桑木 務(くわき つとむ、1913年6月25日 - 2000年2月15日)は、日本の哲学者

来歴 編集

福岡県遠賀郡戸畑町(現・北九州市戸畑区)に科学史家の桑木彧雄の子として生まれる。カント学者の桑木厳翼は伯父。1931年福岡県中学修猷館[1]を経て、1934年旧制福岡高等学校文科甲類[2]を卒業。旧制福岡高等学校時代、滝沢克己にギリシア語を習う。九州帝国大学文学部哲学科に進学し、鹿子木員信矢崎美盛らに学び、1937年卒業、1938年同大学の助手となる。

1939年日独交換留学生としてドイツに留学、マルティン・ハイデッガーに学ぶ。ほどなく第二次世界大戦が始まり、1941年にフィンランドヘルシンキ大学日本学講座客員教授となり、1944年帰国。戦後は共立女子大学教授、中央大学教授を務めた。

1986年勲三等瑞宝章を受章。翻訳した岩波文庫版『存在と時間』は約半世紀にわたり読まれた。

孫は桑木晋

著書 編集

  • 大学の理念 小峰書店 1953
  • 倫理学初歩 創元社・選書 1953
  • 哲学の世界 学芸書房 1954
  • 学生と思索 河出新書 1955
  • 大戦下の欧州留学生活 ある日独交換学生の回想 中公新書 1981
  • ヨーロッパの哲学者たち 哲学と医学の接点 北樹出版 1989
  • 哲学するこころみ(編著)北樹出版 1993
  • 終戦あと始末 愛文書林 2001 私家版

翻訳 編集

脚注 編集

  1. ^ 『修猷館同窓会名簿 修猷館235年記念』(修猷館同窓会、2020年)同窓会員25頁
  2. ^ 『福岡高等学校一覧 第19年度(自昭和15年4月至昭和16年3月)』(福岡高等学校編、1941年)182頁