IBM PureSystems(IBMピュアシステムズ)は、IBMサーバ製品シリーズの1つで、2012年4月に専門家の知見を実装したエキスパート・インテグレーティッド・システムの第一弾として発表された[1]

IBM PureSystems
IBM PureSystems
開発元 IBM
種別 コンバージドシステム
発売日 2012.04.11年 (11年前) (2012.04.11)
CPU x86 又は IBM POWER
関連商品 IBM FlashSystem
IBM Flex System
IBM PureSystems

PureSystemsファミリーは以下の3シリーズで構成されており[2]、いずれもハードウェア面ではIBM Flex System(IBMフレックスシステム)と呼ばれるブレードシステムをベースとしている。

概要 編集

PureSystemsはエキスパート・インテグレーティッド・システムの第一弾とされており、単にハードウェアソフトウェアストレージなどを事前に構成・設定して一体販売するコンピュータ・アプライアンス(en)としてだけではなく、専門家の知見を「パターン」として実装し、統一的な管理画面から設定・運用できることで、計画・導入・運用などの作業を簡素化できる、とされている。例えばパターンで設定したサービスレベルを満たすように、必要な冗長化などの設定や引継ぎ、仮想マシンの起動・停止、運用管理ツールによる監視・通知などが、内部的に自動で行われる。また各ハードウェアやソフトウェアの修正モジュールが事前検証されており容易に適用できる[3][1]

PureSystemのハードウェアは、オープンなコンポーネントで構成されるFlex Systemを使用している[4]。Flex Systemは新しいブレードシステムで、従来からのBladeCenterとは相互に互換性は無い。PureFlexでは、コンピュート・ノードのプロセッサにはインテルx86系およびIBMのPOWER7を選択でき、4種類のオペレーティングシステムAIXIBM iLinuxWindows)と、4種類の仮想化用のハイパーバイザーVMwareKVMHyper-VPowerVM)を選択できる[1]。ストレージはV7000(en)が使用されている。なおFlex Systemはユーザーによる柔軟な構成が可能だが、PureSystemsは特定の構成を事前決定している。

詳細 編集

PureApplication System 編集

PureApplication System はPaaSの基盤として事前構成されており、トランザクション指向のWebおよびデータベースアプリケーションに最適化されている。IBMは、新アプリケーションの導入やデプロイメントは数時間で完了すると主張している。PureApplication System は以下の4構成が提供されている。

W1500-96 W1500-192 W1500-384 W1500-608
プロセッサ(x86コア数) 96 192 384 608
メモリ(RAM) 1.5 TB 3.1 TB 6.1 TB 9.7 TB
ストレージ(SSD) 6.4 TB
ストレージ(HDD) 48.0 TB
ソフトウェア 構成済のWebSphere Application ServerDB2Linux

PureFlex System 編集

PureFlex System はIaaSの基盤として事前構成されており、サーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化および管理を1つの構造にまとめた統合コンピューティング・システム[5]。Express(エクスプレス)、Standard(スタンダード)、Enterprise(エンタープライズ)の3構成が提供されている[6][7][8]

Express Standard Enterprise
プロセッサ x86またはPOWER7
42Uラック 1
シャーシ 1
内蔵10Gbネットワーク・スイッチ 1 2 + アップグレード 1および2
内蔵8Gbファイバー・チャネル・スイッチ 1 2
統合管理ノード あり
IBM Flex System Manager Flex System Manager、1年間のサービスおよびサポート Flex System Manager Advanced、3年間のサービスおよびサポート
CMM(シャーシ管理モジュール) 2
2500W 電源機構(標準/最大) 2 / 6 4 / 6 6 / 6
80mm ファン(標準/最大) 4 / 8 6 / 8 8 / 8
IBM Storwize V7000 ディスクシステム あり(冗長コントローラ)
IBM Storwize V7000 ソフトウェア Base、1年間のソフトウェア保守契約 Base、3年間のソフトウェア保守契約

PureData System 編集

IBM PureData サーバ (閉鎖/扉を開けた状態)

PureData Systemは2012年10月に、PureSystemsファミリーの第三の製品シリーズとして発表された。PureData Systemは更に以下の3シリーズにより構成されている。

  • IBM PureData System for Transactions - トランザクション・データのワークロードに特化[9]
  • IBM PureData System for Operational Analytics - データウェアハウジング機能と分析機能[10]
  • IBM PureData System for Analytics - 膨大な量のデータを分析する超並列システム。Netezza(en)ベース。[11]

IBMはこれら製品は単なる垂直統合製品ではなく、運用など専門家のノウハウを「パターン」として提供しており、DBaaSに相当するとしている[12][13]。なおIBM PureData System for Analytics と IBM PureData System for Operational Analyticsは、アプライアンス自体を1つのパターンとして提供する、としている[14]

その他 編集

  • PureSystemsは主にIBMロチェスター(en)で組み立てられている[15]

脚注 編集

  1. ^ a b c ITの常識と経済性を根底から変えるエキスパート・インテグレーテッド・システムを発表 - 専門家の知見をシステムに実装し、ITの複雑さとコストを大幅削減 - 日本IBM
  2. ^ ビッグデータ処理向けエキスパート・インテグレーテッド・システム - IBM PureSystemsファミリーに「IBM PureData System」を追加 - 日本IBM
  3. ^ IBMのシステム新製品「PureSystems」はどこまで革新的か
  4. ^ IBM RedBooks WebDoc - IBM Flex System Enterprise Chassis April 11, 2012 at redbooks.ibm.com
  5. ^ IBM PureFlex の発表
  6. ^ IBM PureFlex System Express 仕様
  7. ^ IBM PureFlex System Standard 仕様
  8. ^ IBM PureFlex System Enterprise 仕様
  9. ^ IBM PureData System for Transactions T1500 の発表
  10. ^ IBM PureData System for Operational Analytics A1791 の発表
  11. ^ IBM PureData System for Analytics N1001 の発表
  12. ^ 日本IBM、ビッグデータ処理向けの新製品群「PureData System」 - クラウドWATCH
  13. ^ IBM、ハードとソフトを垂直統合したデータベースマシン「PureData System」発表。オラクルExadataとの違いは
  14. ^ ビッグデータ処理に特化した「IBM PureData System」- @IT
  15. ^ IT-Jungle Volume 21, Number 16 April 23, 2012 at itjungle.com

関連項目 編集

外部リンク 編集