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息もれ声(いきもれごえ、英語: breathy voice)は、発声のひとつで、声門を少し開いた状態で肺から気流を送ることにより、声帯がゆるく振動するものを言う。つぶやき声英語: murmur)とも呼ぶ。

息もれ声
̤
IPA 番号 405
IPA 表記 [̤]
IPA 画像 Xsampa- t.png
Unicode U+0324
文字参照 ̤
JIS X 0213 1-11-82
X-SAMPA _t
Kirshenbaum

いわゆる有声声門摩擦音 ɦ は、実際には摩擦音ではなく、息もれ声である。

目次

特徴編集

ラディフォギッドとマディーソンによると、息もれ声の最大の特徴は気流の量にあり、成人男子の 8 cm H2O (1 cm H2O = 約98パスカル)の声門下圧に対して、通常の声では気流の量が 120 mL/s であるのに対し、息もれ声では 500 mL/s 近くに達する[1]。無声の場合は 1000 mL/s である。

国際音声記号編集

国際音声記号で息もれ声を表すための記号には2種類ある。

  • ダイエレシスを下に置いて [a̤] のように表す。
  • 小書きの ɦ を右肩につけて、[bʱ] のように表す。閉鎖の開放時に息もれ声があらわれる子音に使用する[2]

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日本語では息もれ声は音韻論的な意味を持たないが、言語によっては息もれ声が音韻的に重要である。

ヒンディー語をはじめとするインド語派の言語の多くに見られる、いわゆる「有声帯気音」は、実際には開放時に息もれ声があらわれる子音である。同様の子音はインドの他の言語であるドラヴィダ語族ネワール語ムンダー語派、およびアフリカの多くの言語にも見られる[3]

上海語の語頭の「全濁音」は無声だが開放時に弱い息もれ声があり、ラディフォギッドらはこれを「slack voice」(たるみ声)と呼んで、通常の息もれ声と区別している[4]

グジャラート語では息もれ声の母音が出現する[5]

脚注編集

  1. ^ Ladefoged & Maddieson (1996) p.50
  2. ^ プラム;ラデュサー (2003) p.248 では、ダイエレシスを加えて [b̤ʱ] のように表している
  3. ^ Ladefoged & Maddieson (1996) p.57
  4. ^ Ladefoged & Maddieson (1996) pp.64-65
  5. ^ Ladefoged & Maddieson (1996) p.315

参考文献編集

  • プラム, ジェフリー・K、ラデュサー, ウィリアム・A『世界音声記号辞典』土田滋; 福井玲; 中川裕訳、三省堂、2003年。ISBN 4385107564
  • Ladefoged, Peter; Maddieson, Ian (1996). The Sounds of the World's Languages. Blackwell Publishing. pp. 57-63. ISBN 9780631198154. 

関連項目編集