専称寺 (山形市)

山形市緑町にある真宗大谷派の寺院

専称寺(せんしょうじ)は、山形市緑町(旧寺町)にある真宗大谷派寺院山号は最上山。

専称寺
専称寺本堂
本堂
所在地 山形県山形市緑町3丁目7-67
位置 北緯38度15分6.4秒 東経140度20分47.3秒 / 北緯38.251778度 東経140.346472度 / 38.251778; 140.346472座標: 北緯38度15分6.4秒 東経140度20分47.3秒 / 北緯38.251778度 東経140.346472度 / 38.251778; 140.346472
山号 最上山
宗旨 浄土真宗
宗派 真宗大谷派
本尊 阿弥陀如来
創建年 1483年(文明15年)
開基 願正坊
正式名 最上山専称寺
文化財 鐘楼、梵鐘、絹本著色願正上人像ほか(山形県有形文化財)
法人番号 4390005000127 ウィキデータを編集
専称寺 (山形市)の位置(山形市街内)
専称寺 (山形市)
専称寺 (山形市)の位置(山形県内)
専称寺 (山形市)
テンプレートを表示

本尊阿弥陀如来伝春日作。

起源と歴史

編集

文明15年(1483年)、本願寺第8世蓮如の高弟、願正が現在の天童市高擶に草庵を建てたことに始まる。第3世寿全のときに専称寺を号する[1]。第4世乗慶の文禄4年(1595年)、最上義光の娘で豊臣秀次の侍女だった駒姫が、豊臣秀吉に謀反の疑いをかけられた秀次に連座し、わずか15歳で処刑されてしまうという事件が起こる。義光はこれに深く悲しみ、翌年駒姫の供養のため、駒姫の生母である大崎夫人が浄土真宗に帰依していた関係から[2]、高擶にあった当寺を山形の二王堂小路(現在の旅籠町、山形地方裁判所、山形市役所の地)に移建した[3][4]。その後慶長3年(1598年)に八町四方の寺領を寄進して現在地に移転、壮大な伽藍を建立し、13ヶ寺の塔頭を持つ寺内町を形成した。この界隈は以後「専称寺町」(通称:寺町)と称され、現在でも多くの寺院が残る。高擶の寺跡には、願行寺が建立されている[5]

専称寺の位置は笹谷街道から北に入る位置であり、仙台への備えとして戦略的に重要な場所であった[6]。また領内の真宗系寺院96か寺を専称寺末寺とすることで、一向一揆を抑える狙いがあった[7]

伽藍

編集

境内面積は4974坪[3]本堂は大広間、表門とともに元禄16年(1703年)の建立で、現在でも山形市内における寺院の中で最も広大な建物であり[6]、江戸時代中期の木造建築物としては東北第一とされる[8]。書院・庫裏・鐘楼は慶長年間の建築[6]で、梵鐘鐘楼は山形県の指定文化財となっている。本堂の四隅にある力士像は左甚五郎作と伝えられる[1]山門を入って右側に立つ大イチョウは別名「雪降り銀杏」と呼ばれる[6]。根回りが7.5mある巨樹で、山形市の天然記念物に指定されている[9]

文化財

編集
  • 専称寺鐘楼 - 県指定有形文化財。建築年代は不明だが、梵鐘の鋳造された慶長11年(1606年)頃と考えられる。頭貫である木鼻の絵様や頭貫に施された彫刻などの様式から、桃山時代の特徴が見られる[10]
  • 梵鐘 - 県指定有形文化財。銘により、西村道仁作、慶長11年製とされる。総高115.4cm、口径67.2cm[11]
  • 絹本著色願正上人像 - 県指定有形文化財。高擶専称寺の開基、願正の画。筆者不明だが、桃山時代の狩野派の作とされる[5]
  • 絹本著色義光夫人像 - 県指定有形文化財。最上義光の正室(大崎夫人)の画[12]
  • 砧青磁筍節花瓶 - 県指定有形文化財。南宋時代の作。最上家からの寄進とされる[13]
  • 本堂 - 市指定有形文化財[14]
  • 大イチョウ - 市指定天然記念物[15]

交通アクセス

編集
  • 山形駅から2.5km。山交バス専称寺口下車2分

脚注

編集
  1. ^ a b 『日本大百科全書 13』
  2. ^ 『山形市史 中巻』
  3. ^ a b 『山形県寺院大総覧』
  4. ^ 『山形のお寺』
  5. ^ a b 『山形県の文化財』、119頁
  6. ^ a b c d 『山形県の地名』
  7. ^ 『やまがたの歴史』
  8. ^ 昭和60年設置の現地解説板による。
  9. ^ 専称寺の大イチョウ - 山形市観光協会による紹介
  10. ^ 『山形県の文化財』、59頁
  11. ^ 『山形県の文化財』、350頁
  12. ^ 『山形県の文化財』、120頁
  13. ^ 『山形県の文化財』、359頁
  14. ^ 山形市観光協会
  15. ^ 山形十二花月

参考文献

編集
  • 『山形県の地名』 平凡社 1990年、275頁。
  • 『角川日本地名大辞典 6 山形県』 角川書店 昭和56年、446頁。
  • 『日本大百科全書 13』 小学館 昭和62年、760頁。
  • 『山形県寺院大総覧』 山形県寺院総覧編纂委員会 昭和44年、23頁。
  • 大風印刷編集/発行 『山形のお寺』 平成12年、94-95頁。
  • 『山形市史 中巻』 山形市、昭和46年、125-126頁。
  • 山形市市史編さん委員会 『やまがたの歴史』 山形市 昭和55年、111-112頁。
  • 山形県文化財保護協会編/発行 『山形県の文化財』 2002年。
  • 『山形県大百科事典』 山形新聞・山形放送 昭和58年、553頁。

関連項目

編集

外部リンク

編集