ヒナノヒガサ(雛日傘[1]学名: Rickenella fibula、あるいはOmphalina fibulaは、ヒナノヒガサ属英語版 Rickenella に属す菌類の一種。毒キノコは非常に小さく、通常は直径1センチメートル未満である[2]。コケ類に寄生し、北半球に広く分布[3]

ヒナノヒガサ
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
: ハラタケ綱 Agaricomycetes
: タバコウロコタケ目 Hymenochaetales
: ヒナノヒガサ科 Repetobasidiaceae
: ヒナノヒガサ属 Rickenella
: ヒナノヒガサ R. fibula
学名
Rickenella fibula
(Bull.) Raithelh. (1973)
シノニム
  • Agaricus fibula Bull. (1784)
  • Omphalina fibula (Fr.) Quél. (1886)
和名
ヒナノヒガサ
ヒナノヒガサ
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菌類学的特性
子実層にひだあり

傘は湾生形

もしくは漏斗状
子実層は垂生形
柄には何も無い
胞子紋は
生態は腐生植物
食用:食用可能だがまずい
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形態・生態 編集

傘は0.3 - 1 cm で、半球形で中央が窪んでいる[3]。傘の色は橙黄色から橙色、放射状の条線がある[1][4]。ヒダは白色で疎、柄に垂生する[1][4]。肉は非常に薄い[1]。柄は3 - 5 cm、1 - 2ミリメートル (mm) で非常に細く[3]、傘と同じ橙色から橙黄色[1]。胞子紋は白色[3]

春から秋にかけて、人里近くの雑木林や針葉樹林で見られる[4]。各種林内や庭園の、特にコケの間に群生する[1]。傘を拡大して見ると、微細な毛であるシスチジアが生えている[1]。日本では夏から秋に発生し、7月の京都での発生事例がある。他に北海道[5]、東北地方[6]、石川県[7]

通常、他のキノコではシスチジア(微細な毛)の観察には顕微鏡が必要だが、このキノコでは虫眼鏡で観察できるほどの大きさの毛である[1]

毒性 編集

毒成分として、シロシビン類とゲネロミン類(細胞毒)を含むとされる[1]。幻覚成分であるシロシビンを含むキノコ類は、日本の麻薬及び向精神薬取締法における麻薬原料植物(菌類だが)として故意の所持・使用は規制されている[8]

しかし、小型でシロシビンの含有量が少ない[9]。研究者が抱く疑問には、成分が微量しか含まれないキノコはどういった扱いになるのかといったものがある[8]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i 長沢栄史監修 2009, p. 101.
  2. ^ Jean-Louis Lamaison, Grand guide encyclopédique des champignons.
  3. ^ a b c d トマス・レソェ 著、前川二太郎 訳『世界きのこ図鑑』新樹社〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005年、36頁。ISBN 4-7875-8540-1  DK handbook of mushrooms
  4. ^ a b c 牛島秀爾 2021, p. 99.
  5. ^ 高橋郁雄、本多政史『新版 北海道きのこ図鑑』(増補版)亜璃西社、2007年。ISBN 978-4-900541-72-6 
  6. ^ 工藤伸一、長澤栄史、手塚豊『東北きのこ図鑑』家の光協会、2009年。ISBN 978-4-259-56261-8 
  7. ^ 池田良幸『追補北陸のきのこ図鑑 付・石川県菌蕈集録』橋本確文堂、2014年。ISBN 978-4-89379-164-1 
  8. ^ a b 長沢栄史監修 2009, pp. 101, 269.
  9. ^ 新井文彦. “きのこの話 ヒナノヒガサ”. ほぼ日刊イトイ新聞. 2017年12月5日閲覧。

参考文献 編集

  • 牛島秀爾『道端から奥山まで採って食べて楽しむ菌活 きのこ図鑑』つり人社、2021年11月1日。ISBN 978-4-86447-382-8 
  • 長沢栄史監修 Gakken編『日本の毒きのこ』Gakken〈増補改訂フィールドベスト図鑑 13〉、2009年9月28日。ISBN 978-4-05-404263-6 

外部リンク 編集