サクラソウ属(サクラソウぞく、学名:Primula)は、サクラソウ科に属する植物の一群である。花が美しいものが多く、栽培種が多数含まれる。

サクラソウ属
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Agiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
: ツツジ目 Ericales
: サクラソウ科 Primulaceae
: サクラソウ属 Primula
  • 本文参照

概要 編集

すべて多年草で、地下に根茎を持つ。は根出状に出て、柄があって丸っこい場合と、葉柄が不明瞭で楕円形の場合がある。花茎は葉の間から伸び出し、その先端に散形あるいは輪生状に花序をつける。には5裂したがあり、その中から筒状の花弁が出て、その先端は広がって大きく5つに割れる。雄蘂は5本で花弁の中にまとまる。特筆すべき点としては、異形花柱性が挙げられる。これは、同じ種でも個体により花柱(雌蕊の付いている部分)が雄蕊より短く、花筒内に隠れるものと、逆に花柱が雄蕊より長く、開口部まで伸びるものがあるということである(自家不和合性 (植物)の記事でP.vulgarisにおける例を写真で見ることができる)。これは、異なる花柱タイプ同士の受粉を容易にし、近親交配を避ける適応と考えられる。[1]なお、少なくともサクラソウ(P.sieboldii)においては長花柱花の方が短花柱花よりも自家和合性を持っている(つまり自家受粉でも種子を作ることができやすい)。[2]しかし、異型性が崩壊して雌蕊と雄蕊が同じ高さになり、自家受粉を行うものもある。これが種全体のレベルにまで達したものもある。[3]

北半球の温帯 - 寒帯を中心に約500種とも600種とも言われる[4]。花が美しいものが多く、観賞用に栽培されるものも多い。ヨーロッパにおいて園芸植物となったものはプリムラと総称される。日本ではサクラソウが江戸時代に古典園芸植物として発展し、多くの品種を擁する。

しかし、そのために乱獲されたものも多い。サクラソウの場合、生育環境の開発も大きな影響を持っている。クリンソウカッコソウなども乱獲によって絶滅に瀕している。他方、日本のそれ以外の種は高山植物がおおく、もともとの生育地が限定されており、いずれにせよ貴重な植物と見なされている。

主な種 編集

日本には以下のような種が知られている。

以下は、海外に産する種である。

日本の山に咲くサクラソウ属の花 編集

脚注 編集

  1. ^ 世界のプリムラ 世界のプリムラ編集委員会編 誠文堂新光社刊 2007年 P130-131 ISBN 978-4-416-40701-1 以下引用の場合著者名他は省略
  2. ^ 世界のプリムラ P187
  3. ^ 世界のプリムラ P185-186 ちなみに種全体が等花柱花のものとしては、同書ではP.egaliksensis,P.stricta,P.incana,P.cockburniana,P.sheriffae,P.verticillata,P.scotica,P.scandinavica,P.halleriが挙げられている
  4. ^ 世界のプリムラ では、最低430種以上と記述している(P2,P9,P130,P132)。むろんこれは控えめな数字である

2,3については、参考文献として サクラソウの目 第二版 鷲谷いづみ著 地人書館刊 2006年 ISBN 4-8052-0775-2 と サクラソウの分子遺伝生態学 鷲谷いづみ編 東京大学出版会刊 2006年 ISBN 978-4-13-066156-0 が挙げられている

関連項目 編集