)、第五編(相続)が施行されたが、政府は、1919年(大正8年)7月に臨時法制審議会に対して、日本古来の淳風美俗に即した改正要綱を諮問した。同審議会は、1922年(大正11年)6月に「家庭の争議を訴訟の形式によって判断していては、古来の美風を維持できない。道義を本として温情をもって円満にこれを解決する制度を設けるべきだ。」との趣旨の中間的答申を提出した。

これ以来、家事審判所を創設して家事事件を非訟手続や調停で解決することが検討され、1927年(昭和2年)10月には家事審判法案が仮決定されたが、実体法である親族法・相続法の改正作業が進まないために、家事審判所の創設も進まなかった[26]

しかし、1937年(昭和12年)7月に日華事変が発生し、戦没将兵の遺家族間で恩給、扶助料等を巡る紛争が続出したことは、調停制度導入にとっては追い風となった。つまり、家庭内の紛争を速やかに解決することが重要な戦線支援の一つであるとの説明[27]が説得力を増したことにより、1939年3月(昭和14年)に人事調停法が成立し、同年7月に施行された。

人事調停の年間の新受件数は、施行初年の半年間で5200件余りに達し、その後減少を続けたものの、1944年(昭和19年)に年間3736件の新受があり、1946年(昭和21年)でも年間3851件の新受があった[28]。事件類型をみると離婚事件が圧倒的に多く、女性からの申立てが全体の7割近くを占めていたと推測され[29]、女性の調停委員も選任されていた[30]。第二次世界大戦の影響で市民が紛争を起こす余裕さえ失っていたことを考えると、人事調停制度は相当活用されていたと言えよう[31]。つまり、人事調停法は、少なくともその建前においては、法令や個人の権利よりも「古来の美風」を優先する紛争解決を志向するものであり[32]、前近代的な家族観から民法を批判する勢力にとっても受け容れやすい制度設計がされていたが、実際には司法による紛争解決を合理化する方向で運用されていたといえる。

第二次世界大戦終結後、大日本帝国憲法の改正作業が進み、1946年(昭和21年)11月3日に日本国憲法として公布された。これに伴って親族法・相続法の改正作業も加速し、臨時法制調査会及び司法法制審議会が家事審判制度の創設を促したことを受けて、家事審判法及び同法施行法が国会で成立し、1948年(昭和23年)1月1日から施行された。

これらの法律により、地方裁判所の特設支部として家事審判所が創設されるとともに、人事調停制度に代えて家事調停制度が創設された。そして、家事審判法は、家事調停制度が「個人の尊厳と両性の本質的平等を基本として、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図ることを目的とする」と規定し(同法1条)、家事調停は名実ともに新たな家族法秩序の実現を志向する制度であることを明らかにした。

裁判所法の改正により、1949年(昭和24年)1月1日、家事審判所と少年審判所とを統合して家庭裁判所が創設されると、家事調停の運営も家庭裁判所に移管された。また、1951年(昭和26年)4月1日に家庭裁判所調査官(1954年(昭和29年)6月1日の改称前は家事調査官)制度が創設された。家庭裁判所調査官は、医学、心理学、社会学、経済学などの専門的知識を活用した事実の調査を行い、家庭裁判所に調査結果及び意見を報告するとともに、家事調停の期日に出席して意見を述べることができるとされた(家事審判規則7条の2~7条の4)。

1974年(昭和49年)には調停委員の高齢化や新陳代謝の不活発による弊害に対応することを目的として、任命資格や手当に関する改正が行われ、2003年(平成15年)には家事調停官の制度が導入された。

2013年(平成25年)1月1日に家事審判法及び家事審判規則が廃止されるとともに、家事事件手続法が施行された。家事調停に関する主な変化を挙げると、家事審判法の規定の構造(家事審判法が民事調停法を準用し、民事調停法が非訟事件手続法を準用していただけでなく、家事審判規則にも重要な規定が散在していた。)を改めて、家事事件手続法及び同法3条に基づく最高裁判所規則(家事事件手続規則、平成24年最高裁判所規則第8号)で家事調停に関する基本的規定を網羅している。また、家事事件手続法は、申立書の写しを相手方に送付することを原則とすると定めるほか、電話会議システム及びテレビ会議システムを利用する調停手続を公認している。これは、家事調停においても当事者の手続保障(各当事者に主張立証の機会を公平に保障すること)を重視する趣旨の規定である。さらに、家事事件手続法は、手続行為について行為能力(自己の名前と判断で法的意味を持つ行為を有効に行えること)の制限を受けた者のために手続代理人の制度を新設している(23条1項、2項、252条1項)。これも、家事調停により重大な影響を受ける者の手続保障を重視する趣旨の規定である。

家事調停の現状 (日本)編集

家事調停の開始 (日本)編集

日本の家事調停は、当事者が自ら家事調停を申し立てることによって手続が始まることが多く、当事者が人事訴訟又は家事審判を申し立てた後に家庭裁判所の判断で手続が始まること(付調停)は少ない[33]。この点は、韓国の家事調停の大多数が、受訴裁判所の調停回付によって手続が始まること(後述)と対照的である。

家事調停の対象となる事件の範囲は、「人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)」である(家事事件手続法244条)。「家庭に関する事件」とは、当事者は親族又はこれに準じる一定の身分関係が存在する者の間に存在する、人間関係調整の余地のある紛争であると定義する学説が多い[34]

しかし、家庭裁判所はこの文言を厳格に解釈していない[35]。例えば、家事調停には『司法統計』で「親族間の紛争の調整」と「その他」に分類される事件類型が全体の5%程度ある。これらの事件類型は、調停が成立せず、調停に代わる審判もされない事件の割合が高い[36]。このことは、家庭裁判所が「扱いに困る」事件もそれなりに受け付けて、調停手続を始めていることを示唆する。

「家庭に関する事件」として重要なのは、家事事件手続法別表第二に掲げる事項(婚姻費用の分担、養育費、遺産の分割、子との面会交流など)に関する紛争である。これらの事項は、当事者間の話し合いになじむと考えられる事項であり、後述のとおり他の法域でも家事調停の対象とされることが多い。これらの事項についての調停は、別二調停(べつにちょうてい)とも呼ばれる。古い日本語文献の「乙類調停」は、別二調停とほとんど同義である。

これに加えて、人事訴訟の対象となる離婚、離縁、嫡出否認、認知、親子関係不存在確認などの事項も家事調停の対象とするのが、家事事件手続法の特徴である。もっとも、人事訴訟の対象となる事項については、離婚及び離縁を除き[37]、当事者間に結論及びその結論に至る事実関係の重要部分で認識が一致したときに、調停を成立させる代わりに、裁判所が事実関係の裏付けをとった上で合意に相当する審判をすることになっている(家事事件手続法277条)。これは、他の法域における合意命令( consent order )に対応する制度である。このような特徴があるので、離婚及び離縁を除く人事訴訟の対象となる事項についての調停は、特殊調停(とくしゅちょうてい)と呼ばれる。

離婚及び離縁を目的とする家事調停及びその他の家庭に関する事件を対象とする家事調停を併せて、一般調停(いっぱんちょうてい)と呼ぶ。

家事事件手続法別表第一は、家庭裁判所が当事者の意向に拘束されないで公益を守れるような判断をすべきと考えられる事項(成年後見等に関する事項、未成年後見等に関する事項、親権の停止・喪失に関する事項、相続放棄など)を掲げている。そのため、同法は、このような事項は関係者間の話し合いになじまないとみなして、家事調停の対象から外している。

家事調停の対象となる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない(同法256条1項、調停前置主義)。原告が家事調停を申し立てることなく訴えを提起したときは、裁判所は職権で事件を家事調停に付する(付調停。韓国で言う「調停回付」)のが原則である(同条2項)。

家事調停の主催者 (日本)編集

家事調停を主催する調停機関は、原則として調停委員会である(家事事件手続法247条)。調停委員会は、裁判官[38]1名と、その裁判官が事件毎に指定する家事調停委員(体験記に散見される「調停員」は誤記である。)2名以上で組織する(同法248条1項、2項)。

家事調停委員は、非常勤の国家公務員であり(家事事件手続法249条)、その任期は2年(民事調停委員及び家事調停委員規則3条)で、再任可能である。家事調停委員は、弁護士司法書士税理士不動産鑑定士社会保険労務士などの「専門的知識経験を有する者」(民事調停委員及び家事調停委員規則3条)から任命される者も多いが、「社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い」(同条)ものとして任命される者も多い[39]。家事調停委員は各自が特定の家庭裁判所に所属し、裁判官は、同じ裁判所に所属する家事調停委員の中から事件毎に適任者を選んで、調停委員会を組織する。調停委員会を組織する家事調停委員は、男女各1名が指定されることが多いが、財産分与対象財産が大量にある離婚調停や遺産分割などの事件類型では、男女の均衡よりも専門的知識の有無を重視した人選がされることもある。

家事調停委員に対しては、汚職が指摘されることはほとんどない。その反面で、東京家庭裁判所を除けば、家事調停委員の任命希望者はおおむね不足がちと言われている[40]。また、家事調停委員に対する体系的な訓練を実施していない家庭裁判所が多い。傾聴と調整の能力が不足する家事調停委員もいるのはそのためである、という指摘は絶えない[41]

現職又は元職の家事調停委員は、職務上取り扱ったことにより知り得た他人の秘密を漏らしたり、評議における調停委員会の構成員各自の意見や多少の数を正当な理由なく漏らしたときは、処罰される(家事事件手続法292条、293条)。家事調停委員の守秘義務は、おおむね順守されている[42]。当事者は、名誉毀損罪や侮辱罪に該当する行為や、当事者間の特約に違反する行為を除けば、調停手続や協議内容について守秘義務を負わない。

調停手続は、裁判官が指揮するのが建前である(家事事件手続法259条)が、実際には裁判官の多くが、調停委員会で調停手続をおこなうときは家事調停委員に指揮を任せてしまい、裁判官が当事者の前に現れるのは、協議が難航したときや合意ができて当事者に対する意思確認を行うときくらいである[43]

家事調停の期日 (日本)編集

調停期日では、「別席調停」が事実上の原則となっている。家事調停委員が調停室に待機し、出席当事者が交互に調停室に入室して、互いに顔を合わせずに家事調停委員を介して協議をする。日本では、家庭裁判所も当事者も代理人となる弁護士も、当事者が相手当事者に遠慮せずに本音を話せるという別席調停の利点を重視している。威圧的な言動をする当事者から他の当事者を保護して当事者間の公平を図ろうという家庭裁判所側の国親思想(くにおやしそう。公権力は市民の良き導き手であるという思想)と、公権力に対して比較的従順な日本の風潮とが上手くかみ合ったとも言える。

その反面で、当事者が解決策の立案調整を調停委員会に依存しがちになり、当事者自身の自発的な工夫による創造的解決に向けた動機付けが弱まってしまうという問題が生じる。また、自称「被害者」の未検証の言い分を調停委員会が信じ込んでしまう危険性が高まる。そのような危険性が現実化せずに客観的には妥当な手続進行や結論が得られたとしても、当事者の主観においては、相手当事者の主張の詳細や根拠が分からず、自己の主張が正確に相手当事者に伝えられているのか、相手当事者の主張が正確に自己に伝えられているかも分からないまま、結論を受け容れるか否かの判断を迫られたという不満が残りやすい。すなわち、自発的合意なので自発的履行を期待できるという調停の利点を損なう可能性が高まることになる。

家事事件手続法の施行を一つの契機として、第1回調停期日冒頭での同席手続説明(当事者が同席して調停委員会から調停手続の進行に関する説明を受けること)、調停期日終了後の「終わりの会」(当事者が同席して調停委員会から当日の協議のまとめ及び次回期日までの準備事項に関する説明を受けること)、ホワイトボードの利用など、調停手続の透明性を高める工夫が各地の家庭裁判所で試みられている[44]

親権や監護権、面会交流や子の引渡しなどが争点になる事件においては、調停に際し、調停委員会の決議により、調停に家庭裁判所調査官が立ち会ったり、家庭裁判所調査官による調査が行われ、当事者間の合意形成を図る事案も多い。家庭裁判所調査官の調査報告書については、調停不成立になった場合においてもその後の家事審判や訴訟の重要な資料として活用されることが多い。

調停手続の終了 (日本)編集

合意に相当する審判の対象となる事件を除き、当事者間に合意が成立し、これを調書(調停調書)に記載したときは、調停が成立する(家事事件手続法268条1項)。実務上は、家事調停委員が当事者の意向を調整した後、裁判官に状況を報告し、裁判官が当事者間に合意を成立させるのを相当と認めたときに、調停委員会が揃って当事者全員の意向を改めて確認し(当事者も全員同席で確認することが多い。)、確認が完了した時に正式に合意が成立し、同時に調停も成立したものと取り扱う、という手順を踏むのが通例である。戸籍実務も、実際の調書作成日ではなく、合意の成立日に身分変動が生じたものと取り扱っている。調停委員会が調停を成立させたのに、裁判所書記官が調書への記載を拒否する事態は想定されていない[45]

調停委員会は、次の場合には調停手続を終了させることができる(調停をしない措置)。

  1. 事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき(家事事件手続法271条)
  2. 当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるとき(同条)

調停委員会は、次の場合にも調停手続を終了させることができる(調停不成立)。

  1. 当事者間に合意が成立する見込みがないとき(同法272条1項)
  2. 当事者間に成立した合意が相当でないと認めるとき(同項)

もっとも、調停不成立の場合には、調停委員会を組織する裁判官は調停に代わる審判をすることができ、一定期間内にどの当事者からも異議申立てがなければ、調停に代わる審判どおりの調停が成立したものとみなされる(同法284条)。調停に代わる審判は、2013年(平成25年)の導入から2017年(平成29年)まで毎年件数が増加(年間812件が年間5,520件に増加)しており[46]、家庭裁判所がこの制度を積極的に運用していることが分かる。

別二調停が調停不成立で終了したとき、又は調停に代わる審判に対して異議が申し立てられたときは、当該調停の目的であった事項についての家事審判の申立てがあったものとみなされる(同法272条4項、286条7項。実務上は、「審判移行」と呼ぶ。)。

これに対して、一般調停が調停不成立で終了しても、当該調停の目的であった事項について裁判の申立てがあったとはみなされない。その事項について裁判の申立てがあっても、先行の一般調停とは連続しない手続と解釈されているため、当事者は、当該調停で提出した資料があっても、当該裁判の手続で改めて資料を提出する必要がある。

家事調停の効力 (日本)編集

家事事件手続法別表第二に掲げる事項についての調停調書の記載は確定審判(同法39条)と同一の効力を有するので(同法268条1項)、金銭の支払、物の引渡、登記義務の履行その他の給付が記載された調停調書の正本は、執行力のある債務名義の正本(民事執行法51条、25条本文)と同一の効力を有する(家事事件手続法75条)。つまり、権利者は、このような調停調書の正本に基づいて、執行文の付与を受けずに強制執行の開始を申し立てることができる。それ以外の事項についての調停調書の記載は確定判決と同一の効力を有するので(同法268条1項。ただし、家事調停に既判力があるか否かについては、学説に争いがある。)、執行文の付与を受ければ強制執行をすることができる(民事執行法22条7号、25条本文)。

扶養義務に関して成立した家事調停は、強制執行の際に通常の債務名義よりも優遇される(後述)。面会交流を定める調停条項も、間接強制による強制執行が認められることがある[47]

家事事件手続法は、強制執行以外にも、調停内容の履行支援策を用意している。調停により定められた義務の権利者は、家庭裁判所に申し出て、義務者に対して義務の履行を勧告してもらうことができる(同法289条1項、7項)。この制度を履行勧告と言う。また、家庭裁判所は、調停により定められた義務を履行しない義務者に対して、期限を定めて義務の履行を命じ、それでも義務者が義務を履行しないときは10万円以下の過料に処することができる(同法290条)。この制度を履行命令と言う。

しかし、強制執行、履行勧告及び履行命令のいずれも、義務者の行方や財産、勤務先を権利者が発見できて初めて実効性を持つ。日本では、公的機関が義務者に関する情報収集に協力したり、義務者の支払義務を立て替えたりするような強力な履行確保策はまだ実現していない[48]

家事調停の性格 (日本)編集

日本では、調停委員会が当事者に対して助言や提案をすることが多く、当事者の側でもそれを望ましい運用と捉える傾向が強い[49]。また、調停委員会が調停をしない措置や調停に代わる審判のような法律上の介入権限を行使することは珍しくない[50]。さらに、日本の法令は家事調停の担当裁判官が審判移行後の家事審判や調停終了後の人事訴訟を審理することを禁止していない。こうしたことから、調停委員会の示す見解は後の裁判の結論予測に役立つため、当事者の戦略に大きな影響を与える。

このようなことから、日本の家事調停は斡旋の一種ないしは Med-Arb (調仲 (ちょうちゅう);調停 mediation と仲裁 arbitration とを併用する合意支援の手法)に近いものと言えるが、学説の中には、日本でも家事調停を合意支援と同様に運用すべきと主張するものがある[51]

主要な事件類型 (日本)編集

日本の家事調停(2017年に139,274件、前年比1,366件減)で多い事件類型は、夫婦関係の調整(円満調整又は離婚)を求める調停(同45,777件、同1,940件減、構成比32.88%、前年構成比より約1.04ポイント減)、婚姻費用の分担を求める調停(同21,761件、同377件増、同15.62%、同約0.42ポイント増)、養育費を求める調停(同18,053件、同670件減、同12.96%、同約0.35ポイント減)、遺産の分割に関する処分などを求める調停(同14,044件、同1,278件増、同10.08%、同約1.01ポイント増)、子との面会交流に関する調停(同13,161件、同820件増、同9.45%、同約0.68ポイント増)などである[52]

特に子との面会交流に関する調停は、2000年(平成12年)に2,406件[53]だった事件数が2015年(平成27年)に12,263件[54]と5倍以上に急増した。その背景には、父親の育児に対する関心の高まり(イクメン現象)のほか、日本では祖父母と孫との面会交流に関する明文の規定がないために、祖父母が父親を介して孫との面会交流を求めるようになったことなどがある。

離婚に関する調停 (日本)編集

日本では、離婚件数全体のうち協議離婚が80%台後半を占め、調停離婚が10%前後を占め、裁判離婚が数%程度を占めている[55]

離婚は人事訴訟の対象となるから(人事訴訟法2条1号)、家事調停の対象にもなる(家事事件手続法244条)。離婚は、家事事件手続法別表第二に含まれない事項であり、合意に相当する審判の対象にもならない事項なので(同法277条1項)、離婚調停[56]は「一般調停」に分類される。

民法は単独親権制(離婚後は父母の一方のみが未成年の子の親権者となる制度)を採用しているので(819条)、未成年の子のいる離婚調停の当事者は、親権の帰属についても話し合う必要がある。また、離婚訴訟において、当事者は子の監護に関する処分、財産分与に関する処分又は年金分割に関する処分の申立てをすることができるので(人事訴訟法32条1項)、離婚調停においても、当事者は養育費、面会交流、財産分与、年金分割などを求める申立てをすることが認められている。

ところで、別居親と子との面会交流が充実しているほど別居親の養育費の履行率が高くなるし、逆も成り立つことは、世界共通の現象である[57]。しかし、次に述べるように、日本の離婚制度には、当事者の感情的対立を緩和するという調停制度の良さを壊してしまう危険が数多く含まれている。

まず、民法は純粋な無過失離婚( no-fault divorce ;一定期間の別居などの客観的な基準だけで裁判離婚を認めること)を採用しておらず(770条)、また、有責配偶者からの離婚請求が原則として認められない[58]。そのため、離婚調停で離婚の当否自体が争われると、離婚を要求する当事者も、離婚を拒む当事者も、相手当事者の非を事細かに主張する傾向がある。

また、離婚訴訟において、離婚請求と、離婚請求の原因事実から生じた損害の賠償請求とを併合することが認められるので(人事訴訟法17条1項、2項)、離婚調停においても、当事者が併せて慰謝料を求める申立てをすることが認められる。そして、日本の裁判実務は離婚自体慰謝料(婚姻関係を破綻させたこと自体を理由とする慰謝料)の請求を認め、離婚自体慰謝料の請求原因事実は、不貞や家庭内暴力のように、違法であることが明確な行為に限られないと解釈している[59]。そのため、当事者双方とも、相手当事者の不当な言動を数多く主張立証して優位に立とうとする傾向がある。

さらに、日本は、親子交流支援の面でも、ひとり親支援[60]の面でも、改善が遅い法域と言われる[61]。つまり、養育費確保支援が不十分なために、同居親は、離婚慰謝料を獲得するために別居親を攻撃して、報復感情の充足と養育資金確保の両方を図ろうとする。また、面会交流支援が不十分なために、当事者双方が子の親権を希望して相手当事者を攻撃したり、逆に、別居親が最初から親子交流の維持を諦めて、面会交流も養育費の負担も拒否することが少なくない。そのうえ、日本にはステップファミリー(拡大家族)という家族観(未成熟子と血縁や養育関係のあるすべての人が家族であるという家族観)が未定着であり、同居親の別居親に対する嫌悪感自体を面会交流の子への悪影響と捉える傾向も残っている(母子密着に寛容という文化的背景がある。)。こうした背景が、同居親が面会交流を単なる面倒ごととみなす傾向に拍車をかけている。

韓国(後述)等における運用にも刺激を受けて、こうした状況を少しでも改善しようと、大阪家庭裁判所が2015年(平成27年)11月から「親ガイダンス」を開始し、未成年の子のいる離婚調停の当事者に対して、子の利益を中心に置いた話し合いをするよう促している[62]。同種の取組は、その後、各地の家庭裁判所に広がっている。

離婚をする調停を電話会議による期日で成立させることは認められていない(家事事件手続法268条3項、54条1項)。また、離婚の意思表示を代理人にさせることはできないと解釈されている[63]。そのため、家庭裁判所の実務では、離婚をする調停を成立させるには、当事者双方の本人が同じ期日に家庭裁判所に出向く必要があると解釈されている。相手当事者に対する恐怖や仕事の都合などで出席できないと主張する当事者本人がいるときは、調停委員会が電話などでその当事者本人の意思確認をした上で、調停に代わる審判をすることが多い。

東京家庭裁判所には、人事訴訟において、当事者本人の一方が期日に出席していなくても離婚をする和解を成立させる運用をしている裁判官がいるが[64]、日本全土に普及している運用ではない。離婚調停においては、同種の運用は見られない。

扶養義務に関する調停 (日本)編集

日本の民法は、配偶者間の婚姻費用分担義務(760条)及び未成熟の子に対する扶養義務(766条1項)を定めるが、具体的な金額の算定方法を指示していない。これらの扶養義務の内容は、当事者間の合意、家事審判又は家事調停(婚姻費用分担調停、養育費調停)によって、金額の定まった具体的権利義務になる。婚姻費用分担金支払義務や養育費支払義務を定める家事審判及び家事調停は執行力を持つが(前述)、当事者間の合意に執行力を持たせるには、別に債務名義を取得する必要がある。

扶養義務の内容に争いがあるときは、裁判実務は、裁判官の私的研究会が発表した養育費・婚姻費用算定表に従うことが多い。この算定表は、扶養義務者が扶養義務を負う未成年の子(0人~3人)を全員扶養権利者が監護していることを前提として、婚姻費用と養育費とに分けて、未成年の子の年齢及び人数に応じて合計19の表が用意されており、扶養権利者及び扶養義務者の経済力(給与収入又は事業所得)によって扶養義務者の標準的な支払額を割り出せる仕組になっている[65]。この算定表は、利用方法が単純で非専門家にも利用可能であることが評価されているが、合理性や柔軟性に欠けるし扶養義務者の負担額が低すぎるとの批判も強い[66]

扶養義務は家事事件手続法別表第二に掲げる事項なので(同表二項、三項、民法760条、766条2項、3項)、扶養義務に関する調停が不成立により終了したときは、家事審判の手続が始まる。そして、上述のとおり、扶養義務の内容には公表された目安があるので、当事者は家事審判の結果を予測しやすい。そのため、扶養義務に関する調停は成立したり調停に代わる審判が確定する割合が高い[67]

調停で婚姻費用分担金、養育費又は扶養料の定期的な支払義務が定められたときは、一度でもその不履行があれば、権利者は、義務者の給料債権や役員報酬請求権の差押えを一度申し立てれば、その後に支給日を迎える給料債権等から継続的に婚姻費用分担金等を回収することができる(民事執行法151条の2)。また、上記の権利者は、給料、俸給、賞与などの債権の手取額の2分の1(手取額が66万円を超えるときは手取額から33万円を控除した残額全部)を差し押さえることができ、退職金債権の手取額の2分の1を差し押さえて婚姻費用分担金等を回収することができる(同法152条3項。通常はそれぞれ4分の1のみが差押え可能)。さらに、上記の権利者は、間接強制(義務者の債務不履行に対して比較的簡易な手続で制裁金の支払を命じる制度)を申し立てることもできる(同法167条の15第1項)。

監護権に関する調停 (日本)編集

監護権 ( de: Aufenthaltsbestimmungsrecht, en:child custody ) に関する家事事件の特徴は、調停申立てが審判申立てと比べて相対的に件数が少なく、調停成立率も低い点にある[68]。つまり、監護権争いについては、当事者が協議による解決ではなく裁判による判断を求める傾向が相対的に強い。

日本の裁判実務は、監護権争いの事案について、以下のような事情を重視して判断している[69]

  • 継続性の原則(監護の現状をできるだけ維持する。)
  • 主な監護者の優先(当事者が同居していた時に、どちらが主に子を監護していたか。継続性の原則と同じ発想の基準といえる。)。
  • 監護環境の優劣。主な考慮要素は、資産、収入、住環境、自ら子の監護を行う時間や体力の余裕、虐待の危険性、監護補助者の存否などである。
  • 子の意向。日本の家庭裁判所は、10歳以上の子の意向を考慮することが多く、15歳以上の子の意向[70]を重視する。
  • 兄弟姉妹不分離の原則(兄弟姉妹全員をできるだけ一人の者に監護させる。)
  • 面会交流の許容性。ただし、日本の裁判実務には、面会交流の許容性を継続性の原則や監護環境の優劣ほどには重視しない傾向がある[71]
  • 同居親が単独監護を違法に開始していないか(例えば、先行する調停や裁判に違反していないか。)。この点については、後述する。
  • 不貞行為は、不貞関係に夢中になって子の監護を怠るような場合を除いて、重視されない。

日本に限らずどこの国でも、父母の関係が悪化すると、一方の親が他方の親に無断で子を連れ出して別居を開始することがある。しかし、日本の裁判実務は、主な監護者(同居時に子の監護の大部分を担っていた親)がこのような子の無断連れ出しを行っても、脅迫や暴力が伴わない限り、違法性が小さいとみなす傾向がある。日本では、母が子の主な監護者であることが多く、子の連れ出しを行う親も母が多い。裁判実務は、「母が父に無断で子を連れ出したことを非難しても、結局は母が監護者として適切なのであれば、最初から母を非難すべきでない。」という発想をしているのである[72][73]。日本は、ドイツなど他の先進国と比べて国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の批准が遅かった国であるが、このことは、裁判実務だけでなく日本の社会全体で、親子の分離において公正な手続を履むことよりも、DV被害者が子連れで避難する必要性を重視する意見[74]の方が優勢であることを示唆する。

日本は、ドイツの監護法制と似た法制を持つが[75]、前述した日本の裁判実務の発想とは対照的に、ドイツでは、監護権(居住権)に関する協議や裁判は別居前に行うべきものという認識が浸透している[76]。日本の裁判実務は、ドイツではなくアメリカの裁判実務と傾向が似ていると言える[77]

前述のとおり、監護権に関する調停には家庭裁判所調査官が関与する事案が多い。家庭裁判所調査官は、期日に立ち会って調停委員会に専門的知見に基づく助言を行い、子の監護状況や子の心情・意向の調査などを行っている。この場合の調査は、①両親から同居時の監護に関する役割分担、別居後の同居親の監護状況、別居親の予定している監護環境などを陳述書や面接により聴取し、②両親の家庭を訪問して実地調査をし、③子に面接して心情や意向を聴取する、という手順を基本とする。調停委員会は家庭裁判所調査官の調査結果を重視することが多く、この調査結果は、調停が成立せず事件が審判に移行しても、裁判官の判断に大きな影響を及ぼす。

面会交流に関する調停 (日本)編集

日本は、20世紀末頃から急速に未成年者の数が減少していった国であるが、前述のとおり、同時期に面会交流 ( en: visiting ) に関する調停の申立て件数は急増した。日本に限らずどこの法域でも、面会交流は、当事者の合意に基づくものであってはじめてその意義を十分に発揮できると考えられているが、同時に面会交流を巡る紛争は、合意形成の非常に難しい紛争領域であるとも考えられている[78]

日本の面会交流に関する裁判実務を主導しているのは、「子の福祉の観点から面会交流を禁止・制限すべき事由が認められない限り、面会交流の円滑な実施に向けて審理・調整を進めるべきである」[79]という考え方である。このような考え方はドイツBGB1684条4項にも見られる普遍的な考え方であるが、家庭裁判所が「同居親は著しい苦痛を被ってでも面会交流に協力しなければならない」といった非科学的な教条主義的運用に陥りがちであると警告する見解も根強い[80]

前述のとおり、面会交流に関する調停には家庭裁判所調査官が関与する事案が多い。家庭裁判所調査官は、期日に立ち会って調停委員会に専門的知見に基づく助言を行い、子の心情や意向の調査などを行っている。この場合の調査は、①両親から同居時の別居親と子との関わり方、同居親の監護状況や面会交流に対する懸念、別居心の希望する面会交流の実施方法を陳述書や面接により聴取し、②子に面接して心情や意向を聴取し、③事案によっては別居親と子を試行的に面会させて、別居親と子との交流場面を観察する(試行的面会交流(しこうてきめんかいこうりゅう))、という手順を基本とする。調査結果が調停委員会や裁判官に大きな影響を与えることは、監護権に関する調停と同様である。

遺産分割に関する調停 (日本)編集

遺産分割に関する家事事件は増加傾向にある。最高裁判所事務総局「司法統計家事事件編」の各年度版第3表、第4表によると、「遺産の分割に関する処分など」を目的とする家事審判事件及び家事調停事件の新受件数合計は次のとおり推移している。

西 暦  2000   2005   2010   2015   2017 
家事審判 1,748 1,869 2,125 2 012 1,972
家事調停 9,162 10,130 11,472 12 975 14,044
合 計 10,910 11,999 13,597 14,987 16,016

この時期の日本では、ベビーブーム世代が老年期に達し、母集団となる死亡者数(相続の発生件数)が増加している。また、権利意識の高揚により、伝統的な長男相続に納得しない兄弟姉妹が増加し、主張も硬化する傾向がある。少子高齢化の進展により兄弟姉妹相続が増加していることに加え、長寿化により被相続人の年齢が(したがって相続人の年齢も)高齢化したことに伴い、代襲相続(本来の相続人が被相続人より先に死亡したときは、その相続人の子が代わりに相続人となる制度)や再転相続(被相続人の死亡後、遺産分割が完了する前に相続人が死亡し、死亡相続人の地位を死亡相続人の相続人が承継すること)が発生し、相互に縁の薄い多数の相続人が遺産分割の当事者になる事案が増加している。さらに、人口の都市部への集中に伴い、相続人間で被相続人の世話の分担に差が生じやすくなり、法定相続分の取得を主張する都市部居住相続人に対する反感が芽生えやすくなっているし、被相続人自身が都市部住民である事案が増加したことに伴い、遺産不動産が高価だが市場性は低い事案も増加している(遺産に十分な金融資産が含まれるか、相続人の中に十分な金融資産を有する者がいないと、調整が困難になる。)。こうした事情が絡み合って、遺産を巡る紛争自体が増加し、個々の紛争もますます解決困難になっていると言われている[81]

遺産分割に関する調停では、通常、①相続人の範囲、②有効な遺言の有無及び効力の範囲、③遺産の範囲、④遺産の評価、⑤寄与分(被相続人の財産の維持増殖に特別な貢献をしたこと)、特別受益(遺産の先渡しに当たる贈与や遺贈)の有無及び額、⑥遺産の分割方法が問題となる[82]

カリフォルニア州の家事調停編集

カリフォルニア州は、アメリカの中でも最初期に調停前置主義を家事事件に導入した州である。同州は、調停人による裁判所に対する報告制度も設けている。

アメリカでは、古くから斡旋裁判所 ( conciliation court ) に斡旋相談員 ( conciliation counselor ) が置かれていた[83]。もっとも、1960年代のアメリカでは、裁判所の相談員の役割は夫婦の円満調整である、というのが一般的な認識であった[84]

1970年代に入ると、離婚を容認する社会的風潮が定着し始めた。1973年からロサンゼルス斡旋裁判所が子の監護及び訪問に関する紛争の調停を試行し[85]、1981年にカリフォルニア州法がこれらの紛争について調停前置主義を導入した。

カリフォルニア州家族法典は、家事調停の規定を第5分冊(斡旋手続)及び第8分冊(子の監護)第2部(未成年の子の監護権)第11章(監護及び訪問に関する問題の合意支援)に置いている。

斡旋手続の概要は次のとおりであり、もともと円満調整を目指す手続であったという伝統の名残が残っている。

上級裁判所は、郡内の社会情勢や家庭関係事件の数を考慮して、庁内に家事調停裁判所及び斡旋相談員を置くことができる(同法典1802条、1810条、1814条)。斡旋相談員は、斡旋期日を開いて当事者から事情を聴き、家事調停裁判所の裁判官に対して手続に関する勧告を行うほか、裁判官から求められた事件について審問を行い、調査をし、子の監護及び訪問に関する紛争の合意支援を行うなどの権限を有する(同法典1814条b項、c項)。これらの期日及び審問は、すべて非公開とされている(同法典1818条a項)。

家事調停裁判所が管轄権を有するのは、配偶者間に紛争が生じ、又は婚姻の状態を問わず両親間に子の監護若しくは訪問に関する紛争が生じている場合であって、和解ができなければ当事者の婚姻が解消され、婚姻が無効化され又は法定別居若しくは世帯の混乱に陥るおそれがあり、これによって配偶者間若しくは両親間又はこれらの者の一方の未成年の子の福祉に影響を及ぼす可能性があるときである(同法典1830条a項)。家事調停裁判所は、当事者間又はその一方に未成年の子がいると否とを問わず、家庭内暴力を伴う紛争が生じているときにも管轄権を有する(同条b項)。

監護権又は訪問権の決定、当事者間の婚姻の解消、無効原因のある婚姻の無効化又は法定別居を求める訴訟手続を提起する前に、当事者の一方又は双方は、家事調停裁判所に管轄権発動の申立てをすることができる(同法典1831条)。当事者間の婚姻の解消、婚姻の無効化又は法定別居を求める申立てがある場合において、配偶者間又はその一方に未成年の子があり、婚姻の解消若しくは世帯の混乱又は子の監護に関する紛争の存在により子の福祉に悪影響が及ぶおそれがあり、かつ、当事者間に和解が成立する合理的な見込みがあるときは、裁判所は、申立ての係属中いつでも、事件を家事調停裁判所に移送することができる(同法典1841条)。

当事者間に和解の合意が成立したときは、これを書面にまとめることができ、当事者双方の同意があるときは、裁判所は、当事者双方に対し合意に完全に従うよう求める命令を発することができる(同法典1839条b項)。

合意支援手続の概要は、次のとおりである。

上級裁判所の各庁は、合意支援を提供するために家事調停裁判所を設置する必要はないが、調停人を利用できるようにしなければならない(同法典3160条)。裁判所は、調停人変更の要求その他の合意支援に関する一般的な問題に対応する地域規則を策定する(同法典3163条)。家事調停裁判所、保護監察局、精神保険部局の専門家職員その他の個人又は組織であって裁判所から指名を受けたものが、調停人になることができる(同法典3164条a項)。調停人は、家事調停裁判所の斡旋相談員と同様の知識・経験を要求される(同条b項)。

裁判所は、一時的又は恒久的な監護又は訪問に関する裁判の提起、申請その他の申立てがあり、監護、訪問若しくはその双方に争いがあると見えるときは、争われている事項を合意支援に付すものとされている(同法典3170条a1項。これがカリフォルニア州の調停前置主義 ( mandatory mediation ) である。)。また、一時的又は恒久的な監護又は訪問に関する裁判を新たに得又は変更することを提起し、申請しその他申し立てる前であっても、事件の当事者は、裁判所に監護又は訪問に関する問題を合意支援に付すよう求めることができ、裁判所はこの問題を合意支援に付すことができる(同条a2項。ただし、2018年1月1日から2019年末日までの時限立法。)。なお、家庭内暴力事件は、特別の手続が適用される(同条b項)。継父母又は祖父母の訪問に関する裁判の提起又は申請があったときも、裁判所は、その問題を合意支援に付すものとされている(同法典3171条a項)。

監護又は訪問に関する争点を解決するために合意支援が必要となったときは、合意支援により当事者が成立させる合意は、養育計画、監護若しくは訪問に関する問題又はこれらの複合する問題を解決するためのものに限定され(同法典3178条a項)、継父母又は祖父母が訪問権を求めるときは、合意は訪問に関する問題を解決するためのものに限定される(同条b項)。裁判所は、いつでもその裁量により、合意支援により成立した監護又は訪問に関する合意を同法典第8分冊第2部第1章、第2章、第4章及び第5章に従って修正することができる(同法典3179条)。

リバーサイド郡、サンディエゴ郡など[86]では、調停人は、地域の裁判所規則に従って、裁判所に対し、子の監護又は訪問に関する勧告を提出することができるが、この勧告は、審問に先立ち、先に当事者及びその弁護士(未成年の子の代理人を含む。)に提供されるものとされている(同法典3183条a項)。この勧告制度と同様に、調停機関から裁判機関に対して情報を提供させる制度は、韓国の家事調停にも取り入れられている。

カリフォルニア州の調停前置主義を肯定的に評価する見解はもちろんあるが[87]、アメリカでは、合意支援には任意性及び秘密保持が必要不可欠と考える見解が有力である。特に、秘密保持が担保されないのは合意支援の本質的価値を損なうものである、という批判が強い[88]

オレンジ郡、ロサンゼルス郡など[89]の上級裁判所は、カリフォルニア州家族法典3188条に基づく秘密合意支援計画を定め、調停人の裁判所に対する勧告や意見の提出を禁止する制度を実施している。

チリの家事調停編集

チリは、ピノチェトの軍事独裁を産んだことはあるが、近代以降、中南米諸国の中では総じて政情が安定し、比較的しっかりした法治国家と評されている。同国は経済的にも発展し、2010年には南米諸国で最初の経済協力開発機構加盟国になり、包括的及び先進的な環太平洋経済連携協定 (TPP11) の原協定署名国になっている。[90]。以下に述べるとおり、チリの家事調停は、制度設計の面でも運用面でも国家の介入が比較的強いため、民間の調停人を活用した公営の裁判外紛争処理制度とみることができる。

南米では、チリに先行して、コロンビアが「裁判所の負荷を緩和し、裁判外処理を実施する仕組を創設するための1991年法律第23号」により家事事件の分野に合意支援を導入し、アルゼンチンが法律第24,573号(合意支援及びあっせん法)(1995年)により民事事件・家事事件の分野に包括的な調停前置主義を導入していた。

ハーバード流交渉術を基にした合意支援の技法は、アルゼンチンで現地化され、チリの実務家は、アルゼンチンに学んだ技法を自国に導入した[91]。そして、コンセルタシオン・デモクラシア政権の下で、家事事件に関する司法制度の改革が企図された。当時の政権は、伝統的な対審構造の司法手続は家庭内紛争の解決には不向きであると考え、1997年11月3日に下院に対し、家事事件の分野への合意支援の導入等を盛り込んだ法案を提出した。[92]同法案には、現行の家裁創設法と同様の事件類型(後述)について義務的調停を行う旨の規定も含まれており、2001年5月30日に下院に提出された同法案の差替案も、この規定を維持していた。[93]。しかし、上院では義務的調停による手続遅延のおそれが懸念されたほか、義務的調停が合意支援の自発性の原則と整合しないとの指摘もあり、結局、2004年8月25日に公布された家庭裁判所を創設する法律第19,968号(同月30日施行)には、義務的調停に関する規定が置かれなかった。[94]

ところが、法律第19,968号が施行された直後から、特に大都市部の家庭裁判所は大量の事件処理に追われ、頻繁に審理を遅延させた。立法前の想定では、家事調停が家事紛争の25%程度を処理し、家庭裁判所の負担を緩和すると期待されていたが、[95]、実際には、家事調停の件数は家事紛争の10%にも満たなかった。[96]そのため、政府は早くも2006年8月17日に下院に対し、法律第19,968号の改正法案を提出し、一部の事件類型に義務的調停を導入することなどを提案した。2008年8月28日、法律第19,968号に基づく組織及び手続の改正を導入する法律第20,268号(2008年)が公布され、家事調停の手続が改正された(以下、改正後の法律第19,968号を「家裁創設法」と言う。)。

家裁創設法103条による調停の定義は、典型的な合意支援そのものである。また、同法105条が掲げる調停の原則も、合意支援の理念型と一致する。しかし、ある論者[97]によると、アメリカの文化を不確実性受容的、個人主義的、能動的、水平的、論点集約的な文化だとすれば、チリの文化は不確実性回避的、集団主義的、受動的、垂直的、多面展開的な文化であり、チリ人当事者は、調停人に「先生」あるいは「交通整理のお巡りさん」の役目を期待するために、調停に評価的 ( evaluative ) 手法が用いられる傾向があると言う。

調停人は民間人であるが、調停人が同法に定める家事調停を主催するには、専門課程を修めた学歴を有し、家庭内暴力等による前科がなく(同法112条4項)、その他控訴院が定める資格要件を満たし(同法113条1項)、司法省が管理する調停人登録簿に登載されることが必要である(同法112条1項)。調停人登録簿に登載される調停人は、司法省が地域毎の需要予測に基づき調停人の定員を定め、競争入札を行うことによって選別される[98]

また、調停人の業務地域は、最小でも、家事事件に関する権限を有する第一審裁判所の管轄区域に対応するものでなければならないとされており(同条2項)、業務供給の地域的偏在を緩和する対策が採られている。この業務の地域的制限に対しては、調停人の側から疑問の声も上がっている[99]

義務的調停についても、任意的調停についても、調停人の指名は当事者の合意によるのが原則であるが(同法107条1項1文、2項2文)、指名の合意ができないとき又は当事者が裁判所に指名を委ねたときは、裁判官が調停人を指名する(同条1項2文、2項3文、3項以下)。同条が求める調停業務の公平な分配を実現するため、 SIMEF ( Sistema Informático de MEdiación Familiar ) と呼ばれるコンピュータシステムが整備されており、実際の指名手続と第1回調停期日の指定手続は、裁判所で行われる[100]

家裁創設法が規律する家事調停の対象は、家庭裁判所の権限に属する事項全般であるが(同法106条4項、8条)、家庭内暴力に関する法律第20,066号を適用する余地のある事件は、例外的な場合にのみ調停の対象となる(家裁創設法106条6項、96条、97条)。

扶養の権利、子の身上監護及び親の面会権については、婚姻から生じる役目又は義務の著しい違反を構成する婚姻破綻事由がある場合を除き、訴えを提起する前に調停を試みることが必要である(同法106条1項、2項、法律第19,947号54条;義務的調停)。義務的調停は、当事者については原則として無償であるが、これを賄うに足りる資力を有する者は、その全部又は一部の負担を求められることがある(家裁創設法114条1項、2項)。

義務的調停事項以外の事項(任意的調停事項)については、調停を行うことについて当事者間に合意があるとき、又はその事項に関する訴えの提起を受けた裁判所が調停案内を行い、裁判所の調停案内を当事者が受諾したときに、調停が行われる(同法106条4項、107条2項)。代表的な任意的調停事項としては、子の教育方針、親権の行使、子の出国の許可、経済的補償( compensación económica ;日本法の概念で言うと、離婚後扶養に似た制度)、家族資産の宣言( declaración de bienes familiares ;配偶者の一方がその特有財産を家族の生活基盤として宣言すると、以後、これを処分するには配偶者の他方の同意が必要になるという制度)、財産の司法分離( separación judicial de bienes ;日本法の概念で言うと、婚姻関係破綻が公認された(司法分離)ときに行われる財産分与に似た制度)、婚姻関係の解消などが挙げられる[101]。もっとも、人の民事上の地位に関する事項であって民事婚姻法の適用範囲にある事件を除くもの、禁治産宣告、未成年者虐待の事件及び未成年者養子縁組の手続は、当事者の任意処分に委ねるべきでないため、調停の対象とすることが禁止される(同法106条5項)。任意的調停の費用は原則として当事者が負担するが、負担額には上限があり、かつ、資力の乏しい当事者がいる事件では当事者双方がその負担を免除される(同法114条2項、法律第19,968号の調停人登録簿に登録された調停人が受領することができる新しい上限料金を定める2016年12月30日司法省令、Ministerio de Justicia, División Judicial Costos de la Mediación Previa y Obligatoria )。

家事調停の申請件数は、家裁創設法の改正以降増加傾向が続いており、2017年には年間246,957件に達した。[102]統計によると、家事調停は当事者が調停実施機関に対して自発的な申請をすることにより開始されるのが通例であるが、大都市(サンティアゴ、バルパライソ、コンセプシオン)を抱える比較的人口の稠密な地域では、その他の地域と比較すると、人口比以上の申請件数があり、かつ、裁判所又は司法扶助法人 ( Corporaciones de Asistencia Judicial ) からの案内により申請された家事調停が多い。このことは、大都市部に未成年の子女を抱える夫婦(家事調停の対象となる紛争の母体)が集中していることと、地方では調停の需要の掘り起こしや調停人へのアクセスに改善の余地があることを示唆している。

また、司法省は、研究者に委託してECAMEと呼ばれる調停の質の評価手法を設定し、調査結果の分析と公表を行っている。その手法や分析結果については、 Ministerio de Justicia, División Judicial Auditorías y estudios に掲載された各論文で紹介されている。ECAME の評価手法については様々な検討の余地があるとしても、ラテンアメリカ諸国の調停の質を比較可能にするという野心的な設計思想や、当事者の満足度が向上しているとされること[103]は、注目に値する。

フランスの家事調停編集

フランスでは、後述のサッシャー委員会の「家事調停とは、破綻又は分離によって影響を受ける人々の間で、中立、独立かつ資格を有するが結論を押し付けることのない第三者である家事調停人が、秘密を保持して事情を聴くことを通して当事者間の意思疎通を支援し、ますます多様化し変化し続けている家族という領域における紛争を管理することを支援し、もって、自律性と責任とに焦点を当てた家族関係を構築し又は再建する手続である。」という定義が引用されることが多い[104]。つまり、フランスで「家事調停 médiation familiale」と言えば、裁判所外の有資格者の調停人による合意支援を意味するのが通例である。

家事調停は、当初は別居しても親としての役割を維持したいと願う両親のために提供されていたが、今日では多様な家族を扱っている。両親、子ども、祖父母、兄弟姉妹、ステップファミリー、家族事業における別居ないしは破綻、相続、成人したか否かを問わず扶養を要する家族の世話などの、答えのない問題に取り組んでいる。

家事調停制度の沿革 (フランス)編集

フランス語圏の法域で最初にアメリカにおける合意支援の実践を導入したのは、ケベック州(カナダ)の実務家たちである[105]。1981年2月にモントリオール市で司法省、社会問題省、モントリオール上級裁判所、弁護士会、司法扶助会及びモントリオール市社会サービスセンターの協定に基づく家事調停サービスが開始され、1984年4月に常設化されたほか、同年にはケベック市社会サービスセンターによる家事調停サービスが開始された[106]

「本家」であるフランスの実務家が合意支援に着目し始めたのは1984年頃である。ベルサイユの父母児童協会 ( L’association Père Mère Enfant, APME ) は、主にモントリオール家事調停サービスセンターにおける実践を学び、1987年に家事調停サービスを開始した。1988年にPTA全国連盟 ( Fédération Nationale des Écoles des Parents et des Éducateurs, FNEPE ) が主にパリ地域支部で家事調停サービスを開始した。また、政府も、1988年4月以降、調査研究の委託やケベック州への調査団派遣を行い、フランスへの家事調停の導入準備に着手した[107]

1988年7月にAnnie Babu 及び Lorraine Filion が家事調停協会 (l'Association Pour la Médiation Familiale, APMF) を設立し、その後、同協会やモンペリエの親子調停協会などの家事調停の推進を目指す諸団体が連携して、全国家事調停連盟 (la Fédération Nationale de la Médiation Familiale, FENAMEF) などの全国的組織を設立した。

1995年2月8日の裁判所の組織並びに民事、刑事及び行政訴訟に関する法律は、第2編第1章(21条から21条の5まで)を「合意支援」と題し、調停人の守秘義務などを規定した。また、民事訴訟法典131条の1は、裁判官が調停人を指定して合意支援を試みさせることを認めた。

2001年及び2003年から2004年にかけての2度にわたり、モニーク・サッシャーが率いる家事調停に関する国家諮問委員会(サッシャー委員会)が報告を行い、これらの報告に基づいて、所定の訓練を経た調停人に国が修了証書を授与する制度を創設し[108]、2006年には国家扶養手当基金を通じた調停人の能力開発のための全国計画が始まった[109]

立法の分野でも、2002年3月4日の親権に関する法律が共同親権制を原則とするとともに、両親が離婚後の親権の行使に関する協議をする場として、家事調停を制度化した(民法第373条の2ないし10)。2004年5月26日の離婚改革に関する法律が子を持つ離婚当事者への支援を規定したことにより、家事調停の有用性は高まった。家事調停は、2005年1月1日以降、2004年の離婚手続法(民法第255条第1項、第2項)でも言及されている。

しかし、現場の司法官や弁護士の理解が広がらず、しばらくの間、家事事件の付調停は低迷していた[110]

2015年3月(2015年3月11日のデクレ第2015-282号)以降、全ての原告は、訴訟手続を開始する前に、友好的な措置をとったことを説明しなければならない。家族法にこれを当てはめると、調停は家事事件判事に申立てをするための前提ということになる。

2016年11月18日の21世紀司法近代化法7条に基づき、2019年12月31日まで、特定の大審裁判所 (フランス)[111]において、訴えを提起する前に調停を試みることを義務づける実験が行われている[112]

家事調停の対象 (フランス)編集

離婚事件において、家事事件判事は、配偶者双方に合意支援を提案し、双方の同意を得たうえで、家事調停人を指定してその手続を行わせることができる(民法255条1号)。また、家事事件判事は、配偶者双方に家事調停人と面談して合意支援の目的及び手続について教示を受けるよう勧告することができる(同条2号)。親権行使に関する事件についても、家事事件判事には同様の権限が与えられている(同法373条の2の10第2項、3項)。

また、前述の特定の大審裁判所では、子の常居所、面会交流権、未成熟子の教育及び扶養に関する分担、家事事件判事が取り扱うことのできる親権の行使態様に関する決定(通学先の決定など)について、家事事件判事が以前に行った決定又は家事事件判事の同意を得た合意を変更する訴えを提起しようとする者が、調停を試みずに訴えを提起したときは、家事事件判事は訴えを不適法として却下する[113]。ただし、両親が共同して親権合意の調整を申請するとき、親の一方が他方又はその子に対して暴力を振るったことがあるときその他家事事件判事が調停を試みないことに相当な理由があると認めるとき(地理的距離、相手方の拘禁、病気など)は、調停を試みないで訴えを提起することができる[114]

専門職化 (フランス)編集

家事調停団体は、フランス国家から、その専門性の認証を求められてきた。国が修了認定をした家事調停人は、主に国の関係団体(CAF や UDAF といった補助金受給団体)で仕事をしている。2003年12月2日のデクレ第2003-1166号に基づく家事調停人国家修了認定 (diplôme d'État de médiateur familial, DEMF) レベル2は最近補正され、 595時間の課程を経るものとされている(2012年3月19日のアレテにより改正され、2012年8月2日のアレテにより再び補正され、2012年8月22日の官報第0194号で公布された。)。論争の対象は、とりわけ調停・交渉専門家会議所 (la Chambre professionnelle de la médiation et de la négociation) によって指摘されたものは、論争を細分化するものであり、他方で調停は横断的な技能と文化的及び法的な選好に導かれた含蓄を必要とするものであるために、 DEMF の最新版の作成に影響を与えなかった。

APMF も FENAMEF も、家事調停の専門性は、家族内では、二人の隣人の間で、あるいは二つの組織の間でさえも、何が起こったのかは余り重視されず、感情が決定的な役割を果たすような場面で人間関係が動くという事実により正当化されると論じている。それ故に、調停中もこの極めて特殊な性質を考慮に入れる訓練が必要なのである。

2007年10月20日の会同の後、調停・交渉専門家会議所は、 DEMF の廃止を求めた。当該団体は、次のように述べている。

調停・交渉専門家会議所は、国家家事調停人修了認定が各分野にまたがる文化的な含蓄を含んでいることを強調する。調停の特定の状況に関しては、国家が後援する修了認定を発行することが、まさに調停の精神を毀損するような文化的選好を表明することにつながる。これに加えて、「専門化された」修了認定は、人々の間の困難や紛争の広がりを型にはめてしまい、家族という側面は特定の状況のある一面に過ぎないために、その状況をまるごと取り扱うことができなくなっているのである。それゆえ、当会議所は、この修了認定を確立している2003年12月2日のデクレと社会活動及び家族法典R451条の66からR451条の71までを削除するよう求めるものである。[115]

政府当局はこの削除要求を拒否した。今日フランス本土及び DOM-TOM で国家の認証を受けた全ての実務家が、この拒否を支持している。ベルギーやスイスを含む多くの外国人学生が DEMF を取得するために来仏し、良質な専門家としての認定を受けている。

教育訓練 (フランス)編集

フランスにおける家事調停人は、2003年12月に創設された国家修了認定の取得を義務付けられた専門家である。国家修了認定は、560時間にわたる2年間の理論課程と105時間にわたる家事調停人との実務修習を経た後に与えられる。

この修了認定は地域圏知事が授与する。研修を受講するには、社会、保健又は法のいずれかの領域で国家修了認定を有するか、専門家としての経験を有していなければならない。修了認定を受けるには、認証教育機関において2年以上にわたる準備を要する。そこには、560時間の理論教育課程と105時間の実習とが含まれており、実施手順の最新版は2012年8月2日のアレテで定義された。調停及びその手続と倫理に関する理論教育は、法学、心理学及び社会学の課程で提供される。試験には学位論文の発表も含まれている。

調停を実践している他の国と比較して、フランスにおける訓練はより重くかつ体系化されている。訓練は、ナンテールのパリ第十大学常設訓練センターやリヨンの家族学研究機構のような認証された拠点である地域圏社会福祉研究機関 (Institut Régional du Travail Social, IRTS) が提供している。家事調停国家修了認定 (DEMF) は、青少年・スポーツ・社会連帯地域圏総局 (Direction Régionale de la Jeunesse, des Sports et de la Cohésion Sociale, DRJSCS) が組織する審査員団の面前で行われる学位論文の発表を経て与えられる。DEMF は国の助成を受ける全ての家事調停サービスで必要になる。DEMF は、本部をパリ第12区に置く家事調停協会 (APMF) に関連する実務家でいようとするときにも取得する義務がある。

認可を受けた大学は、家事事件を含む総合的な、あるいはこれに特化した、導入的及び継続的な訓練課程(調停学士、調停修士……)を既に設立している。調停交渉専門家会議所は、調停に関する総合的かつ行動学的な訓練を推奨している。この観点から、同会議所は、自然人及び法人の多様性を許容し、対象者に対する哲学的かつ行動学的な働き掛けを促進するため、専門調停人適合認定 (Certificat d'aptitude à la profession de médiateur, CAPM) を発行している。

イタリアの家事調停編集

イタリアでは、1987年にミラノで家事調停の普及活動を目的とする団体が設立されたのを皮切りに、各地に任意団体が設立され、調停人の教育及び義務に関する自主規制基準を公表する団体も現れるようになった[116]。エミリア=ロマーニャ州では、1994年以降、公的機関による全州均質の家事調停が提供されるようになり、2002年には州立家事調停研究センターが設立され、同センターが家事調停機関の支援を行っている[117]。2018年4月10日にはミラノ地方裁判所内に家事調停情報室が開設され、家事調停に関する情報提供や公私の調停人の紹介を行っている[118]

イタリアの調停を一般的に規律するのは、2010年3月4日立法命令第28号と「民事及び商事紛争を解決するための合意支援に関する2009年6月18日法律第69号第60条の告示」である[119]。イタリアでは、一部の紛争分野で調停前置主義が採用されており、家事事件の分野では、尊属(親、祖父母、曾祖父母など)から卑属(子、孫、ひ孫など)への事業承継に関する紛争について、調停を経由していることが訴え提起の訴訟条件とされている[120]。その他の家事事件では調停の経由は任意的であるが、子の監護に関する訴訟においては、裁判所は、判決宣告を延期して当事者に調停による解決を試みさせることができる[121]

イタリアでは、調停機関となり得る者に特別な制限はない[122]。しかし、司法省が「登録調停機関」の制度を設けている[123]ほか、各地方自治体の家庭相談センターや社会福祉部局が相談者を家事調停機関につないでいる[124]

イタリアには、家事調停とは別に、交渉支援 (イタリア)イタリア語: Negoziazione_assistitaと呼ばれる制度もある。交渉支援は、移転可能な権利に関する当事者間の合意を弁護士が関与して書面にまとめると、当該合意が執行可能になるという制度である。別居及び離婚については、検察官が合意内容を審査する。当事者間に未成年又は無能力の子がいるときは、検察官が、子の利益が確保されるような再調整を当事者に行わせることもある。

大韓民国(韓国)の家事調停編集

韓国の家事事件紛争解決の特徴の一つとして、協議上離婚を認めつつ、離婚意思の確認や協議内容の適正化に法院(裁判所)が深く関与することが挙げられる。韓国では戸籍やその後継制度である家族関係登録に関する事務を法院が管轄しているので、戸籍部門と裁判部門とが連携するのは自然な発想である。

協議上離婚をする夫婦は、登録基準地又は住所地を管轄する家庭法院に揃って出頭し、協議離婚意思確認申請書を提出しなければならない(家族関係の登録等に関する規則73条1項本文)。申請書を受理した家庭法院は、離婚意思確認の期日を約1か月後(未成年の子を持つ夫婦については約3か月後)に指定するとともに、当日に申請書を提出した夫婦数組を集めて、離婚案内を行う。この離婚案内の中で、協議上離婚の手続教示、離婚相談の勧告及び親教育が行われる。このうち親教育は、未成年の子を持つ夫婦に対して行われる情報提供である。親の離婚が子に与える影響、親権・養育費・面接交渉とは何か、離婚後の親の役割、養育費の支払及び面接交渉の重要性といったことが説明される。離婚相談は、家庭法院の委嘱する専門家や民間の各種団体が提供する相談の場であり、離婚相談の中で事実上の合意支援が行われることもある。

離婚意思確認の期日には、夫婦が家庭法院に揃って出頭し、法官(裁判官)から離婚意思の確認を受ける(家族関係の登録等に関する規則74条1項)。離婚意思確認の申請者は、この確認を受けるまでは申請を取り下げることができ(同規則77条1項)、夫婦の双方又は一方が2回続けて離婚意思確認の期日に出頭しなかったときは、申請を取り下げたものとみなされる(同条2項)。

未成年の子を持つ夫婦は、「子の養育と親権者の決定に関する協議書」を提出しなければ離婚意思の確認を受けられない。同協議書には親権者及び養育者、養育費の負担、面接交渉権の行使及びその方法を記載するための欄があり、記載内容が子の福利に反するときは、法官が補正命令を発することもできる。法院書記官は同協議書の養育費に関する部分について養育費負担調書を作成する。養育費負担調書は、債務名義になる。

このように、韓国では、協議上離婚の手続が斡旋に近いものとなっており、かつ、一時の感情に任せた離婚や一方当事者の意向を反映しない離婚を食い止める安全網が敷かれている。そのため、高葛藤の夫婦以外は、協議上離婚の手続で自主的に合意を形成することができると考えられる[125]

ナ類[126]及びタ類家事訴訟[127]並びにマ類家事非訟事件[128]について家庭法院に訴えを提起し、又は審判を申請しようとする者は、まず調停を申請しなければならないが(家事訴訟法50条1項)、実際には、家事調停の申請は日本や中華民国と比較して非常に少ない。自主的に合意できる夫婦はあらかた協議上離婚をしているとしても、家事訴訟の年間処理件数に対する調停成立及び訴え取下げ(取下げとみなす場合[129]を含む。)の件数の割合が約38%ある(2011年から2016年までの6年間の平均値)[130]ことからすると、第三者が介入すれば合意形成可能な多数の夫婦が調停を経ないで離婚訴訟を提起していると言える[131]。実際に、「過当競争にあえぐ弁護士が家事調停より報酬の見込める離婚訴訟を依頼者に強く勧めている」との旨の指摘[132]がある。

家事調停事件は,それに相応する家事訴訟事件又は家事非訟事件を管轄する家庭法院又は当事者が合意で定める家庭法院が管轄する(家事訴訟法51条1項)。調停手続を主催する調停機関は、原則として調停委員会である(民事及び家事調停の事務処理に関する例規33条1項)。調停委員会は、調停長である法官と、各事件ごとに調停長が指定し、又は当事者が合意により指定する調停委員2名以上で構成する(同項、同法53条)。

家事訴訟法は、家事調査官が事前に事実の調査を行い、調停委員会が積極的に解決案を提示して当事者を説得するという進行を予定している(同法56条、58条1項)。

調停は,当事者間で合意された事項を調書に記載することによって成立する(同法59条1項)。調停委員会は、事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的で調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしない決定で事件を終了させることができる(家事訴訟法49条、民事調停法26条1項、40条1号。日本の調停をしない措置と同趣旨)。また、調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込みがないとき、又は成立した合意の内容が相当でないと認めるときは、調停申請の趣旨に反しない限度で、調停に代わる決定をするのが原則であり、一定期間内にどの当事者からも異議申立てがなければ、調停に代わる決定は確定する(家事訴訟法49条、民事調停法30条1項、34条、40条1号)。調停又は確定した調停に代わる決定は、当事者が任意に処分することができない事項を除き、裁判上の和解と同一の効力を有する(家事訴訟法59条)。

調停をしない決定があったとき、調停が不成立のとき又は調停に代わる決定に対する異議申請があったときは、訴えが提起されたものとみなされ(申請による調停の場合)、又は受訴法院に再度回付される(調停回付による調停の場合)(家事訴訟法49条、50条、民事調停法36条)。このとき、調停長又は調停担当判事は、意見を添付して記録を管轄家庭法院に送付しなければならない(家事訴訟法61条)。韓国では、離婚相談や親教育、家事調停に家庭法院の後見的機能を期待する見解が多い[133]

このように、韓国の家事調停は、少なくとも制度上は日本よりも斡旋としての性格がさらに明確である。

ノルウェーの家事調停編集

ノルウェーでは、親責任、監護及び面会交流について、児童法(1981年4月8日法律第7号)に基づく家事調停が行われている。

16歳未満の血縁関係のある子を持つ両親[134]は、主務省令で定める例外に当たる場合を除き、親責任、監護又は面会交流に関する訴えを提起する前に、調停[135]をしなければならない(児童法51条1項、4項)。16歳未満の血縁関係のある子を持つ夫婦は、別居命令又は離婚命令を得ようとするときは、主務省令で定める例外に当たる場合を除き、家庭相談所の調停又はその他の認定調停人による調停をしなければならない(同条2項、4項)。16歳未満の血縁関係のある子を持つ共同生活者[136]は、関係が破綻したときは、調停をすべきものとされている(同条3項、4項)。

調停には原則として当事者が自ら出席しなければならず、調停人が別席調停を相当と認めた場合を除き、同席調停が原則である(同法53条)。当事者は、調停人の下で調停に出席して1時間が経過したときは、調停人から調停証明書の発行を受けることができる(同法54条第1文)。1時間が経過しても当事者間に合意が整わないときは、調停人は、当事者に対し、更に最大3時間調停を続けるよう勧めるものとされている(同条第2文)。それでも当事者間に合意が整わないが、合意が整う見込みがあるときは、調停人は、更に3時間調停を続けるよう提案することができる(同条第3文)。

当事者間の親責任、監護及び面会交流に関する合意は、書面に記載する(同法52条前段)。子の普通裁判籍のある地の県知事は、合意によって子の最善の利益が最優先で守られると認めるときは、当事者の共同申立てにより、書面による合意に同法65条に定める執行力を付与することができる(同法55条1項第1文、3項)。県知事は、必要なときは、専門家、児童福祉局又は社会福祉局に意見を求めることができる(同条1項第2文)。

調停証明書は6か月間有効である(同法54条第4文)。子の両親が親責任、監護又は面会交流に関する訴えを提起しようとするときは、有効な調停証明書を提示できなければならない(同法56条)。

親責任、監護又は面会交流に関する訴えが提起されたときでも、裁判所は、本格的な審理に入る前に、当事者を認証調停人又は争点に関する洞察を有する者の行う調停に付することができる(同法61条1項2号第1文)とされている。実務上は同項1号に基づき、事件の審理を担当する裁判官が専門家を選任して、当該専門家に調停を行わせ、又は当該専門家とともに調停を行うのが通例である[137]

アンナ・ナイルンド[138]は、ノルウェーの家事調停の最も重要な欠点は、家族の葛藤の程度に応じた多様な選択肢を用意していないことにあると論じている。すなわち、ノルウェーは北欧諸国の中で唯一調停前置主義を採用する法域であるが、離婚しようとする家族が子の監護に関する訴えを提起する割合は他の北欧諸国とほぼ同じであり、家事調停がADRとしての効用を発揮していない。低葛藤の家族は当事者間で、あるいは裁判所と無関係な者の仲介で紛争を解決するから、公的機関は、紛争解決の場ではなく情報を提供すべきである。中葛藤の家族は、いきなり話し合うのではなく、話し合い方を学び、「子の最善の利益」という考え方に気づくための親教育をまず行うべきであるから、調停を1時間義務付ける程度では足りず、7時間でも不十分であろう。高葛藤の家族には合意支援ではなく、子の虐待や育児放棄、家庭内暴力などの問題に焦点を当てた介入が必要である。ノルウェーの家事調停には、問題状況に応じた手続の振り分けという概念が欠けていると言うのである。

脚注編集

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  1. ^ 中国大陸の例について、韓寧(2013年)「中国調停制度の新展開」186頁、白鴎大学論集第27巻第2号185頁以下
  2. ^ 日本において、自治的な紛争解決に失敗した家族を公権力が強制的に解体した例について、お家騒動を参照
  3. ^ Kaijus Ervasti (2018) Past, Present and Future of Mediation in Nordic Countries 226頁、 Nordic Mediation Research 225頁以下
  4. ^ 前掲 Ervasti,K. (2018) 226頁
  5. ^ ロジャー・フィッシャー=ウィリアム・ユーリー(金山宣夫ほか・訳)『ハーバード流交渉術』(三笠書房、東京、1989年)
  6. ^ Redouin, Marie-Odile (2015) Histoire de la Médiation Familiale en FranceL'HISTOIRE DE LA MÉDIATION FAMILIALE EN FRANCE
  7. ^ 日本語訳につき、法務省大臣官房司法法制部「法務資料464号
  8. ^ ドイツの例について、ディーター・ライポルド(出口雅久・訳)(2014年)「調停,メディエーション,民事訴訟」341頁以下、立命館法学2014年1号324頁
  9. ^ Claudia Tarud Aravena El principio de voluntariedad en la legislación de mediación familiar, en Chile
  10. ^ Development of Alternative Dispute Resolution in Bangladesh
  11. ^ 以下の説明は中華民国司法部の説明にならったものであるが、どの法域でもほぼ同じような説明がされている。
  12. ^ 家事・非訟事件手続法156条1項
  13. ^ 中華人民共和国婚姻法32条
  14. ^ 家事事件法23条1項
  15. ^ James Munby (2014) Family Mediation in England and Wales:A guide for judges, magistrates and legal advisors
  16. ^ エナ・マルリス・バヨンス(渡辺惺之・訳)「オーストリーにおける国際家事手続法と調停(離婚と子供の監護の問題を中心に)(2・完)」(立命館法学2010年4号)207頁以下
  17. ^ 斡旋と合意支援との違いについては、差し当たり、Difference Between Mediation and Conciliationを参照。
  18. ^ 差し当たり、BRANDON, Mieke; STODULKA, Tom. A Comparative Analysis of the Practice of Mediation and Conciliation in Family Dispute Resolution in Australia: How Practitioners Practice across both Processes. QUT Law Review, [S.l.], v. 8, n. 1, june 2008. ISSN 2201-7275. Available at: <https://lr.law.qut.edu.au/article/view/106>. Date accessed: 16 feb. 2019. doi: https://doi.org/10.5204/qutlr.v8i1.106.
  19. ^ 徐文海「民事紛争解決手続と調停-中国法への提言-」(立命館法学2014年3号)264頁以下、キムソンテ(김성태)「家事調停制度の問題点と改善策に関する研究」民事訴訟19巻1号(韓国民事訴訟法学会、2015年)433頁以下
  20. ^ 前掲 A Comparative Analysis of the Practice... を参照。
  21. ^ 最高裁判所事務総局(2017年)『司法統計平成28年度家事事件編』、同(2018年)『司法統計平成29年度家事事件編』
  22. ^ 大法院『司法年鑑2016年度』
  23. ^ 司法院『司法統計年報民国106年度』所収の同105年に関する数値
  24. ^ 一般市民向けのウェブサイト(例1例2)は、「夫婦間で話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所で調停・訴訟をすることになる。」と説明することが多い。
  25. ^ Source: Japanese Law Translation Database System 家事事件手続法
  26. ^ 当時の議論の状況について、山本起世子(2013年)「民法改正にみる家族制度の変化 -1920年代~40年代-」120頁以下、園田女子大学論文集第47号
  27. ^ 1939年(昭和14年)2月20日の第74回帝国議会貴族院本会議における司法大臣盬野季彦の趣旨説明(官報号外昭和14年2月21日貴族院議事速記録第15号156頁)、最高裁判所事務総局『わが国における調停制度の沿革』(1972年)35頁
  28. ^ 前掲最高裁判所事務総局1972年・107頁
  29. ^ 前掲最高裁判所事務総局1972年・37頁
  30. ^ 大浜英子を参照
  31. ^ 前掲最高裁判所事務総局1972年・37頁、44頁。立案当局である司法省も、「相当の成果を挙げておる」(家事審判法案の趣旨説明)と述べていた。
  32. ^ 人事調停法5条、11条は、調停の申立が淳風に副わないときは裁判所が申立てを却下し、又は調停委員会が調停をしないことができるとしていた。
  33. ^ 2016年に受け付けられた家事調停のうち、132,416件(約94.12%)が当事者の申立てにより、5,889件(約4.19%)が家事審判又は人事訴訟からの付調停による。前掲司法統計平成28年度
  34. ^ 佐上善和『家事審判法』325頁~326頁(2007年、信山社出版、東京)
  35. ^ 紙子達子=野本俊輔=羽成守編『家事調停の実務』6頁[吉葉](2014年、青林書院、東京)
  36. ^ 前掲司法統計平成28年度家事事件編15頁
  37. ^ 離婚及び離縁が除かれるのは、日本では協議離婚(民法763条)及び協議離縁(同法811条1項)が認められるため、離婚及び離縁は当事者間の話し合いになじむ事項と位置づけられるからである。
  38. ^ ほとんどは常勤の裁判官だが、都市部の家庭裁判所では「家事調停官」(家事事件手続法250条、251条)と呼ばれる弁護士もいる。日本では、「家事調停官は常勤裁判官に劣る」というような評価は目立たない。
  39. ^ 調停委員はどんな人?を参照
  40. ^ 小規模庁での意見交換の例内情に詳しいらしい匿名の者の説明を参照。
  41. ^ 差し当たり、前掲匿名の者の説明を参照。
  42. ^ 日本では、家事調停委員の守秘義務違反が表面化した事例はほとんどない。
  43. ^ 説明の一例
  44. ^ 戸倉晴美「大阪家庭裁判所の新しい取組を踏まえた調停委員の活動と調停協会の取組」、『家庭の法と裁判』第14号(2018年、日本加除出版、東京)110頁以下など
  45. ^ 家事事件手続規則126条2項、民事訴訟規則67条1項6号参照。調書の記載が成立した合意の公式かつ唯一の証明方法であるため(民事訴訟法160条3項類推)、家事事件手続法が調書への記載に言及していると解釈することになる。
  46. ^ 司法統計平成25年度から平成29年度までの各年度版家事編第4表
  47. ^ 最高裁判所平成24年(許)第41号平成25年(2013年)3月28日第一小法廷決定・裁判集民事243号261頁(間接強制否定)、同裁判所平成24年(許)第47号同日同小法廷決定・同271頁(間接強制否定)、同裁判所平成24年(許)第48号同日同小法廷決定・最高裁判所民事判例集67巻3号864頁(間接強制肯定)。
  48. ^ 法務省法制審議会民事執行法部会(2018年)「民事執行法制の見直しに関する要綱案
  49. ^ インターネット上にも「調停委員を味方につける方法」と称する助言が多数存在する。
  50. ^ 前掲司法統計平成28年度家事事件編15頁
  51. ^ 前掲徐・2014年参照
  52. ^ 前掲最高裁判所事務総局2017年14頁、同2018年14頁
  53. ^ 最高裁判所事務総局(2001年)『司法統計平成12年度家事事件編』12頁
  54. ^ 最高裁判所事務総局(2016年)『司法統計平成27年度家事事件編』14頁
  55. ^ 「協議離婚」の割合は87.2%、「調停離婚」は10.0%
  56. ^ 家庭裁判所の実務では、「離婚調停」とは呼ばずに「夫婦関係調整調停」と呼び、離婚を望まない当事者にも配慮している。
  57. ^ ウルグアイでの研究成果について、 Bucheli, Marisa = Cabella, Wanda (2009) Fathers and children: alimony and contact after marriage breakdown (Uruguay)
  58. ^ 最高裁判所平成16年(受)第247号同年11月18日第一小法廷判決・裁判集民事215号657頁、同判決が引用する最高裁判所昭和61年(オ)第260号昭和62年9月2日大法廷判決・民集41巻6号1423頁
  59. ^ 最高裁判所昭和26年(オ)第469号昭和31年2月21日第三小法廷判決・民集10巻2号124頁
  60. ^ 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課(2014年)ひとり親家庭の支援について
  61. ^ 大塚玲子(2016年)「養育費支払率なぜ、たった2割? 面会交流と養育費の義務化が必要な理由」。なお、大塚も指摘するとおり、「養育費支払率」は、権利者に尋ねるときと義務者に尋ねるときとでかなり違った数字が出る可能性があることに留意を要する。前掲Bucheli = Cabella (2009)。
  62. ^ 大阪家庭裁判所事務局総務課(2016年)「平成28年度第2回家庭裁判所委員会」配布資料2
  63. ^ 最高裁判所昭和28年(オ)第1389号昭和33年7月25日第二小法廷判決・民集12巻12号1823頁参照
  64. ^ 青木晋編著『人事訴訟の審理の実情』45頁(判例タイムズ社、2018年、東京)
  65. ^ この算定表は、当事者間で扶養料を新規に設定する際に利用する目的で作成されている。つまり、当事者間でいったん具体化された扶養義務の内容を改定するときは、この算定表を単純に当てはめることはできない。扶養義務の内容の変更は、既存の合意等をするに当たって考慮された事情に変更があった場合に限って認められる(民法880条)ので、扶養義務の新規設定とは考慮要素が異なるからである。
  66. ^ 日本弁護士連合会(2016年)「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」など。その他、個別事案についての扶養権利者・扶養義務者の不満も含めると、無数の批判がある。
  67. ^ 2017年の家事調停の既済事件数(137,185件)のうち、調停成立(72,031件)、合意に相当する審判(1,932件)及び調停に代わる審判(5,520件)の合計から合意に相当する審判に対する異議(18件)及び調停に代わる審判に対する異議(708件)の合計を控除した件数の割合は57.41%であるのに対して、扶養義務に関する調停の既済事件数(39,295件)のうち、調停成立(23,574件)及び調停に代わる審判(1,622件)の合計から調停に代わる審判に対する異議(339件)を控除した件数の割合は63.26%であった。前掲司法統計平成29年度家事事件編
  68. ^ 2017年(平成29年)には、別二調停が74,690件申し立てられ(付調停を含めると81,600件)、調停が成立し、又は合意に相当する審判・調停に代わる審判が確定した事件は48,666件あった。これに対して、別二審判は9,763件申し立てられた。監護者の指定調停の新受(新規受理。後記引用元には、新受のうち何件が申立てによるものか記載がない。)は2,271件あったが、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定した事件は675件しかなかった。そして、監護者の指定審判の新受(同前)は2,321件あった。前掲『司法統計平成29年度家事事件編』12頁~15頁
  69. ^ 秋武憲一監修『子の親権・監護の実務』(2015年、青林書院、東京)107頁~114頁、石田文三監修『三訂版「子どもの引渡し」の法律と実務』(2014年、清文社、大阪)21頁~23頁。考慮要素そのものは、例えばアメリカの裁判実務とも大差ない。Factors Used to Determine the Custody of Childrenを参照。
  70. ^ 人事訴訟法32条4項を参照。
  71. ^ 親権争いは「連れ去ったもの勝ちではない」 最高裁で勝った母側が会見。
  72. ^ 東京高等裁判所平成24年(ラ)第1926号2012年(平成24年)10月18日決定・判例タイムズ1383号327頁は、「審判前の保全処分により未成年者の引渡しを命じる場合は、後の処分によりこれとは異なる判断がされて複数回未成年者の引渡しの強制執行がされるという事態を可能な限り回避するような慎重な配慮をすることが必要である。」と述べる。
  73. ^ インターネット上では()「子どもを連れ去った者勝ち」という単純化した図式を語る者もいるが、不正確である。「別居前に十分な監護実績を有しなかった者が子の監護権を主張しても、無断連れ出しが不当という理由だけでは認容されない。」と言うのがより正確である。
  74. ^ ハーグ条約加盟に反対する会「声明」を参照。
  75. ^ 日本民法766条(同条は離婚に関する条文であるが、関係が破綻した両親に類推適用される。最高裁判所平成12年(許)第5号2000年(平成12年)5月1日第一小法廷決定・民集54巻5号1607頁参照)と、ドイツBGB1627条後段、1628条とで規定内容に大差はない。
  76. ^ Aufenthaltsbestimmungsrecht – Bei wem das Kind bleiben darf、scheidungsrecht.org Wer hat das Aufenthaltsbestimmungsrecht für das Kind?
  77. ^ Separation Advice and FAQs, If I leave my husband, can I take my child with me?を参照。ただし、日本の裁判実務には、アメリカにおける「州際移動」のような基準はない。アメリカの裁判実務は、監護権者が他の監護権者に無断で州境を超えて恒久的に子を連れ出すことを、監護権者として不適格な事由と考える傾向が強い。Consequences for Taking a Child Out of State Without Permission, My Spouse Has Left with the Children: Now What Do I Do?
  78. ^ 高橋由紀子(2011年)「ドイツの交流保護制度-親子の面会交流実現のための親権制限-」22頁(帝京法学第27巻第2号15頁以下)、ミヒャエル・ケスター(松久和彦・訳)(2010年)「ドイツ家族法における親の配慮権紛争」217頁、220頁~221頁(立命館法学2010年4号214頁以下)
  79. ^ 細谷郁=進藤千絵=野田裕子=宮崎裕子(2012年)「面会交流が争点となる調停事件の実情及び審理の在り方-民法766条の改正を踏まえて-」75頁(最高裁判所事務総局、家庭裁判月報64巻7号1頁以下)
  80. ^ 渡辺義弘(2014年)「面会交流原則的実施方針に対する疑問-心理学的知見の教条化を排した実務運用はどうあるべきか-」(青森法政論叢15号34頁以下)
  81. ^ 田中歩(2018年)「遺産が少なくても相続争いは起こる」など
  82. ^ 京都家庭裁判所「遺産分割調停のしおり,調停の流れについて
  83. ^ Judy Parejko The Conciliation Courts
  84. ^ Association of Family and Conciliation Courts(家庭及び斡旋裁判所連盟)History
  85. ^ 前掲AFCC
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  89. ^ 前掲Bohm Wildish&Matsen LLP
  90. ^ 本辞典中の当該国の記事を参照。差し当たり、当該国の司法制度全般については Aninat, Francisco = Bofill - dupe, Jorge = Yanine, Sebastian (2017) Chile を参照し、当該国の家族法制度全般については Horvitz Lennon, Daniela (2018) Family law in Chile: overview 及び Duda Legal (2007-2018) Derecho de Familia を参照。
  91. ^ Suares, Marines による2017年11月25日のサン・セバスティアン大学における講演( Rebolledo Schmidt, Patricio (2018) RESUMEN DE LOS CONTENIDOS DEL SEMINARIO DE MEDIACIÓN
  92. ^ Presidente de la Republica MENSAJE Nº 81-336;この時期のチリは、他の事件類型(労働紛争(2001年)、公衆衛生施設における健康被害(2005年)及び近隣紛争(2007年))でも合意支援の制度化を進めた ( Alfaro, J. Eduardo = Rojas, V. Tomás (2012) La Mediación en Chile ) 。チリにおける裁判外紛争処理手続 ( Métodos alternos de solución de conflictos ( MASC )) の全体像は、Comisión Nacional de Acceso a Justicia Chile を参照
  93. ^ Boletín Nº 2118-18, ibid.
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  98. ^ 入札制度とその問題点については、 Ministerio de Justicia(司法省(チリ大学物理学・数学部産業工学科公共システムセンター委託))(2013), Auditoría al Modelo de Contratación de Servicios de Mediación Familiar, Imforme Finale を参照
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  128. ^ 日本の家事事件手続法別表第二に掲げる事件と対応するものが多い。家事訴訟法2条1項2号
  129. ^ 訴訟が係属中の事件を調停に回付した場合において、調停に代わる決定が確定したときは、訴えが取り下げられたものとみなされる(家事訴訟規則117条1項、民事調停規則4条3項)。
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  134. ^ ノルウェーでは同性婚が認められている。父のない子の母の妻などは medmor (共同母)と呼ばれ、父と同一の権利義務を有する(児童法4a条3項)。
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