月宮殿
月宮殿(げっきゅうでん、がっきゅうでん)または月宮(げっきゅう)、広寒宮(こうかんきゅう)、広寒府(こうかんふ)、蟾宮(せんきゅう)、月府(げっふ)は、伝説に登場する月にあるとされる宮殿。日本風のよみをして月の都(つきのみやこ)、月の宮(つきのみや)などとも呼ばれる。
概要
編集中国の伝説では、宮殿があり、そこには不老不死の薬を飲んだあと月へと逃げかくれた嫦娥(じょうが)が住んでいるとされる。また巨大な桂の木が生えているともされ、そこでは罰として月宮殿へ流された呉剛(ごこう)という人物が永遠にその木(月桂、げっけい)を伐っているとされている[1]。月桂は沙悟浄の持つ得物「降妖宝杖」の素材でもある。
仏教では、月宮殿の対として日宮殿(太陽)が存在しており、須弥山を中心とした世界観に登場している。日宮殿は縦横の広さが51由旬、月宮殿は49由旬あるとされる[2]。
月宮殿の登場する作品
編集- 『月宮殿』・『鶴亀』(つるかめ)
- 能。祝儀的な内容の曲である。この作品に取材した長唄『鶴亀』(作曲・10代目杵屋六左衛門)も存在する。
- 『羽衣』(はごろも)
- 能。天女が通常は月宮殿で舞をつとめているという設定。
- 『月宮殿』
- 落語。地上へ墜落した雷神などが登場する。ウナギをつかまえようとして浮かび上がり月にたどりつく内容。『月宮殿星都(げっきゅうでん ほしのみやこ)』とも。二世曽呂利新左衛門の口演[3]などがある。
- 『西遊記』
- 猪八戒が天蓬元帥と名乗っていたころ酔って広寒宮で嫦娥(月を支配する女神)に言い寄り、その罪で地上に落とされた。
- 『旨趣向棚牡丹餅』(1794年)
- 樹下石上による絵草紙作品。挿絵中に月宮殿が遊里(吉原)に見立てて描かれている。