木ノ下歌舞伎(きのしたかぶき)は、木ノ下裕一が主宰する、歴史的な文脈を踏まえつつ、現代における歌舞伎演目上演の可能性を発信する団体。演出家を固定しないスタイルで、京都を中心に活動を展開する[1]

概要・来歴

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2006年旗揚げ。あらゆる視点から歌舞伎にアプローチするため、主宰の木ノ下裕一が指針を示し、さまざまな演出家による作品を上演するスタイルで活動する。

2021年6月現在、メンバーは5名[2]。2006年5月の旗揚げ公演『yotsuya-kaidan』から、2017年5月『東海道四谷怪談―通し上演―』(再演)まで、演出家・舞台美術家杉原邦生が所属し、メンバーとして多くの作品に携わった[3]。これまで参加した演出家は、杉原のほか、きたまり、白神ももこ、多田淳之介糸井幸之介(登場順)。

2013年、急な坂スタジオプロデュース『黒塚』(演出:杉原邦生)でCorich 舞台芸術まつり!2013春 グランプリを受賞[4]。同年、『三番叟』(演出:杉原邦生)『娘道成寺』(演出:きたまり)チリ公演で初の海外公演を実施したほか、京都国際舞台芸術祭〈KYOTO EXPERIMENT〉2013にて『木ノ下歌舞伎ミュージアム“SAMBASO”~バババっとわかる三番叟~』(総合演出:杉原邦生)を、フェスティバル/トーキョー13にて『東海道四谷怪談―通し上演―』(演出:杉原邦生)を上演した。

2014年、京都国際舞台芸術祭〈KYOTO EXPERIMENT〉2014にて『三人吉三』(演出:杉原邦生)を上演。翌2015年の再演では読売演劇大賞上半期作品賞にノミネートされた[5]

2016年、『黒塚』のフランスパリ公演を実施。同年、京都国際舞台芸術祭〈KYOTO EXPERIMENT〉2016および、信州・まつもと大歌舞伎関連事業にて『勧進帳』(演出:杉原邦生)を上演した[6]

2018年、信州・まつもと大歌舞伎関連事業として『三番叟』『娘道成寺』を上演。同年、パリ・ポンピドゥー・センターにて、ジャポニスム2018「現代演劇シリーズ」として『勧進帳』を上演した[7]

2019年、ロームシアター京都にて、「レパートリーの創造」として『糸井版 摂州合邦辻』(演出:糸井幸之介)を上演[8]。同作は2020年に再演された。

2021年、信州・まつもと大歌舞伎関連事業として『義経千本桜―渡海屋・大物浦―』(演出:多田淳之介)を上演。

そのほか、主な作品に『夏祭浪花鑑』(演出:白神ももこ)、『義経千本桜』(総合演出:多田淳之介/演出:多田淳之介、白神ももこ、杉原邦生)、『心中天の網島』(演出:糸井幸之介)など。

受賞歴

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  • 2013年『黒塚』Corich 舞台芸術まつり!2013春 グランプリ
  • 2015年『三人吉三』読売演劇大賞上半期作品賞ノミネート
  • 2016年 平成28年度文化庁芸術祭新人賞(木ノ下裕一)/『勧進帳』の成果により[9]
  • 2023年 令和5年度和歌山県文化奨励賞(木ノ下裕一)[10]

公演

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  • 『四・谷・怪・談』—鶴屋南北『東海道四谷怪談』三幕目(俗に髪梳きの場)より―
    • 演出・補綴:木ノ下裕一
    • 2006年10月 アトリエ劇研(京都)
  • 『テラコヤ』—竹田出雲ほか『菅原伝授手習鑑』八幕目(俗に寺子屋)より―
    • 演出・美術:杉原邦生 補綴・原案:木ノ下裕一
    • 2007年4月 アトリエ劇研(京都)
  • 三番叟
    • 監修:木ノ下裕一 演出:杉原邦生
    • 初演|2008年5月 アトリエ劇研(京都)/8月 こまばアゴラ劇場(東京)
    • 再演|2012年2月 横浜にぎわい座 のげシャーレ(横浜)
    • 三演|2013年6月 Centro Cultural Gabriela Mistral(チリ)
  • 娘道成寺
    • 監修:木ノ下裕一 演出・振付・出演:きたまり
    • 初演|2008年5月 アトリエ劇研(京都)/8月 こまばアゴラ劇場(東京)
    • 再演|2012年2月 横浜にぎわい座 のげシャーレ(横浜)
    • 三演|2013年6月 Centro Cultural Gabriela Mistral(チリ)
  • 菅専助 ―見知らぬ作家―vol.1『摂州合邦辻
    • 補綴・演出:木ノ下裕一
    • 2008年12月 アトリエ劇研(京都)
  • 菅専助 ―見知らぬ作家―vol.2『桂川連理柵』
    • 補綴・演出:木ノ下裕一
    • 2009年6月 アトリエ劇研(京都)
  • 菅専助 ―見知らぬ作家―vol.2『伊達娘恋緋鹿子
    • 補綴・演出:木ノ下裕一
    • 2009年11~12月 アトリエ劇研(京都)・シアターグリーン(東京)
  • 京都×横浜プロジェクト2010『勧進帳
    • 監修・補綴:木ノ下裕一 演出・美術:杉原邦生
    • 2010年5月 STスポット(横浜)・アトリエ劇研(京都)
  • 俊寛
    • 作:近松門左衛門 演出:木ノ下裕一
    • 2010年10月 アトリエ劇研(京都)[11]
  • 京都×横浜プロジェクト2011『夏祭浪花鑑
    • 監修・補綴:木ノ下裕一 演出:白神ももこ
    • 2011年12月 アトリエ劇研(京都)・STスポット(横浜)
  • 京都×横浜プロジェクト2012『義経千本桜
    • 作:竹田出雲、三好松洛、並木千柳 監修・補綴:木ノ下裕一 総合演出・演出:多田淳之介 演出:白神ももこ、杉原邦生
    • 2012年7月 京都芸術劇場 春秋座(京都)・横浜にぎわい座 芸能ホール(横浜)
  • 黒塚
  • 『木ノ下歌舞伎ミュージアム“SAMBASO”~バババっとわかる三番叟~』
    • 監修:木ノ下裕一 総合演出:杉原邦生 特別出演:茂山童司(現・三世茂山千之丞)
    • 2013年10月 京都芸術劇場 春秋座(京都)
  • 東海道四谷怪談―通し上演―』
    • 作:鶴屋南北 監修・補綴:木ノ下裕一 演出:杉原邦生
    • 初演|2013年11月 あうるすぽっと(東京)
    • 再演|2017年5月 京都芸術劇場 春秋座(京都)・あうるすぽっと(東京)
  • 三人吉三
    • 作:河竹黙阿弥 監修・補綴:木ノ下裕一 演出・美術:杉原邦生
    • 初演|2014年10月 京都芸術劇場 春秋座(京都)
    • 再演|2015年6月 東京芸術劇場 シアターウエスト(東京)
  • 心中天の網島
    • 作:近松門左衛門 監修・補綴:木ノ下裕一 演出・作詞・音楽:糸井幸之介
    • 2015年9~10月 アトリエ劇研(京都)・こまばアゴラ劇場(東京)
  • 『義経千本桜―渡海屋・大物浦―』
  • 『勧進帳』リクリエーション版
  • 隅田川
    • 監修・補綴・共同演出:木ノ下裕一 共同演出・美術:杉原邦生 振付・出演・共同演出:白神ももこ
    • 2017年1月 こまばアゴラ劇場(東京)・アトリエ劇研(京都)
  • 『娘道成寺』リクリエーション版
    • 監修:木ノ下裕一 演出・振付・出演:きたまり
    • 初演|2017年1月 こまばアゴラ劇場(東京)・アトリエ劇研(京都)
    • 再演|2018年6月 まつもと市民芸術館 小ホール(松本)
    • 三演|2019年12月 京都芸術劇場 春秋座(京都)※長唄生演奏
  • ロームシアター京都 レパートリー作品『心中天の網島―2017リクリエーション版―』
    • 作:近松門左衛門 監修・補綴:木ノ下裕一 演出・作詞・音楽:糸井幸之介
    • 2017年10~11月 ロームシアター京都 ノースホール(京都)・三重県文化会館 小ホール(三重)・四国学院大学 ノトススタジオ(香川)・メディキット県民文化センター[宮崎県立芸術劇場]イベントホール(宮崎)・横浜にぎわい座 のげシャーレ(横浜)
  • 『三番叟』リクリエーション版
    • 監修:木ノ下裕一 演出・美術:杉原邦生 振付:北尾亘
    • 2018年6月 まつもと市民芸術館 小ホール(松本)
  • ロームシアター京都レパートリー作品『糸井版 摂州合邦辻
    • 作:菅専助・若竹笛躬 監修・補綴・上演台本:木ノ下裕一 上演台本・演出・音楽:糸井幸之介
    • 初演|2019年2~3月 ロームシアター京都 サウスホール(京都)・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール(豊橋)・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ(横浜)
    • 再演|2020年10~11月 あうるすぽっと(東京)・ロームシアター京都 サウスホール(京都)
  • 桜姫東文章
    • 作:鶴屋南北 監修・補綴:木ノ下裕一 脚本・演出:糸井幸之介
    • 初演|2023年2月 あうるすぽっと(京都)・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール(豊橋)・ロームシアター京都 サウスホール(京都)・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場(新潟)・久留米シティプラザ 久留米座(久留米)
  • 三人吉三廓初買
    • 作:河竹黙阿弥 監修・補綴:木ノ下裕一 演出:杉原邦生
    • 2024年9〜10月 東京芸術劇場 プレイハウス(東京)・まつもと市民芸術館 主ホール(松本)・三重県文化会館 中ホール(三重)・兵庫県芸術文化センター 阪急 中ホール(兵庫)

脚注

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  1. ^ Inc, Natasha. “木ノ下歌舞伎”. ステージナタリー. 2021年6月5日閲覧。
  2. ^ 木ノ下歌舞伎とは – 木ノ下歌舞伎 official website”. kinoshita-kabuki.org. 2021年6月5日閲覧。
  3. ^ プロフィール | KUNIO official website”. 2021年6月11日閲覧。
  4. ^ CoRich舞台芸術まつり!2013春[各団体の評価 | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!]”. CoRich舞台芸術!. 2021年6月5日閲覧。
  5. ^ 【三人吉三|ご報告】読売演劇大賞上半期作品賞にノミネートされました。 – 木ノ下歌舞伎 official website”. kinoshita-kabuki.org. 2021年6月5日閲覧。
  6. ^ 信州・まつもと大歌舞伎関連事業 木ノ下歌舞伎『勧進帳』”. NaganoArt+. 2021年6月5日閲覧。
  7. ^ 現代演劇シリーズ―木ノ下裕一監修・補綴 杉原邦生演出・美術 木ノ下歌舞伎『勧進帳』 | ジャポニスム2018”. 2021年6月5日閲覧。
  8. ^ 2019年度ロームシアター京都 レパートリーの創造 木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻」”. 2019年度ロームシアター京都 レパートリーの創造 木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻」. 2021年6月5日閲覧。
  9. ^ 平成28年度(第71回)文化庁芸術祭賞受賞一覧(参加公演)”. 2021年6月5日閲覧。
  10. ^ 和歌山県文化表彰”. 和歌山県. 2024年1月16日閲覧。
  11. ^ 公演記録(関西)2010年”. www17.plala.or.jp. 2021年6月5日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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