聖霊論
聖霊論(せいれいろん、pneumatology)は組織神学の一項目である。三位一体の神の位格のひとつである聖霊について論じる学問である。聖霊は愛によって人々を造り、そして幸せへと招いてく役割があるとされる[1]。
聖書における聖霊論 編集
旧約聖書 編集
- 聖霊は創造に関与している。(創世記1章2節)
- 聖霊は人間の創造にも関与している。創世記2章7節では、神は土地のちりにいのちの息である聖霊を吹き込んで人を創造した。
- 聖霊は神が選んだ指導者に与えられる。神が指導者としてモーセを選んだ時に神の霊が与えられた。(民数記11章17節)
- 聖霊は預言者に与えられる。サウルに聖霊が臨んだ時に、恍惚状態になって預言をした。(第一サムエル記10章10節)
- 聖霊は救済の働きをする。ダビデが罪を犯した時に、神との交わりを回復できるのは聖霊によると告白している。(詩篇51篇11節)
新約聖書 編集
ディデュモスの聖霊論 編集
- 「聖霊は非物体的な方である。聖霊は不可変の方である。限定されない方である。本性的に聖なる方である。聖化する方である。聖霊はその実在で被造物を満たす。聖霊は唯一の方である。聖霊は参与される方である。聖霊は豊饒かつ満ち溢れる賜物である。」[2]
聖霊論の歴史 編集
教父時代の主な聖霊論 編集
古代 編集
- 2世紀後半モンタノス主義が起こり、終末の接近と聖霊の降誕を強調した。
- アウグスティヌスは三位一体の神の働きを強調した。信者の生活と聖霊との関係について関心をもった。聖霊によって導入される神の愛によって信者の生活は導かれると説いた。
宗教改革 編集
- ルターは宗教改革の基本原則は「信仰のみ」であるが、福音を聞くものに信仰を起こすのは聖霊であるとしている。
- カルヴァンは聖霊の働きは聖書論との関係において強調している。聖書の権威の根拠を聖霊においた。
- アナバプテストは聖霊を過度に強調して、内なることばを強調した。そのため聖書を軽視した。
現代 編集
脚注 編集
- ^ “聖霊、私たちを愛へと導く愛”. opusdei.org. 2021年5月14日閲覧。
- ^ a b 小高毅, 「四世紀後半における聖霊論 : ディデュモス『聖霊論』を中心にして」『日本の神学』 1993巻 32号 1993年 p.24-44, 日本基督教学会, doi:10.5873/nihonnoshingaku.1993.24, 2020年5月26日閲覧。
参考文献 編集
- 松木祐三「聖霊、聖霊論」『新キリスト教辞典』いのちのことば社、1991年
- 小高毅, 「四世紀後半における聖霊論 : ディデュモス『聖霊論』を中心にして」『日本の神学』 1993巻 32号 1993年 p.24-44, 日本基督教学会, doi:10.5873/nihonnoshingaku.1993.24