禁止法(きんしほう、proh)は、言語学の用語で叙法の一種。「~するな」のように禁止や規制を表すものをいう。

命令法の否定で表す言語

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インド・ヨーロッパ語などでは命令法否定として表されることが多い。例えば以下の英語の例である。

Don't go!

do-n't

AUX-NEG

go

行く.IMP

do-n't go

AUX-NEG 行く.IMP

「行かないで!」

アイヌ語では、禁止法専用の副詞iteki(沙流・千歳方言)やeciki(旭川方言)などを肯定の命令法同様の形(例外的に人称接辞を取らない形)になる[1]

iteki

NEG

arpa!

行く.IMP

iteki arpa!

NEG 行く.IMP

「行かないで!」

命令法と独立した禁止法

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命令法と別の法として表現する言語もあり、日本語がその例である。日本語では終止形終助詞「な」をつける形が一般的である。一部の方言では終止形でなく連用形を使う形「~しな」もあるが、これは関東方言などでは逆に命令表現となる。また敬語表現として否定依頼の「・・・ないで(下さい)」などの表現がある。古語でも終助詞の「な」はあったが、「な」と「そ」で連用形をはさむ形式が普通であった。

また、以下の例にある中国語のような、否定動詞を使ったものもある。

別去!

PROH

行く

別 去

PROH 行く

「行かないで!」

脚注

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  1. ^ ヌルミ, ユッシ (2023-03-01). “アイヌ語の否定表現 : 類型論的観点から”. アイヌ・先住民研究 3: 83-115. doi:10.14943/Jais.3.083. http://hdl.handle.net/2115/88323.