球泉洞

熊本県球磨村にある鍾乳洞

球泉洞(きゅうせんどう)は、熊本県球磨郡球磨村の、球磨川沿いを走る国道219号・鎗倒しと呼ばれる岩壁の上[1]に立地する、権現山(標高694m)の地下にある鍾乳洞

球泉洞入り口
石の滝

概略 編集

球泉洞の総延長は第一本洞と第二本洞をあわせ4800m。これは日本第6位[2]であり九州では最長[3]。このうち、観光用に公開されている部分は約800mである。石灰岩層は約3億年前に海中で形成され、その後地殻変動によって地上に隆起し、二酸化炭素を含んだ雨水が浸透し、球磨川に流れ込む過程で侵食されて形成された[4]。内部では特有の洞穴生物が独自の生態系を持ちながら棲息している[5]

コウモリの巣として従来から知られていた山腹の縦穴[6]を1973年3月愛媛大学[7]探検隊が調査に下り、地下70mに鍾乳洞を発見した。約2年の調査を経て全貌が明らかになった後、1975年に一部の一般公開が始められた。この探検隊の中には、当時学生だった洞窟探検家・山内正がいた[8]

球泉洞がある権現山の北西にはカルスト地形を持つ杣鼻山(827m)があり、周辺にはより小規模ながら、高沢鍾乳洞・神瀬石灰洞窟・黒仁田洞・大瀬鍾乳洞などがある[9]

2020年(令和2年)7月の熊本豪雨で裏山2カ所で土石流が発生し、1年9カ月にわたり閉鎖されていたが2022年4月に再開した[10]

洞内 編集

 
ホマーテ型石筍
 
球泉洞内見学コース
 
球泉洞スピリアル

公開されている洞内は、国道沿いの入り口から坑道を通じて繋がっている。洞内は一年を通じて約16℃の気温が保たれている[3]

調査隊が下ったホールを起点に、公開されている範囲だけでも鍾乳石がつくる特徴的な光景を見ることが出来る。炭酸カルシウム結晶がつくる層(フローストーン)、地下水流に削られて作られたポットホール、剥がれ落ちた岩盤が偶然に造った天然橋、洞窟さんご、ヘリクタイトやヘリグマイト、リムストーン、ドーム状のホマーテ型石筍などを見ることが出来る。

これらは、鉄骨製の階段や橋が架けられたコースを徒歩で巡りながら容易に観察できる。第二本洞へつながり地下200mまで下れる鍾乳洞の一部も「ファミリー探検コース」として見ることが出来るが、こちらはヘルメットとヘッドランプ着用の上、係員が同行して巡る。

球泉洞スピリアル 編集

洞内には、希望者が購入した球磨焼酎を保管する棚が設けられ、最長20年間熟成させることが出来る。当初これは、球泉洞を管理する森林組合長が提案したワインを対象としたアイデアだったが、地元産の焼酎を貯蔵しようということとなり実現した。[11]

施設情報 編集

入場料 編集

  • 大人(高校生):1,100円、中人800円、小人600円、幼児(3歳以上)450円
  • 探検コースは別途800円

周辺設備 編集

 
森林館
  • コウモリ橋
  • 球泉洞休暇村
  • 槍倒しの瀬・観光リフト
  • メガロドン化石群

交通手段 編集

脚注 編集

  1. ^ 入場チケット裏の解説(2008年1月閲覧)
  2. ^ 発見当時は日本第2位だったため、資料によって順位の記述にばらつきがある。
  3. ^ a b パンフレット「自然に学び自然と遊ぶ 球泉洞と森林館」(2008年1月閲覧)
  4. ^ 現地看板「地下水流」(2008年1月閲覧)
  5. ^ ようこそ球泉洞へ”. 球磨村森林組合. 2008年1月13日閲覧。
  6. ^ 現地看板「球泉洞」(2008年1月閲覧)
  7. ^ 現地看板「探検記」(2008年1月閲覧)
  8. ^ 特集番組「地底の神秘を地図にせよ~愛媛の探検家・山内正~」”. NHK松山放送局. 2008年1月15日閲覧。
  9. ^ パンフレット「大自然と神秘をもとめる旅 in Kumamura」(2008年1月閲覧)
  10. ^ 「球泉洞」リニューアルオープン 熊本豪雨で被災 1年9カ月ぶりの再開”. 熊本日日新聞. 2022年4月12日閲覧。
  11. ^ くまの焼酎屋”. 楽天市場. 2008年1月14日閲覧。

外部リンク 編集

 
フローストーン

座標: 北緯32度16分29.77秒 東経130度36分54.55秒 / 北緯32.2749361度 東経130.6151528度 / 32.2749361; 130.6151528