ニギス科学名Argentinidae)は、ニギス目に所属する魚類の分類群の一つ。2属で構成され、ニギスカゴシマニギスなど深海魚を中心に2属23種が記載される[1]。学名はラテン語の「argentum()」に由来する[2]

ニギス科
Argentina silus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 原棘鰭上目 Protacanthopterygii
: ニギス目 Argentiniformes
亜目 : ニギス亜目 Argentinoidei
: ニギス科 Argentinidae
英名
Argentines
Herring smelts
下位分類
本文参照

分布・生態 編集

ニギス科の魚類はすべて海水魚で、太平洋インド洋大西洋など全世界の海に幅広く分布する[1]深海でまばらな群れを形成し、ゴカイ甲殻類などを捕食する[3]生物量は多く、ニギスなど一部の種類は食用魚として漁獲対象となるが[4]、多くは利用されることがない[3]

本科魚類の生態についてはほとんどわかっていないが、は浮性卵で仔魚は表層で生活することが知られ、成魚の寿命は20年以上に達すると考えられている[3]

形態 編集

 
カゴシマニギス属の化石種。左から個体発生の順に並んでいる

ニギス科の魚類はやや細長く円筒形で、イワシニシンに似た体型をもつ。最大種(Argentina silus)は体長70cmにまで成長するが、多くは30cm以下の小型魚類である[2][3]。体色は一般に銀白色を基調とし、斑紋や縞などの特徴的な模様はもたない[3]。眼は大きく、口はの先端に位置する[3]。同じニギス亜目に所属するデメニギス科ミクロストマ科とは、管状眼をもたないこと、中烏口骨をもつなどの特徴から鑑別される[1]

背鰭の起始部は腹鰭よりも前方にあり、鰭条は10-14本[1]に棘条はなく、臀鰭・胸鰭・腹鰭はそれぞれ10-17本・11-25本・10-15本の軟条で構成される[1]。胸鰭の基底は体の腹側寄りにある[2]。脂鰭をもち、臀鰭の真上に位置する[1]。後擬鎖骨・中烏口骨をもつ[1]。鰓条骨は4-6本で、椎骨は43-70個[1]

分類 編集

ニギス科にはNelson(2006)の体系において2属23種が認められている[1]。かつて本科に含まれていたギンサケイワシ属 Nansenia は、現在ではミクロストマ科に移されている[1]。本稿では、FishBaseに記載される2属27種についてリストする[2]

 
カゴシマニギス属の1種(Argentina elongata)。水深69-600mに分布する[2]
 
カゴシマニギス属の1種(Argentina sphyraena)。ヨーロッパ周辺の深海に生息し、最も古くから知られていたニギス類の一種である[2]
 
カゴシマニギス属の1種(Argentina striata)。大西洋西部から報告がある種類
 
カゴシマニギス属の1種(Argentina silus)。体長70cmに達する本科魚類中の最大種で、食用魚として利用される[2]

カゴシマニギス属 編集

ニギス属 編集

出典・脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j 『Fishes of the World Fourth Edition』 p.191
  2. ^ a b c d e f g Argentinidae”. FishBase. 2011年3月13日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 『海の動物百科2 魚類I』 pp.48-50
  4. ^ 『日本の海水魚』 p.96
  5. ^ 日本産魚類の追加種リスト”. 日本魚類学会. 2011年3月13日閲覧。

参考文献 編集

外部リンク 編集