ポリディクテュス科学名Pholidichthyidae)は、スズキ目に所属する魚類の分類群の一つ。本科のみでポリディクテュス亜目を構成し、西部太平洋熱帯域から1属2種が記載される[1]

ポリディクテュス科
Pholidichthys leucotaenia
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ポリディクテュス亜目 Pholidichthyoidei
: ポリディクテュス科 Pholidichthyidae
: ポリディクテュス属 Pholidichthys
英名
Convict blenny
下位分類
本文参照

分布・生態 編集

ポリディクテュス科は2種のみを含む小さなグループで、いずれもフィリピン南西端からソロモン諸島にかけての熱帯域に分布する海水魚である[1]。日本の近海からの報告はない。

Pholidichthys leucotaenia礁湖などサンゴ礁域で生活し、しばしば濃密な群れを形成する[2]。鮮やかで明瞭な斑紋をもち、観賞魚として利用されることもある[2]。一方、P. anguis1996年に記載された比較的新しいで、底生性とみられる以外の詳しいことはわかっていない[2]

コンビクトブレニー

形態 編集

ポリディクテュス科の仲間はウナギのように細長く、体表はをもたず滑らかである[1]。最大で全長34cmほどに成長する[1][2]鼻孔は1対で、仔魚は両眼の間に4つの付属腺を有する[1]

背鰭と臀鰭の基底は長く、それぞれ66-98本・49-81本[3]の軟条からなり、円い尾鰭と連続する[1]。腹鰭は胸鰭基底の直下かやや前方に位置し、1本のか細い棘条と2-3本の軟条で構成される[1]。胸鰭の鰭条は15本[1]。下咽頭骨は癒合して単一の骨となり、眼窩間領域に中隔骨が存在する[1]。副蝶形骨の上行突起を欠き、後翼状骨は大きい[4]椎骨は71-101個[1]

分類 編集

 
ポリディクテュス属の1種(Pholidichthys leucotaenia)。稚魚は有毒なトゲをもつゴンズイナマズ目)に擬態することが知られている[2]

ポリディクテュス科にはNelson(2006)の体系において1属2種が認められている[1]

本科魚類の形態学的特徴は他の複数の分類群と互いに共通するため、分類上の位置付けが極めて困難となっている[4]。これまでにギンポ亜目ベラ亜目ワニギス亜目などさまざまなグループに含められてきたが、Nelson(2006)の体系では本科のみからなる独立の亜目として分類されている[1]

  • ポリディクテュス属 Pholidichthys
    • Pholidichthys anguis
    • コンビクトブレニー Pholidichthys leucotaenia

出典・脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.409-410
  2. ^ a b c d e Pholidichthyidae”. FishBase. 2011年1月16日閲覧。
  3. ^ FishBaseはそれぞれ70-79本、55-62本としている。
  4. ^ a b 『Origin and Phylogenetic Interrelationships of Teleosts』 p.166

参考文献 編集

  • Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7
  • Joseph S. Nelson, Hans-Peter Schultze, Mark V. H. Wilson 『Origin and Phylogenetic Interrelationships of Teleosts』 Verlag Dr. Friedrich Pfeil 2010年 ISBN 978-3-89937-107-9

外部リンク 編集