成実論
『成実論』(じょうじつろん、梵: Satyasiddhi, Tattvasiddhi)は、訶梨跋摩(かりばつま、Harivarman, ハリヴァルマン)によって著された、16巻の仏教論書である。
概要
編集鳩摩羅什の漢訳が現存しているが、サンスクリット本およびチベット語訳本はない。翻訳は、弘始13年(411年)9月8日に始めて、同14年9月15日に終了している。経量部にも学び、法が空であることを強調する多聞部の論書である[1]。また、心を本体(心)と心理現象(心所)とに分ける説に反対して、一つのまとまりあるものとして捉えることを主張している。
202品で、35品までに三宝を明かし、続いて94品までに苦諦、140品までに集諦、154品までに滅諦、202品までに道諦を明かしている。
成実宗
編集中国では、『倶舎論』が翻訳されるまでは仏教教理の綱要書の代表とみなされ、盛んに研究されて、成実宗を形成するに至った。ただし、『成実論』が大乗論書であるか部派論書であるかということで論議が生じた。