日本新党繰上補充事件(にほんしんとうくりあげほじゅうじけん)とは、松崎哲久日本新党除名を無効とし、自身を繰り上げ当選とすることを訴えた事件。

最高裁判所判例
事件名 選挙無効請求事件
事件番号 平成7(行ツ)19
1995年(平成7年)5月25日
判例集 民集49巻5号1279頁
裁判要旨
参議院(比例代表選出)議員の選挙後に名簿届出政党等から選挙長に対し当選人とならなかった次順位の名簿登載者甲の除名届がされ、その後欠員が生じたため甲より後順位の名簿登載者乙が繰上補充による当選人と決定された場合、甲の除名が不存在又は無効であることは、右除名届が適法にされている限り、乙の当選無効の原因とならない。
第一小法廷
裁判長 三好達
陪席裁判官 大堀誠一 小野幹雄 遠藤光男
意見
多数意見 全員一致
意見 なし
反対意見 なし
参照法条
公職選挙法(平成6年法律第2号による改正前のもの)86条の2第5項ほか、憲法21条1項
テンプレートを表示

事実の経緯 編集

松崎は、1992年7月26日に行われた第16回参議院議員通常選挙比例区に、日本新党の名簿5位として立候補したが、日本新党の比例区の当選枠が4人だったため、次点で落選した。

しかし、1993年6月23日に、日本新党から党員としての適格に著しく欠けるとして松崎は除名され、日本新党の比例名簿から除外された。

その後、同年7月18日施行の第40回衆議院議員総選挙の選挙において、1992年の参院選比例区で日本新党候補として第1位と第2位でそれぞれ当選していた細川護熙小池百合子が衆院選立候補のために失職したが、松崎は除名によって比例名簿から除外されていたため、名簿掲載第6位の小島慶三、第7位の円より子繰り上げ当選する。

行政訴訟 編集

松崎は、東京高等裁判所に、中央選挙管理会を相手方として、除名の無効を主張して、円の当選無効確認を求める行政訴訟を起こす(勝訴すれば、自身の繰り上げ当選となる)。

1994年11月29日、第1審の東京高等裁判所は、除名手続による名簿除外が違法として、円の繰り上げ当選の無効(松崎の繰り上げ当選)を認める判決を下した。これに対し、中央選挙管理会は上告

上告審では、1995年5月25日最高裁判所が、除名処分を合法とし、円の繰り上げ当選を有効とする判決がなされ、確定した。

判決後 編集

日本新党はその後、1994年に非自民勢力結集として新進党の結党に参加。しかし、1997年に新進党は解党し、非自民勢力は民主党へ結集された。

松崎は、2003年に民主党候補として衆院選で当選。松崎の当選時、訴訟で松崎から議席の明け渡しを要求された円は、民主党議員であり、役職は副代表であった。

関連項目 編集