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洗車の一例(自走式)
洗車の一例(機械式)

洗車(せんしゃ)とは、自動車の外装及び内装を洗浄すること。

作業に関しては、自動車のユーザー自身が実施する場合と、専門店等の業者に依頼する場合とで2つに大別できる。

目次

概要編集

自動車は使用に伴い、空気中の埃や土砂等によって外装が次第に汚損してくる。また内装についても、車内に取りこまれる外気中のチリや埃等により汚損してくる。これら汚損を取り除き、内外装の美化を保つ為に行う行為を「洗車」と言う。

洗車を実施するタイミングは、その所有者や使用者(=ユーザー)が判断するものであり明確な基準は存在しない。但し汚損が激しいと車体の骨格等の腐食等が懸念されるので、安全上の理由から自動車メーカーの殆どが定期的な洗車を推奨している。

洗車の方法には幾つかの種類があるが、その作業を自動車のユーザー自身が行う場合と、ガソリンスタンドや専門店等の業者に依頼する場合とで2つに大別できる。またその作業内容は、主に人間の手作業による方法、主に機械に作業を任せる方法の2つに大別できる。

ここでは、洗車の必要性から汚損の内容、具体的洗車方法まで、広義に述べる。

洗車の必要性編集

洗車実施のタイミング編集

前述の通り、洗車を実施するタイミング、つまり「どこまで汚れたら洗車をするべきか」という判断は、ユーザーが決定するものであり、明確な判断基準というものは存在しない。但し、汚損が進行すると車の外板(外装ボディパネル)や骨格、その他機械可動部分等に錆等の腐食が発生・進行したり、また堆積した汚れによって自動車各部の異常の発見が遅れる事等が懸念される。その為、自動車の適正保全や安全上の理由から、自動車メーカーの殆どが定期的な洗車を奨励しており、多くの場合自動車の取扱説明書にその方法が記載されている。また、定期点検や車検点検時には下回り等の洗車が法令により求められているが、これは故障や不具合(或いは不正)の確認に支障をきたす事がないようにする為である。また日本では、修理や定期点検等でカーディーラー等に車を預けた際に簡易的な洗車が為されて返却される場合が多く、その場合殆どが無償のサービスである。

洗車のタイミングや頻度は地域や文化(国や地方)によって異なると言われている。例えば世界中で、洗車が実施されている割合が高く且つ頻度も高い国は日本であると言われている。その背景には、日本は年間の降雨・雪日数が比較的多く汚損し易い事や、自動車そのものが所有者の豊かさの象徴であり、見栄や世間体から綺麗さを保つ傾向が強いのではないか、という事等があると考えられている。また、地域による洗車タイミングや方法の違いとして例えば日本であれば、降雪地帯では雪による汚損が激しく、また路上に散布される凍結防止剤や融雪剤が車体に与える影響(腐食し易い)等を考慮し、特に下部(=足回り・車体裏側)の洗浄を重点的に実施したりする。

汚損編集

汚損の種類編集

殆どの自動車は屋外で使用される為、その外装は空気中の様々な物質により汚損してくる(屋外に駐停車しているだけでも影響を受ける)。また、内装についても空気中の様々な物質や、搭乗者が乗車の際に車外から持ち込んでくる土砂等により汚損してくる。

汚損する要因となる物質の具体例を以下に挙げる。

  • 外装
チリ・埃、土砂(黄砂等を含む)、降雨の水滴、他車或いは自車の排気ガスや油脂類等の排出物等、鳥類の糞、虫類の死骸、樹液、積み荷から出る成分、鉄道施設や工場施設等から出る鉄粉、その他大気を汚染している様々な成分、等
  • 内装
チリ・埃、搭乗者が乗車時に車外から持ち込む土砂や降雨の水滴、他車或いは自車の排気ガスや油脂類等の排出物等、室内の積み荷から出る成分、食べ物のカス、一般ゴミ、シートやクッションからでる埃、等

汚損の回避編集

屋外を走行する以上、汚損を完全に防ぐ事は出来ないが、以下の様な方法で少しでも汚損の程度を抑える事は可能である。

  • 砂利道等の走行を避ける
他車や自車のタイヤで巻き上げた土砂による汚損を回避する。同様に土砂を積載したダンプカー等の直後を走行しないという事も方法の一つである。
  • 排気ガスが濃いと思われる車両の後ろを走行しない
特にトラックやバスや旧車等は、排気ガスの中に汚損に繋がる物質が多く含まれている確率が比較的高いので、直後を走行する事を避けるという方法がある。
  • 雨天走行をしない
汚損の中でも雨天による影響は大きいので、そもそも雨天時には走行しないという方法がある。因みにスーパーカーやビンテージカーの場合は、オーナーが「雨天時には他の車(汚損しても良いと思う車)を使用する」というケースがある。
  • 屋内に駐車する
保管する場所を屋外から屋内にする事で、降雨による水滴跡等を回避する事ができる。また完全屋内車庫(シャッター等により全面が外気と隔たれる空間)の場合は、空気中の埃等による汚損も低減される見込みがある。尚、屋外駐車であっても、ボディーカバー等を使用する事で、汚損の大半を防ぐ事は可能である(但しボディーカバーそのものの「擦れ」等により傷が付く可能性もある)。
尚、長期的な観点では、太陽光は塗装に対する攻撃性がある為、直射日光を受けにくい場所に駐車する事も汚損(劣化)回避の手段の一つである。
  • 駐車場所を変える
鉄道線路の傍は、空気中に鉄粉が多く飛散している場合が多くボディーに付着し易い。また樹木の下は樹液や鳥類の糞が降ってくるリスクが高い。これらを回避する為、駐停車場所を変える(選ぶ)事も方法の一つである。

また、汚損した状態を長く放置すると、付着していた汚れが変質しボディーにこびり付く(最悪の場合腐食させたりする)事等が事も考えられるので、定期的な洗車というものは「根本的な汚損の回避」の一つの手段でもある。

塗装の損傷編集

自動車の内外装は単なる汚損ではなく、損傷(或いは劣化)している事もある。特に外装(ボディー)は殆どの場合金属の上に塗装が施してある為、一見「傷」には強そうであるが、実のところ塗装膜は些細な事で傷が付き易い。

勿論、自動車を通常に使用している限り目立った傷が突然付く事は無いが、細かい傷(ボディー表面を子細に観察すると目視可能なレベルの傷)は、いとも簡単に付いてしまう。例えば外装に薄らと埃が付着した状態で手の平で撫でただけでも傷が付くし、衣服のチャックやボタンが擦れただけでも傷が付いてしまう場合が殆どである。(極端な話、厳密に言えば、自動車は塗装を終えて工場を出た瞬間からミクロレベルの傷が付き始めていると言っても過言では無い。) 更には、洗車によっても傷が付く可能性は高いので、傷が付く程度を少しでも減らしたい場合は、幾つかの注意を払いながら作業を進める必要がある(但し、塗料や塗装技術及び保護材等の技術の進歩により、それらの耐性そのものが進歩してきているので、細かな傷がつく可能性は僅かずつではあるが低下しつつある)。

因みに、これらの細かい傷は遠目からでは視認する事は難しいが、車体に近づき、光源(太陽や明るい照明)をボディーに写りこませた状態で、光源とは反対からボディーを観察すると容易に確認出来る。 特に、光源を中心に円を描く様に確認できる傷は、主に洗車時に微細な埃や土砂を含んだ状態でワックスがけ等を行った時に出来た物の可能性が高く、一方、光源に対して線状に確認できる傷は、主に、微細な埃や土砂を含んだ状態で車体を布類で拭いた際にできた可能性が高い。また、機械式洗車(主にガソリンスタンド等に設置されている、門型の洗車機)を利用した際には円状と線状の両方の傷が付きやすい(昨今の洗車機は、この傷を付けにくくする工夫が施されている場合が多い)。

洗車方法の選択編集

洗車を実施するには、まず「ユーザー自身で実施する」のか、「ガソリンスタンドや専門店等の業者に依頼する」のか、どちらかを選択する事になる。 何れの場合でも、その作業内容は「人間の手を使う方法(=手洗い洗車)」か、「主に機械に任せる方法(=機械洗車)」かで大別できるが、双方にはそれぞれ長所短所があり、洗車を希望する者がどちらを選択する事になる。但し大まかなステップとしてはどの洗車方法も同じで、初めに付着した汚損を落とす事であり、次に必要に応じてその後の汚損を少しでも少なくする様な処置を施す事である。

洗車場所編集

 
洗車用品の自販機

対象自動車を保管している場所(自家用車であれば自宅駐車場や月極駐車場等、企業保有車であれば企業敷地内の駐車場等)等で実施する他、以下の様な場所で実施する事も出来る。

洗車機を用いた機械洗車、作業員による手洗い洗車等がある。ただし洗車機がない店舗や、洗車そのものを受け付けていない店舗もある。
多くの場合、車が数台~数十台停められる敷地に、幾つかの洗車ブースが仕切られ、そのブースの中で高圧洗浄機や洗車機、または大型掃除機等を用いて作業が出来るようになっている。
それら機械は有料で、料金をその機械で支払う事で、定められた時間(回数)内で使用する事が出来るものが大半である。中には洗車場の敷地に入場する時に入場料を支払う事で、中の機械を使い放題にしている洗車場も存在する。
  • 洗車専門店
比較的本格的な洗車を希望するユーザーを対象に営業している専門店。汚損の洗浄に始まり、ボディのコーティング作業等も実施している店舗が多い。
作業内容は店舗やコース等によって多種多様であり、数百円の費用で数分で終了するものから、十万円以上の費用で複数日に渡って預かり作業をするものまで、幅広く存在する。
また、商業施設(デパート等)やホテルの駐車場や公共駐車場等に作業スペースを設け、ユーザーがそれら駐車場に車を停めている間、洗車を実施する専門店もある。
カー用品店の中には、洗車を受け付けている店舗もあり、その場合、敷地内に本格的な洗車設備を備えている事が多い。
新車・中古車の納車時や、車検整備や一般整備実施後のサービス等を目的に洗車をする機会が多い為、規模の違いはあるが洗車設備を備えている店舗が多い。
カーディーラー同様、整備実施後のサービス等を目的に、洗車設備を備えている店舗がある。
洗車用品を積んだバイクや車でユーザー宅へ訪問し、車を停めているその場で洗車を実施する業態もある。多くの場合は定期的な出張を長期契約する事ができる。

具体的洗車手順編集

外装洗車の手順(手洗い)編集

極めてシンプルな洗車方法としては、ボディに水をかけスポンジ等で汚れを拭い、水で流し、布で拭き取るという工程になる。しかし、その方法だと洗浄が不十分な為、逆に汚損を悪化させたり、汚れを拭き伸ばす事でボディに傷を付けたりするリスクが高く、長期的な観点ではかえって車の汚損の程度を悪化させる事に繋がりかねない。

そこで、上記リスクをなるべく低減させる事を前提に、一般家庭に於ける自家用車の洗車方法として、多くの専門書及び自動車専門誌等で論じられている一般的な洗車方法を、以下に記載する。

※但し、作業方法によっては一部が省略・追加されたり、順番が前後したりする場合がある
※各種溶剤(=洗浄剤)やワックス・コーティング剤等の保護剤等の使用(=作業)に際しては、それらの説明書きに従うこと

汚損の洗浄編集

  • 下準備として、流水(水やぬるま湯)を用いてボディ表面に付着した埃・土砂等の汚れを落とす(これを怠ると、ボディ表面に沢山の汚れが付着したままの状態になり、洗車を進めてもかえってボディ表面に細かな傷を付けてしまうことに繋がりかねない)。
  • タイヤハウス内の足回りやボディ下部、マフラー付近等には、比較的しつこい汚れが付着している場合が多いので、圧を高めた流水(ホース断面を指で潰す等)で忘れずに洗い流す。
  • ホイールにはブレーキダスト(パッドから出たカス)等のしつこい汚れが付着しているので、専用の洗浄液やブラシ等を用いて落とす。(ボディ表面についた汚れよりもしつこい汚れであるケースが多いので、次工程であるボディ表面のシャンプー洗浄よりも先んじて行い、万一ホイール洗浄中にブレーキダストを含んだ泡等がボディ表面に付着してしまっても問題が無いようにする)
  • ボディ表面の汚れを、専用の洗浄液(カーシャンプー)を用いて洗い落とす。作業には専用のスポンジやモップ等を使用する。このとき、ボディパーツの隙間やワイパーブレードの停止位置等、汚れが溜まり易い箇所の洗浄も忘れずに行う(ドア・トランク・ボンネット・給油口等の開口部に入り込んだ汚れもなるべく落とす事を忘れずに行う)。
  • ボディ全体にシャンプー成分が残る事のないよう、流水を用いてよく洗い流す。
  • ボディ表面の水分を拭き取る(ボディーパーツの隙間、ドアミラーの隙間、ドア等の開口部に水滴が残る事のない様に注意する)。

表面の保護編集

  • 専用のワックスやコーティング剤等を用いてボディ表面の保護を行う。施工手順は説明書きに従う。
  • 一部を除き、ワックスやコーティング剤は塗布後に暫く放置し乾燥させ、その後柔らかい布等で拭き取る必要がある。拭き取りの仕方次第で洗車の仕上がりは異なってくるので、拭き取り残しやムラ等が出来ないように留意する。

その他編集

  • ボディ表面に付着したザラツキのうち、流水で流しても落ちないザラツキの多くは、空気中の鉄粉等によるものが多い。シャンプー洗浄の後に専用の粘土を用いることで、ある程度除去する事ができる。
  • ワックスやコーティング剤の中には、ボディ表面に水滴が残っている状態で施工が可能な商品もある。
  • 塗装表面が劣化(塗膜の弱体化、ボディの錆等)している場合は、劣化を進行させる事のないよう留意する。
  • バンパーやグリル、タイヤ等の樹脂・ゴム部分には、専用の保護材が市販されており、任意で使用する。
  • 洗車専門店等でコーティングを施工された車体は、単に水洗いで(若しくはコーティング車専用のカーシャンプーを用いて)洗浄をすれば、日頃の維持が可能である。但し、コーティングの性能を持続させる事を目的に、コーティング施工面にワックス等を上塗りする事を推奨している施工店もある。

外装洗車の手順(機械式)編集

機械式洗車機の動きの一例を以下に記載する。洗車機の形状は殆どが門型で、機械の操作は設備を備える店舗の従業員が行う事が多い。 (ただし「セルフ洗車」と呼ばれる方式では、洗車機への車の移動、洗車コースの選択と料金の支払い等、その全行程或いは一部をユーザー自身が行う事になる)

  • 機械の中に車を停止させ、洗車機をスタートさせると、タイヤを載せたレールが動く事で、車が自動的に洗車機の中に引き込まれる(停止したままの場合もある)
  • ボディに水をかけ、その後シャンプー成分を含んだ水をかけながら、回転するスポンジブラシ(布や複合素材の場合もある)がボディ表面やホイール等を回転しながら擦り洗いをする。この間、洗車機自体は前後どちらかに(或いは往復で)動いており、車体の全体が洗浄される。
  • 選択したコースによっては、ワックス成分やコーティング成分が射出され、ボディ全体を覆う(洗浄成分と同時に射出される場合もある)。
  • 乾燥の為、洗車機から車体に向かった強力な風が吹きつけられ、水分が弾き飛ばされる(但しボディパーツの隙間や、ドア等の開口部の中には水分が残ってしまう場合が多い)。

内装掃除の手順編集

  • 下準備として、車内に積載されているフロアマットや、物品(用品)を全て車外に取り出し、掃除をし易くする。
  • 布製シートの場合は、座面や背面の埃を叩き出す(布団叩きの要領)。
  • 掃除機を用いて、埃や細かいゴミ(食べカス等)を除去する。その際、ハタキ等を用いてエアコン送風口やオーディオスイッチ等の細かな部分の埃も掻き出す。
  • ダッシュボード、インパネ周辺、ハンドル、センターコンソール、ドア、バックミラー等、あらゆる部分(ガラス以外)を水拭きする(しつこい汚れは洗浄剤を用いて除去する)。
  • 車外でフロアマットの埃を除去する(しつこい汚れは水や洗浄剤を用いて除去する)。
  • ガラスを水拭きする(しつこい汚れは洗浄剤を用いて除去する。ガラスの汚れは目立ち易いが、掃除中に舞った埃等がガラスに付着しても、工程の最後に拭く事で目立ちにくくなる)。

洗車用品編集

洗車に用いる用品は、多数のメーカーから様々な商品が販売されている。購入先は自動車用品店(量販店)が一般的であるが、一部ガソリンスタンドやカーディーラーでも取り扱っている事が多い。また、コイン洗車場の中でも販売されている事が多く、中には飲料用自動販売機を改造し、洗車用品が購入できるようにされている事もある。

洗車用品の種類編集

  • ホース
  • バケツ
  • カーシャンプー
  • スポンジ・モップ
  • ホイール洗浄剤
  • タイヤ・ホイール用ブラシ
  • 水分拭取り用タオル
  • 水分除去用ハンドワイパー
  • 鉄粉除去用粘土(トラップ粘土)
  • 下地調整用溶剤(水垢落とし溶剤等)
  • 下地調整用溶剤(カー・コンパウンド等)
  • カーワックス
  • コーティング剤
  • ワックス・コーティング塗布用スポンジ
  • ワックス・コーティング用拭取り布
  • タイヤ・プラスチック部品等の保護剤
  • ガラス洗浄剤


洗車検定(日本洗車能力検定)編集

日本自動車洗車協会が主催している洗車技術に特化した資格。

洗車を覚えたい一般の方から自動車販売店やディーラーに努めているプロの方まで幅広く洗車技術が習得できる。

洗車は、個人の感覚でそれぞれ違ったやり方をすることが多く、間違って車を傷つけてしまう人が多い。

一度基本をしっかり学ぶとその後ずっと使える技術となるため今後の洗車技術の向上に役立つ。

洗車検定の種類編集

  • 洗車検定1級
  • 洗車検定2級
  • 洗車検定3級


関連項目編集