歯垢(しこう)とは一般に表面に付着した黄白色を帯びた粘着性の微生物叢を指す。食事の後8時間で食べかすの中で細菌が増殖して歯垢になる。歯との接触面は獲得被膜(ペリクル)と呼ばれる被膜で覆われており、歯垢はその上に形成される。デンタルプラーク (Dental plaque)、また単にプラーク歯糞歯屎(はくそ)、歯滓(はかす)、バイオフィルムとも。歯垢は歯磨きで除去出来る。歯垢が石灰化すると歯石となる[1]

歯垢の一例。歯と歯肉との境の黄色い部分が歯垢である。

概要編集

歯垢
歯垢は、有機質成分の約70%は微生物である。有機質の大半は、細菌(口腔常在菌)とその代謝物であり、口腔内の清掃状態によって細菌が変化し、歯周病う蝕など様々な疾患の原因となる他、口臭等を誘発する事が知られている。
口腔内の歯垢の分布は、歯垢染色剤によって容易に調べることができる。
歯石
歯垢が石灰化して、歯表面に張り付いたものを歯石と呼ぶ。歯垢の間は歯ブラシデンタルフロスなどによる口腔清掃によって大部分を除去できるが、歯石となると歯科医院等でなければ取ることは難しい。歯垢についても、日常的な口腔清掃で全てを除去することは不可能である。
除去しにくい部位(特に歯の噛み合わせの面、歯と歯の間の面、歯と歯茎の間)は、歯垢が蓄積した結果う蝕歯周病の好発部位となるので、歯科医院でPMTCを定期的に行うのが望ましい。

細菌編集

歯垢の細菌は、その時期により大きく変わる。歯垢付着直後は通性嫌気性菌が多いが、成熟するにつれ、偏性嫌気性菌が増加する。

歯垢の細菌については「口腔細菌学口腔微生物学)」を参照。

う蝕編集

歯垢の増加はう蝕(虫歯)の大きな要因となる。食事を摂取後、しばらくの間、歯垢のpH(水素イオン指数、溶水の酸性、アルカリ製の程度)は歯の脱灰の臨界pH(一般に5.5前後とされるが、歯の石灰化度により大きく変動する)を下回る。これは歯垢を構成するう蝕原因菌が食料の糖質代謝により酸に変えるためであり、産生された酸により歯が脱灰され、う蝕となる。なお、このpHは唾液の作用により数十分後には臨界pHを上回る。これを再石灰化という。

歯周病編集

歯垢の増加は歯周病の大きな要因ともなる。歯周病は大きく歯肉炎の段階と歯周炎の段階に分けられるが、数日歯を磨かないと歯垢がたまって容易に歯肉に炎症が起きる。この段階で口腔内を清潔にすると歯肉炎は治癒する。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ 歯垢(しこう)と歯石(しせき)の違いって? アパガード 2021年7月28日閲覧。

関連項目編集